デニス・ラッセル・デイヴィス指揮 読売日本交響楽団 (ヴァイオリン : ダニエル・ゲーデ、チェロ : グスタフ・リヴィニウス) 2015年 7月25日 横浜みなとみらいホール

デニス・ラッセル・デイヴィス。ちょっと通好みの指揮者である。彼が 2013年の年末の第九以来、読響の指揮台に返ってきた。
e0345320_22560546.jpg
曲目は以下の通り。

ブラームス : ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調作品102
ホルスト : 組曲「惑星」作品32

D・R・デイヴィスの名前は、昔 FM でライヴ録音をせっせとエアチェックしているときに、主に現代音楽の分野でよく耳にした。もう 30年以上前であろうか、20世紀最高のピアニストのひとり、アルフレート・ブレンデルがベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲を演奏した際、ライヴ録音でディスクとして発売されたのは、レヴァイン指揮シカゴ交響楽団がバックであったが、もうひとつ、ベルリン・フィルとの連続演奏で指揮者を務めたのが、この R・デイヴィスであった。その頃以来、息の長い活躍である。

ブラームスの 2人のソリストのうち、ヴァイオリンのダニエル・ゲーデはもとウィーン・フィルのコンサートマスターで、今はこの読響のコンマスを務める。ただ、正直言うと、今の読響でのポジションの前任に当たるのだろうか、元ロンドン・フィルのコンマスであったデイヴィッド・ノーランほどには貢献しているようには見受けられない。一方のチェロのグスタフ・リヴィニウスは、ドイツ人のソリストだ。このブラームスの演奏は、もちろん一定レヴェルではあったものの、聴衆を熱狂させるには至らなかった。

ところが、後半の「惑星」は、まさに鬼才 R・デイヴィスの面目躍如。大変面白かった。この曲、その際立った色彩感でクラシック音楽の人気曲目のひとつであるが、存外生演奏に接する機会は多くない。そのひとつの理由は、50分の大曲のうち、最後のほんの数分だけのために女声合唱 (今回は児童合唱であった) が必要だという経済的理由もあるだろう。だが、雄大なドラマ性を持つこのような曲こそ、生で聴く価値がある。もしかすると通なクラシックファンからは過小評価されているのではないだろうか。そんな曲を通好みの指揮者が振るという、なんとも逆説的な楽しみ (笑)。第 1曲、作曲者が迫りくる第 1次大戦を予感して書いたと言われる「火星、戦争の神」は、ゆっくりとしたテンポで始まり、怒涛の音楽の奔流を築いた。また、最も有名な第 4曲「木星、快楽の神」は、逆に早めのテンポで飛び交う音の線をくっきりと描き出した。いやなんとも、見事な音楽の描き分け。またそれを見事に音にする読響。素晴らしい演奏であった。このクラスの指揮者が入れ替わり立ち代わり指揮台に立つ日本のオーケストラ、やはりこまめに聴きたいものであるとの思いを新たにした。

ところで、読響の首席チェロ奏者、毛利伯郎が今回の演奏会をもって引退したのだが、彼のインタビューがプログラムに載っていて、その「惑星」について、「かつてロリン・マゼールの指揮でやったことがあるんですよ」と語っているが、はいはいそうでした。マゼールらしい切れ味の鋭い演奏だった。プログラムはすぐ出ますよ。あれは確か 10年くらい前・・・ややや、1992年とある。実に 23年も経っている。うーむ。竜宮城で鯛やヒラメの舞踊りを楽しんだ記憶はないのだが、いつのまにそんなに時間が・・・。
e0345320_23312409.jpg
e0345320_23383415.jpg

by yokohama7474 | 2015-07-27 23:39 | 音楽 (Live) | Comments(0)