進撃の巨人 (樋口 真嗣監督)

e0345320_23004454.jpg
もう 4 - 5年前になるだろうか。本屋に平積みになっていたマンガ「進撃の巨人」を見て、面白そうだなぁと思ったのは。その後人気があるのは知っていたが、何せ私は、他人のペースに合わせるのが大嫌い。未だ連載中のマンガの続きを、今か今かと待ちわびるのが嫌で (同様の理由で、テレビの連続ドラマも見ない)、あえてこれまでこのマンガの 1ページすら、開いたことがない。マンガは面白そうだが、デッサンがちょっと未熟な気がしたのも、敬遠したひとつの理由だった。そんなところに、実写で映画化とは、嬉しい知らせだった。

まあ何が面白いって、人間を食糧にする巨人の描写が、なんとも言えず人間の恐怖心を煽る。
e0345320_23071098.jpg
この実写での巨人は、これまたなんともいい味出している。この巨人の実際の映像は、予告編でもほとんど使っていなかったし、ネットで画像検索しても、あまり出てこない。ただ、テレビで車の宣伝に使われていて、なんとも強烈なインパクトだった。映画のプログラムに載っている写真を掲載しよう。いやー、演じている役者の方々、本当にご苦労様です。メッチャ気持ち悪かったですよ (笑)。
e0345320_23155285.jpg
原作者の諫山 創は、1986年生まれというから、まだ 20代だ。なんでも、引きこもりの 19歳だったときに「人食い巨人もの」というジャンルのイメージを描いていたものが、少年マガジンで賞を取ったこの作品に結実したという。原作の展開はいざ知らず、この映画では非常に単純にストーリーが進んで行く。100年以上前に現れた巨人に人類は次々と喰われ、今では 3重の壁に閉ざされた世界に住んでいる。しかし、ある日人間の筋肉の標本のような超巨人に壁を破られ、そこから上の写真のような異様な風体の巨人たちが続々入ってきて、人類を危機に陥れるというもの。

昨今の邦画の予告編など見ていると、核関連施設が危機を迎えるといった設定や、なにがしかの軍隊調の映画によく行き当たるが、正直言って、核の恐怖を世界でいちばん知るはずの日本人が、そんな映画でハラハラドキドキというのは、なんとも説得力がない。それに引き替え、この架空の世界のリアリティはどうだ。人間が本能的に抱く恐怖がここにはある。立ち向かって行くには大変勇気がいる。その思いを観客に抱かせるだけで、この映画の狙いの半分は満たされているのではないだろうか。

人物の描き方は大変あっさりとしている。主人公 (らしい) エレンが、恐怖に怯えて恋人を失うところから、段々に成長して行く過程が描かれて行く (2作目はさらにそうなるのだろう) が、それ以外の人間像はさほど丁寧に描かれない。その点が不満と言えば不満と言えようか。それから、役者も、残念ながら全体的に低調に思われる。巨人退治の達人たるシキシマ役の長谷川 博己は、うーん、ちょっと大人の味が不足。口先先行のジャンを演じる三浦 貴大は、演技過剰。研究者のハンジを演じる石原 さとみは、甲高い声を挙げてがんばっているものの、ミスキャストのそしりは免れまい。そんな中、颯爽としたヒロイン、ミカサを演じた水原 希子は、なかなかの表現力だ。CM であれこれ見かけるモデルさんと思っていたが、何か天性のものがあるように思う。なんでも、父はアメリカ人、母は韓国人で、テキサス州ダラスの生まれとのこと。この面構え、なかなか純粋日本人の女優で見かけることは少ないと思うが、いかがなものであろうか。
e0345320_23372468.jpg
本作のロケは、あの長崎県の軍艦島で行われたらしい。かつて廃墟マニアのメッカと言われた軍艦島も、今や世界遺産。なんともびっくりである。「007 スカイフォール」でもロケ地になっており、まあその荒廃したイメージは、ほかにない雰囲気満点だ。ただ、崩れ行く廃墟であるからこそ人の興味を惹いた場所であるわけで、世界遺産に認定されてしまった今、「保護」する必要が生じてしまった。廃墟をどうやって保護するか。これは難しい問題である。
e0345320_23451057.jpg
この映画、2作目が 9月19日に公開されるとのことで、本作はまず前半ということだが、さてどこまで楽しませてもらえるだろうか。マンガ自体が未だ連載中ということだから、ともあれ途中での区切りというストーリーになるのだろうか。それとも、マンガを離れて全然違うストーリーが展開するのだろうか。マンガの連載にハラハラドキドキしていない私としては、冷静な気分で次を待つことができるのである。ひとつ面白いのは、本作の中で、「巨人には性器がないので生殖方法も不明」とされているが、赤ん坊の巨人も登場することから、なんらかの生殖方法があることは確かなのだ。そのあたりの解明も、次回楽しみにしていますよ。


by yokohama7474 | 2015-08-22 23:52 | 映画 | Comments(0)
<< サントリー芸術財団 サマーフェ... チャップリンからの贈りもの (... >>