小林研一郎指揮 東京フィル (チェロ : 上野通明) 2015年 6月13日 文京シビックホール

コバケンが数ヶ月おきに 4度に亘り文京シビックホールに登場し、東京フィルを相手にチャイコフスキーの有名曲を演奏する。今日がそのシリーズの第 1回であったが、指揮者自身がステージから客席に語りかけたところによると、座席の 8割がシリーズ通し券で売れ、残りの 2割も今日は完売とのこと。一般の人々にも人気のあるコバケンという指揮者と、チャイコフスキーというポピュラーな作曲家の組み合わせならではのことだろう。下の写真は今回のコンサートのリハーサル風景で、会場に展示してあったもの。
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私は過去 35年くらい、折に触れこの指揮者を聴いているが、およそ枯れるということがなく、クラシックの人気名曲を手掛けては並ぶ者のない手腕に感嘆する。よく比喩として、カレーライスとトンカツとハンバーグをレパートリーにしている指揮者などと言っているが、カレーライスやトンカツやハンバーグを食べる人を魅了するということは、それだけで稀有なこと。日本がこの指揮者を持ったことに感謝しよう。

東フィルの充実ぶりには目を見張るばかり。繊細な木管楽器のやりとりや、力強い金管の炸裂も、申し分ない。この演奏能力でチャイコフスキーを演奏すると、演っている方も楽しいに違いない。

曲目を忘れていた。

歌劇「エフゲニ・オネーギン」作品24 からポロネーズ
バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71 から金平糖の踊り、葦笛の踊り、花のワルツ
イタリア奇想曲
ロココの主題による変奏曲
大序曲「1812年」

イタリア奇想曲や 1812年のクライマックスが、自分の中の理想通りに鳴っているのを聴くのは素晴らしい体験だ。これぞコバケンのチャイコフスキーという感じ。

今回チェロを弾いたのは、まだ桐朋の学生でありながら、数々のコンクール歴を誇る、上野 通明。若々しい感性が大変魅力的であった。アンコールにはバッハの無伴奏の 6番の冒頭楽章を弾いた。これはバッハの組曲の中では最も躍動的と言ってもよい楽章で、いかにも勢いがあってよかった。
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今後のシリーズの残りの 3回は、3大交響曲のそれぞれを含む。考えてみれば、初めてコバケンを生で聴いたのは、東京交響楽団とのチャイコスフキー 4番だった。35年を経て、いかなる成熟を聴くことができるか、楽しみである。実は今回、プログラム後半でステージにチェリスト用の椅子が出てきたのを見て、近くに座っていたご夫婦が、「あ、客席の方を向いているね。指揮者が椅子に座って喋るんじゃないかな」と話をされていて、微笑ましかった。そのような方々が本当に感動できる音楽、この指揮者にはそれを奏でることができるのだ。

by yokohama7474 | 2015-06-13 23:26 | 音楽 (Live) | Comments(0)
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