宝城坊日向薬師 特別開帳 金沢文庫称名寺

気温は高いけれども湿気のまだ少ない中、久しぶりに金沢文庫称名寺 (横浜市金沢区) に繰り出した。お目当ては、建物が解体修理中の伊勢原市、日向薬師宝城坊の本尊、薬師三尊の特別開帳だ。
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もともと年に数度しか公開の機会のない秘仏で、以前現地まで拝観に行ったことはあるものの、久しぶりに間近に接することのできるこの機会を逃してなるものかと思い立ったもの。金沢文庫は時折、このような特別展を開催するので、よくよく目を光らせておかねばならない。称名寺自体の本尊 (重要文化財 弥勒菩薩立像) の公開や、運慶展等、過去にも大変印象深い展覧会に足を運んだものだ。

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天気に恵まれ、鮮やかな日差しに太鼓橋を渡るのも楽しい。
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池を見ると、たくさんの亀が甲羅干しをしている。うーむ、体を思い切り反らしたり、傍若無人にほかの亀の上にどっかり乗っかっている奴もおる。なんとも気持ちよさそうで、こちらもついつい目を細め、足を停めて見てしまう。でも、そんなアクロバティックな恰好で、バランスは崩れないのかね、亀さんよ。

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お目当ての薬師三尊とは、ガラス越しながら至近距離での対面。関東特有の鉈彫りとして、弘明寺の十一面観音と並ぶ代表作だ。本尊の顔は完成されているものの、からだ全体に鑿のあとが残っており、一見未完成かと見紛うばかり。ただ、私自身も子供の頃からモノの本で読んできた通り、これは明らかに作業の途中で放棄されたものではなく、この状態で完成作であろうと思う。その証拠には、両脇侍は顔まで一面に鑿のあとが残っている一方で、体躯自体は既に掘り出されてあるのである。作業途中なら、体躯は掘り出されておらず、粗削りの箇所がさらにまだらであろうと思われる。本尊の顔のみがきれいに仕上げられて、それ以外は別世界から現れる段階という印象を受ける。古拙ではあるものの、これはこれで、大きな存在感を持っている。

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この寺は、頼朝と政子から深く信仰された歴史を持ち、かなり隆盛していたらしく、興味深い文書や、平安時代、鎌倉時代に遡る仏像を多数見ることができる。飛天残欠や獅子頭などから、中世の宗教活動のありさまを想像するのは、なんとも楽しいことだ。
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拝観を終えて帰途につくと、トンビがのんびり中空に輪を描いていた。血で血を洗う激烈な生活の中で、頼朝も寺社に詣でた際には目を上げて、しばしこのようなのどかな風景に一息ついたものであろうかと想像してみた。

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by yokohama7474 | 2015-06-03 23:27 | 美術・旅行 | Comments(0)