ユーリ・テミルカーノフ指揮 読売日本響 2015年6月5日

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今回のテミルカーノフの読響との協演、2つ目のプログラムは、マーラーの第 3交響曲だ。この指揮者のマーラーと言えば、1番を以前この読響でも取り上げていたし、サンクト・ペテルブルク・フィルとの来日公演では 2番を演奏したこともある。だが、私はそのいずれにも行けなかったので、今回が初のテミルカーノフによるマーラー体験だ。

結論から言えば、随所にテミルカーノフ節が聴けたとはいえ、マーラーの演奏としては課題の多いものになった。多少こじつけになるかもしれないが、ひとつの理由は、読響のこれまでの演奏の歴史の中で、この作曲家が必ずしもメインストリームであったとは言えない事情があるのかもしれない。考えてみれば、ザンデルリンク、フリューベック・デ・ブルゴス、マズア、ロジェストヴェンスキー、アルブレヒト、スクロヴァチェフスキー、それにカンブルランを加えても、マーラー指揮者というイメージはあまりない。もちろん、これらの指揮者のマーラー演奏を、実演や CD でそれぞれ聴いてきている私ではあるが、ただやはり、どちらかというとブルックナーの方がこれらの指揮者には似合うような気がする。

それが関係しているわけではなかろうが、今回は冒頭からもうひとつオケの集中力が高まらないもどかしさを感じた。もちろん、第1楽章の終結部や、最終楽章の大団円等、音楽が大きく弧を描く場面で、纏綿とテンポが落とされて歌が沸き起こる感覚には感動を禁じ得ないものはあったのであるが、マーラーに必要な混乱というべきか、統御された狂気というべきか、そのようなものは聴き取れなかった。

ユニークであったのは、合唱団とソリスト (小山由美) の入場。第 3楽章が終わったあと、ようやく女声合唱 (新国立劇場合唱団) と児童合唱 (NHK 東京児童合唱団) がホールの後ろの席 (P ブロック) に入場し、ソリストに至っては、第 4楽章の冒頭部分でステージ袖から歩いてくるという登場ぶり。歌劇場での経験豊富なテミルカーノフとしては、何かこだわりがあったのかもしれないが、ちょっと無理があったのではないか。ソリストにしてみれば、歩き終わってすぐに、あの夜の雰囲気の静かな歌を歌う必要あるわけで、感情移入に高い難易度があったと思う。入りの部分の音程の不安定さに、聴いている方がハラハラするようなことになってしまった。

日本のオケの水準が著しく上がってきていることで、聴衆の期待も大きくなっている。このコンビには、次のプログラムに期待しよう。切り札のロシア物だ。
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by yokohama7474 | 2015-06-06 23:10 | 音楽 (Live) | Comments(0)