ドイツ、ニュルンベルク その 1 : ゲルマン国立博物館、カイザーブルク、デューラーの家、フラウエン教会、聖ロレンツォ教会、聖セバルドゥス教会等

バイロイトからどこかに観光に出かけるとすると、ニュルンベルクとバンベルクが筆頭候補になるだろう。今日はオペラがないので、ニュルンベルクに出かけてみることにした。

ニュルンベルクと言えば、音楽好きならもちろん、ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタジンガー」を思い出すであろうし、現代史の舞台としては、ナチの大規模な党大会と、戦後にナチが裁かれたニュルンベルク裁判といったところであろうか。そんなことから、中世の雰囲気とか職人の街というイメージと、ナチの暴力的イメージが交錯するのだが、ワーグナーのオペラがその双方に接点を持っている。つまり、本来は喜劇である「マイスタジンガー」には国粋的要素があり、ヒトラーの大のお気に入りでもあったことから、戦時中のドイツでは戦意高揚のために盛んに演奏されたわけで、そのことが今に至っても、この作品の演奏に複雑な要素を加えているわけだ。ともあれ、どんなところか行ってみましょう。

バイロイトからニュルンベルクは、通常なら列車で 1時間くらいで到着するようであるが、なんでも一部が不通になっているとかで、Pegnitz という駅でバスに乗り換え、1時間半くらいかかることとなった。とはいえ、朝のバイロイト駅は心地よい。駅から、丘の上の祝祭劇場が見えます。途中バス利用になるにも関わらず、ドイツ国鉄の時刻表では、1分単位で細かい到着時刻が設定されていて、「ほーさすがドイツ人。正確な運行をするんだねぇ」と思うと、始発のはずの列車の出発がいきなり 2分遅れて、まあやはりそんなもんでしょうと、ちょっと安心する (笑)。まあ、そのくらいの遅れは大勢に影響ないって。
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さて、ニュルンベルクに到着。駅から見える風景はこんな感じ。ほう、やはり中世そのままという感じですな。歩き出すと、城壁も見ることができます。
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普通の人はここから正面を入って、中世職人広場というところを通るらしいが、私はそれを見逃した。なぜなら、地図でオペラハウスの位置を見ると、駅の左側になっていたので、どんなところか見てやろうと思って、そちらを回ったからである。まっさか、「マイスタジンガー」専門の劇場ではないでしょうなぁ。あっはっは・・・と心の中で笑いながら辿り着いたのは、こんな建物だ。
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おお、これは明らかに 100年は経っている。素晴らしい建物だ。中に入って今シーズンの冊子を探すと、なんと、バレエや演劇も含めて紹介する 200ページくらいのもので、スタイリッシュな写真も沢山入っている。Marcus Bosch という指揮者が音楽監督らしい。ちょっと聴いてみたいと思った。ヨーロッパのちょっとした都市にはどこでもオペラハウスがあって、国際的知名度に関わらず、地元の人たちに充実した時間を与えているのだと思うと、やはりヨーロッパの文化における層の厚みを思う。

そして、次に訪れたゲルマン国立博物館が、その広さと展示物の多さに、これまたびっくり仰天。フラッシュを使わなければ写真 OK とのことだったので、たくさん撮影したが、例えば以下の地球儀は、1520年にバンベルクで作製されたもの。ドイツ人が大航海時代に世界を飛び回ったとは理解していないので (カトリックの反宗教改革がその原動力であったはずなので)、伝聞や書物による情報に基づいているのだろうが、やはりドイツ人侮りがたしですな。とはいえ、日本 (ちゃんと Zipang と書いてある) がこの、明太子みたいな形の土地であると言われると、ちょっと複雑だなぁ。ちなみに、左側には中国があるが、日本の回りは太平洋で、右側に見える大陸は、どうやら南米らしい。トホホ。
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ゲルマンと銘打っているだけあり、絵画もドイツ作品中心の堂々たるコレクションだ。もちろん同地出身のデューラーもいろいろあるが、私の大好きな画家たち、アルトドルファー、クラナッハ父子、ハンス・バルデュンク・グリーン等々、よだれものだ。
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また、もともとあった教会に隣接して博物館を建てたのであろう。その教会スペースにも、所狭しと宗教美術が。ドイツには素晴らしい木彫りの彫刻が多いが、ここでも圧倒的な存在感だ。
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うーん、広い室内を歩き回り、面白すぎてクラクラして来たのでそろそろ帰ろうかと思ったら、"Monster" という特別展が開かれているのを発見。このポスター、世紀末ミュンヘンの天才、フランツ・フォン・シュトゥックだ。これまた私にとってど真ん中の画家。
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詳細は省略するが、この展覧会はなかなかに貴重な妖怪変化の画像を集めたもので、妖怪・お化け・怪獣には目のない私としては、当然ながら図録の購入となる。それが厚さ 5cm は優にあろうかという大部な本で、重いのなんのって。でもしょうがない。その後この重い本を抱えて今日一日中、ニュルンベルク中をほっつき歩くという拷問を自らに課した私でありました・・・。

最初のうちはまだよかったのである。毎日 12時からパフォーマンスが始まるというフラウエン教会の仕掛け時計など無邪気に見入る。神聖ローマ皇帝カール 4世の周りを、7人の選帝侯がぐるぐる回る。
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そして昼食には、もちろんニュルンベルク名物のソーセージとビールに〆のエスプレッソ。ソーセージのこんがりと焼けるいい匂いにつられて入ったが、う、うまい!! 加えて、〆て17ユーロと、極めてリーゾナブル!!
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と、上機嫌になったのもつかのま。さて、それからが午後の試練だ。神聖ローマ皇帝の居城、カイザーブルク。12世紀から築かれ始め、15 - 16世紀に現在の形になったとされる、必見の歴史的場所だ。でも、坂道を延々と上らなくてはならない。うぉぉ、あそこまで行くのか。展覧会の図録は重く、気温は実に 35度だ。き、きつい・・・。
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ここでひるんでなるものか。ということで、気合を入れてむしろ大きめなストライドを取って、なんとか現地に辿り着き、このカイザーブルクの中世そのままの雰囲気を、結局は存分に楽しむことができた。二重構造のチャペル。
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深さ 50m の深い井戸。なんでも 14世紀からその存在が記録に見えるという信じられない遺構。30分おきにガイドの案内つきでしか入場できないが、水差しの水を井戸に注いで、数秒後にやっと水面に落ちるバシャッという音が聞こえる。また、ろうそくを入れた金属のトレイにカメラがついていて、水面ギリギリまで下ろし、その映像を見るというデモンストレーションもあり。
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そして最後は、塔である。エレベーターがあってくれという願いも空しく、木製の階段しかないことを知り、とにかく気合で頂上まで上ったのだ。もちろん、重い図録を持ったままだ。ここに上るとニュルンベルクが一望でき、また、戦時中爆撃で瓦礫と化した街の写真と現在の情景を比較できる。なんでもこの街は、戦時中に 90% の建物が破壊されたらしく、今見る中世そのままのように見える街並みは、実は根気強く復元されたものなのだ。戦争をしかけた国とはいえ、やはりすべての国民に悲劇が襲ったと思うと、なんとも痛々しい思いがする。
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カイザーブルクを後にし、水をガブガブ飲みながら、デューラーの家へ。内部はそれらしく復元されていて、当時から成功していたこの画家の存在感を感じることができる。1階にコインロッカーがあり、内部見学中は一旦、重い図録から解放される。
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それから、この街には素晴らしい教会が多い。ちょうど午後には光が堂内に差して来て、異教徒でも自然と敬虔な思いになるものだ。これらの教会も復元されたものであることを知り、なんとも痛ましい気持ちになるが、それだけに一層、この神々しさが心に沁みるのである。暑さと展覧会の図録の重さで、既に朦朧としていた私にとって、しばしの甦りの時間となった。心が洗われるとはまさにこのこと。
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もう一度街中を見てみる。なんとも風情のある中世の街並だ。これを復元した人たちの誇りが充分伝わって来る気がする。
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何本も水を飲んで歩き続けたが、既に足は棒、図録は (しつこいなぁ) 重い。でもダメだ。まだどうしても行かなくてはならない場所が・・・。ぜぃぜぃぜぃ。

次回に続く。ちなみに、件の図録、こんな感じです。こんなの持って炎天下を歩き回るバカは、そうはいないと思う。
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by yokohama7474 | 2015-08-12 06:29 | 美術・旅行 | Comments(0)