ドイツ、バイロイト フランツ・リストの墓

世界のいろんなところで、墓探しをすることがままある。もちろん、芸術家の墓である。ニューヨーク在住時には、ブルックリンまで行って、何の手がかりもなしにバーンスタインの墓を苦労して見つけたし、スイスの田舎町ロシニエールでは、孤高の画家バルチュスの回顧展に出かけるついでに、カウベルののどかな響きの中、何の案内も出ていない彼の墓を自力で探り当てた。もちろん、ウィーンやパリといったお墓のメッカ (?) では、芸術家の墓探しにそれなりの時間をかけているのである。正直、祖先の墓に詣でるよりも、縁もゆかりもない異国人の墓に詣でる機会の方が多いかもしれず、祖先には全く申し開きようもないのだが、自分がこの世に生を受けたのもご先祖様のおかげという感謝の心を忘れないことに免じて、どうか許して下さい。

西洋人の墓の場合は土葬も多いわけで、英語で遺体を意味する "Remains" なんていう粋な (?) 言葉もあるくらいだ。この言葉、なんともよい響きではないですか。できれば座右の銘にしたいくらいだ (もちろんウソです)。キリスト教の教義に則って、最後の審判の日まで肉体の残留物を取っておくという発想は、なかなか日本人にはないものだが、かつてこの世で天才的能力を発揮した人の墓の前に立つとき、その人の肉体は朽ち果てて土に帰っているにもかかわらず、その人を記憶するモニュメントとしての墓が、要するに人間代々の心の中の残留物、Remains として、肉体にはない新たな価値を持っていることを感じられるから素晴らしいのだ。

先般の記事で、作曲家フランツ・リストの墓がバイロイトにあると聞いたことを書いた。そこで、炎暑の中ホテルから歩いて、その墓地に行ってみたのである。場所は、市街地から西側、Ramada Hotel 近くの Erlanger Strasse に面した、Stadtfriedhof (市立霊園ということか)。フランツ・リスト博物館のオバチャンのアドバイスに従い、メインの入口ではなく、墓地の教会のすぐ横にある小さな入口から入り、すぐ左手を見ると、写真で見覚えのあるチャペルが。
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中には、大変シンプルなリストの墓が。
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大変綺麗に保たれているので、定期的に掃除をする人がいるのであろう。周りを見ると、こんな感じ。バイロイトの街の人たちが、現世の苦しみから解放され、なんとも穏やかな眠りについておられる。今日は月曜日だが、墓参りに来ている地元の人たちもちらほら見かけた。
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気候の違いもあり、日本の墓はこんなにからっとしていない。たまにはヨーロッパで、違う人種の人たちの Remains に思いを馳せるのも、悪くない。

by yokohama7474 | 2015-08-11 06:33 | 美術・旅行 | Comments(0)