ターミネーター 新起動 - ジェネシス - (アラン・テイラー監督 / 原題 : Terminator : Genisys)

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恥ずかしながら、ターミネーターシリーズを、ろくに見たことがない。事の発端はこうだ。大学に入ったばかりの頃、周りの映画好きがことごとく、「ターミネーターはいい」と異口同音に言い交していて、生来の天の邪鬼の私は、「そんなに皆が見るなら、オレは見なくてもいいよね」とうそぶいているうち、上映が終了してしまったのである。最初の作品を見ていなければ、その後のシリーズ物を見るのは若干ハードルがある。それでも、いわゆる T2 (「ターミネーター 2」、すなわちシリーズ 2作目) は、飛行機の中で見た。但し、記憶が正しければ、今のようにエコノミーでも各席にモニターがある時代ではなく、個人で旅行に行く際に、エコノミーエリア共有のデッカいスクリーンで、吹き替えで見たはずだ。それでも、その T2 は非常に面白く、シリーズを通しての主人公とおぼしい、サラ・コナーの名前は記憶に貼りついて離れなかった。

いや実際、当時この T2 に登場する T-1000 の液体金属ロボットを見たときには、その映像の凄さに驚愕したものだ。今回も、その当時の驚きをそのままに、むしろ現代の CG 技術からすると素朴に過ぎるのではないかと思われるくらい、T2 を彷彿とさせる液体金属の映像がいろいろ出て来る。演じるのはイ・ビョンホンだ。
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ストーリーは至って単純。未来の時点で人類を絶滅に近い危機に追い込むスカイネット (本作では人格を与えられている) に対する人類の反乱軍は、ジョン・コナーが率いている。それに対してスカイネットは、その人類の反乱のリーダーを存在しないようにするため、過去に殺人機械 (= ターミネーター) を送り込んで、ジョンの母親、サラ・コナーを亡き者にしようというのだ。また、そのサラを守るために人類側から過去に送り込まれるのが、カイル・リースだ。これまでのシリーズのストーリーを調べてみたのだが、基本的にこの路線に沿っていて、新たなキャラクターが強大な力でどちらかの側で突然現れるということはなく、ひたすらこれらの人物が登場しているようだ。これは、シリーズ物としてはひとつの見識だと思う。以前にも書いたが、どうもシリーズ物は、主要キャラクターの人気に依存するあまり、その敵をあれこれ創り出して話をいたずらに複雑にする傾向があるから、どんどんつまらなくなるのだ。このシリーズはその例外と言える。

ただ、本作では、(予告編で明らかにされているので、これから見ようという方にも教えてもよいと思うのだが) その反乱軍の闘士たるジョン・コナーのキャラクターに変化が起きる。私は過去のシリーズを知らないから平気だが (笑)、ずっとこのシリーズのファンの方には、大変なショックではないのか!! 何せこれですからね。どう見ても最初から怪しいだろ、これ。
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もうひとつ、このシリーズの見識は、アーノルド・シュワルツネッガーという稀有なキャラクターに一貫して依拠していることだ (但し、4作目だけは、彼がカリフォルニア州知事に就任したことから、登場していないらしい)。ここでの彼の役柄はロボットである。従って年を取らないはずである。それが、ここでは有機体部分は加齢するという設定になっていて、それゆえに、今現在のシュワルツネッガーの顔が、そのまま活かされることになる。傑作なのは、開始間もない部分で、青年時代の彼と現在の彼が肉弾戦を演じること。
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若い頃の姿は、体型が昔のシュワルツネッガーに似ているモデルの顔の部分だけ CG で合成したとのこと。私はこのシーンを大変に興味深く見た。と言うのも、私の周りの連中が「ターミネーターはいい」と言い合っていた頃、つまり 30年前のノスタルジー (それはつまり、シュワルツネッガー自身にとってもノスタルジックな思い出のはず) を、今の自分自身が吹っ飛ばすシーンであるからだ。但し、そこで現在のシュワルツネッガーが勝利を収めるのは、彼ひとりの力ではなく、サラの銃という助けを借りるおかげなのだ。流れた時への思い。それとは裏腹の、まだまだやるぞという思い。ある意味でとても切ないシーンではないか。シュワルツネッガーがいくつになったかというと、今年68歳だ。68歳?! 老人ではないか。でも、その「老人」としての今をさらけ出してうまく利用している点、好感が持てるというものだ。

一方で、この映画のストーリー自体は、それほど驚くものではない。もちろん、タイムマシン物を見ていると、時々、「これは設定が悪いのか、それともオレの頭が悪いのか」と自問自答するような瞬間があるもので、本作にもそのような瞬間が時々ある。それを除けば、割合にスムーズな展開だと言えるだろう。私の場合は、ストーリーにはあまり重きを置かないので、それはよいのだが、この映画の問題点を挙げるとすれば、役者の質ということになるのではないか。何より、サラ役のエミリア・クラークが物足りない。もっと可憐で逞しい女優もいるような気がする。そんな中、脇役ながら気になる役者がいる。警官のオブライエン役の、J・K・シモンズだ。以下の写真ではいちばん左。
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そう、彼こそは、あの凄まじい作品、"Whiplash" でアカデミー賞助演男優賞を受賞した役者だ。この映画をご覧になった方はお分かりだろう。邦題は「セッション」。
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おおこわ。その彼が、この映画では、冴えないアイルランド系の刑事を演じていて、何か心に残る演技を披露している。

この作品から、また新たなターミネーター 3部作が展開するらしい。願わくば、ほかのシリーズ物の轍を踏まず、シュワちゃんのキャラクターを信じて、よい作品が続きますように。そうなると、私もこれまでの 4作をなんとかして見ないといけない。頑張ろう!!
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"I'll be back." だって。もちろんそうして下さいや。

by yokohama7474 | 2015-08-25 23:13 | 映画 | Comments(0)
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