エドワード・ガードナー指揮 東京都交響楽団 2015年 8月 2日 東京芸術劇場

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エドワード・ガードナーは、1974年生まれの英国の指揮者。イングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督だ。このオペラハウスは、原典主義の今時珍しい、すべて英語で上演する劇場なのだ。私がロンドンに住んでいた時には、もともと英語の作品である「ピーター・グライムズ」(ブリテン) や、「キャンディード」(バーンスタイン) しか見なかったが、いずれも素晴らしい演奏であった。その後プロムスのラスト・コンサートを指揮するなど、本国ではかなり人気のある指揮者である。その彼が都響に客演する。それは聴くしかないでしょう。
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これは、都響の「作曲家の肖像」と題されたシリーズ。その名の通り、通常はひとりの作曲家の作品を取り上げるのだが、今回は上の写真の通り、「イギリス」になっている。察するに、夏休みということで、ホルストの「惑星」をプログラムに据えたものの、同じ作曲者の作品で前座に演奏する適当な作品がなかったため、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」を組み合わせたのではないか。私も、この素晴らしい「惑星」の作曲者が、ほかにも何か面白い曲を作っているのだろうと思って、あれこれ聴いてみたが、ダメだ。本当に「惑星」だけの一発屋だ (苦笑)。彼の故郷であるチェルトナムは、人気のコッツウォルズ地方にある。私も一度訪れたが、温泉地の中に偉大な「惑星」の作曲者の像が立っている。おっと、なんと左手に指揮棒を持っている。これは珍しい。
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さてさて、相変わらずの寄り道はこのくらいにして、このコンサートである。いやはや、大変に素晴らしいものであった。都響の演奏能力は今や、驚くべき高みに達している。最初のブリテンの曲は、教育素材として作られただけでなく、「パーセルの主題による変奏曲とフーガ」の副題が示す通り、バロックの壮麗さを発展させたような目まぐるしい曲である。都響の各セクションが、軽々とそれぞれの妙技を披露して圧巻である。

さて、メインの「惑星」であるが、つい先週、デニス・ラッセル・デイヴィスの指揮する読響の演奏をご紹介したばかりだ。あまり生で聴く機会はないので、この連チャンは嬉しい。今回のガードナーの演奏は、若さあふれる情熱的な指揮。壮絶な「火星」から始まったのだが、特筆すべきは、2曲目の「水星」だ。1曲目との著しい対象をなすこの曲が、大きく深呼吸するような豊かさを持って響きのを聴くのは、また格別な歓びであった。もちろんそれ以降も、曲想による描き分けの顕著な演奏であり、実に充実した演奏会であった。終演後の指揮者の満足した表情は、全く嘘のないものに違いない。自国が誇りとする作品を演奏しに極東まで来たところ、その作品を完璧に音にするオーケストラと出会ったわけだから。うーん。ホルスト恐るべし。一発屋であっても、こんな曲を生み出した英国は、彼を誇りに思ってよい。今日のガードナーも、その誇りを心から感じていたと思う。

ところで今回の演奏会で、都響の創立 50周年を記念したのぼりが展示されていた。オーケストラにとって 50年は、ただの通過点。石原都政で辛酸をなめたことで大きく飛躍したこのオケの、今後のさらなる発展を祈ります!!
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by yokohama7474 | 2015-08-02 22:53 | 音楽 (Live) | Comments(0)
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