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天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬 (FLOGMAN 監督)


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別に、「観ないやつは死刑なのだ」と言われたから見に行ったわけではない。見たかったから見たのだ。もちろん、赤塚不二夫のマンガは子供の頃にそれなりに読んでいたし、子供心に馬鹿馬鹿しいと思いつつ、なぜか気になる存在ではあった。ただ、別に熱狂的なファンではなかったし、これまでもこの種の映画を劇場で見たことはほとんどない。では今回、なぜこの映画を見たか。その理由は、FLOGMAN (蛙男商会) の作品であったからだ。なぜなら、私は FLOGMAN が作り出したキャラクター、秘密結社鷹の爪が大好きだからだ!!
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ということを言うと、熱狂的な FLOGMAN ファンに怒らてれしまうだろう。というのも、私が知っている秘密結社鷹の爪は、TOHO シネマズで見ることができる範囲のものだけなので。

ともあれ、この映画、なんともバカバカしい。期待通りバカバカしいと言ってもよい。原作マンガにおける不条理の文化史的意義を説いたり、現代の抱える様々な制約から限りなく自由なバカボンのパパの姿に仏教的な性格を見たり、そういうことはしません (ちょっとしようかと思ったけど 笑)。ただ、鷹の爪の総統と吉田君の関係をなぞる、ここでのダンテとレスターの関係が、ただそれだけの理由で笑えるし、内閣情報局の神田職員と戸川課長の顔も、ただただ、その「FLOGMAN らしさ」に、もっと画面に出ていて欲しい!! とすら思える。
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一応、私の本来の (?) 興味から来るコメントを 2つ。

ひとつは、これはプッチーニのオペラ「トゥーランドット」と共通のテーマを持つ作品だ。一人の人物の名前が分からないことによって、集団が大きな試練を迎えることになり、その名前が分かった瞬間に、大団円に至る (あ、この映画では、バカボンのパパの名前は何かということを巡って大騒動が起こります・・・うーん)。試しに一度、「トゥーランドット」の最後の合唱を、「これでいいのだ」に変えてみてはいかがだろう。・・・熱狂的プッチーニファンに殺されてしまいますね。賛成の反対なのだってか・・・。あ、写真はイメージです。これはゼッフィレッリの演出ですね。でも、これがバカボンの映画のワンシーンだと思うと、人生なんだか楽しくなってくるじゃないの。
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もうひとつ。エンドタイトルを極力丹念に見るのが私流の映画鑑の締めくくりなのだが、今回は驚いた。音楽の演奏者に、打楽器奏者の高田みどりの名前があったのだ!! 現代音楽の世界では非常に有名な方で、私もいくつか録音を聴いたことがある。いわゆる、忘れようとしても思い出せない人だ。うーむ、そうと知っていれば、劇中音楽をもっと真剣に聴くべきであった。まさかバカボンの音楽に参加しているとは・・・。恐れ入りました。高田先生。

さらに付け足し。ウィキを見ると、バカボンの名前の謂れがあれこれ書いてあるが、今回の「バカヴォン」は、実はどれにもあてはまらない。これは意外と深いかもしれませんぞ。



by yokohama7474 | 2015-06-10 23:05 | 映画