2015年 06月 10日
天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬 (FLOGMAN 監督)
ともあれ、この映画、なんともバカバカしい。期待通りバカバカしいと言ってもよい。原作マンガにおける不条理の文化史的意義を説いたり、現代の抱える様々な制約から限りなく自由なバカボンのパパの姿に仏教的な性格を見たり、そういうことはしません (ちょっとしようかと思ったけど 笑)。ただ、鷹の爪の総統と吉田君の関係をなぞる、ここでのダンテとレスターの関係が、ただそれだけの理由で笑えるし、内閣情報局の神田職員と戸川課長の顔も、ただただ、その「FLOGMAN らしさ」に、もっと画面に出ていて欲しい!! とすら思える。
ひとつは、これはプッチーニのオペラ「トゥーランドット」と共通のテーマを持つ作品だ。一人の人物の名前が分からないことによって、集団が大きな試練を迎えることになり、その名前が分かった瞬間に、大団円に至る (あ、この映画では、バカボンのパパの名前は何かということを巡って大騒動が起こります・・・うーん)。試しに一度、「トゥーランドット」の最後の合唱を、「これでいいのだ」に変えてみてはいかがだろう。・・・熱狂的プッチーニファンに殺されてしまいますね。賛成の反対なのだってか・・・。あ、写真はイメージです。これはゼッフィレッリの演出ですね。でも、これがバカボンの映画のワンシーンだと思うと、人生なんだか楽しくなってくるじゃないの。
さらに付け足し。ウィキを見ると、バカボンの名前の謂れがあれこれ書いてあるが、今回の「バカヴォン」は、実はどれにもあてはまらない。これは意外と深いかもしれませんぞ。