トゥモローランド (ブラッド・バード監督 / 原題 : Tomorrowland)

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この映画は、ウォルト・ディズニーが生前考えていた未来都市構想に想を得て、新たに制作されたものである。見る側にとっては、この手の映画にはリスクがあって、あまりにも楽天的で幼稚な内容であるかもしれない。一方、どうやら何か変わったものを見ることができそうだという予感もしないでもない。さて、その実態やいかに。

感想は複雑だ。1964年のニューヨーク万博に始まり、超未来都市トゥモローランドや現代の米国、あるいはパリなど、3人の主要登場人物が時空を駆け巡る。かつて未来とは希望あふれるものであったが、今や人類滅亡に向けたカウントダウンをしなければならない状況。そんな感傷もつかの間、追手が現れ、逃走や格闘や、あらゆる発明品による対決がスピーディに繰り広げられる。何やら陰謀論めいたテーマもあり、また、人工物と人間の間の恋情というテーマも垣間見える。その意味で、一粒で何度でもおいしいとも言えるが、ストーリーで映画を見る人には、若干もどかしい思いもあるかもしれない。私の場合は、映画におけるストーリーは二の次三の次の要素であるので、理解できない点はそのまま受け流したが、鑑賞後しばらく経ってからあれこれのシーンを思い出すことで、何やら新たな思いが沸いてくる。それが嫌味なものにならない点、やはりよい映画と評価できるものと思う。

ニューヨーク、クイーンズの JFK 空港近くのフラッシング・メドウズ。テニス好きなら、全米オープンの会場としておなじみだろう。今でもそこに行くと、1964年の万博開催時に作られた銀色の巨大な地球儀のモニュメントが存在している。
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ディズニーのアトラクション、It's a Small World は、この万博で初めて作られたという。物語は、少年がそのアトラクション設備の中から、超未来都市に招待されることから始まる。1964年というと、もちろんアメリカが平和であった時代とは言えない。ケネディ暗殺はその前年だし、ヴェトナム戦争の泥沼の真っ最中だ。それにもかかわらず、いや、もしかするとそれゆえに、当時アメリカの人々が夢見た未来とは、本当にワクワクするものだったのかもしれない。日本の場合は事情が全く異なるものの、「人類の進歩と調和」がテーマとなった大阪万博はその 6年後。やはり、未来は素晴らしいものと誰もが信じられた時代だったと言えるだろう。

昔はワクワクすべきだった未来に、人類は今や夢を持てないというテーマは、特に目新しいものではない。世界の終りを扱う映画は、911 後には激減したものの、最近はまた増えてきている。そんな中でこの映画の一味違う点は、その世界を救う努力が、ある団体によってなされているという設定だ。夢を持つこと、絶対あきらめないこと。そんな陳腐な謳い文句を、うまく料理していると思う。その一方で、トゥモローランドの基礎を作った偉人として、エディソン、ジュール・ヴェルヌ、エッフェルと並んで出てくるイコンが、ニコラ・テスラであるなど、陰謀好きにとってはたまらない設定だ。テスラについてご存じない方はネットで調べて頂くのがよいと思うが、私の頭の中に飛来したのは、デヴィッド・ボウイがテスラを演じた映画があったなぁ・・・ということ。そうだ。あのクリストファー・ノーラン監督の「プレステージ」だ。あれは面白い映画だった。まあともあれ、この謎めいたカルト的人物を、素晴らしき未来の創造者の一人として位置付けるこの「トゥモローランド」、なかなかどうして、子供向きであるわけがない。そのような隠し味を好む人たちには、是非ご覧下さいとお奨めしておこう。


by yokohama7474 | 2015-07-09 00:40 | 映画 | Comments(0)
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