ジュラシック・ワールド (コリン・トレボロウ監督 / 原題 : Jurassic World)

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いろんな映画を楽しみたいといつも思っているのであるが、時折、「IMAX 3Dで見たいなぁ」という思いに無条件で駆られることがある。それはいわば、「ああ、たこ焼き食いてぇなぁ」とか、「思いっきり生ビールをゴクゴク飲みてぇなぁ」という欲求 (おー、なんとささやかな!!) と似たものがある。言ってみればそれは、21世紀の先進国に生きる人間としては、当然許されてしかるべき範囲の娯楽と言えよう。

まあ、理屈はどうでもよいのだが、ある週末、矢も楯もたまらず IMAX 3D が見たくなり、躊躇なく選んだのがこの作品であった。ジュラシック・パークシリーズはこれまでの 3作品をいずれも見ているが、やはり最初の作品が忘れがたい。DNA から恐竜を再生するという、現実的可能性は別としても、少なくとももっともらしい設定がシンプルでよかったし、2作目も含めて、スピルバーグ自身が監督すると、単に恐竜が動いているシーンでも、何かが違うと思ったものだ。まあこれはひいきの引き倒しかもしれないが。

今回の作品では、設定はこれまでのものを引き継ぎ、以前事故のあったジュラシック・パークは廃園となっているものの、同じ場所にこのジュラシック・ワールドができていて、新たな経営者のもと、合理的経営と新奇なもので観客を喜ばせる方針で成功しているというもの。ところが、観客を怖がらせる凶暴な恐竜を作り出すために複数の生物の DNA をかけあわせたハイブリッドな生き物が、その知性を駆使して大暴れするというストーリー。至って単純である。全世界で記録的な大ヒットとなっている。まさに、IMAX 3D での「究極の映画体験」にふさわしい!!

・・・と多くの人は言うのだろうか。正直私は、この映画にそれほど驚かなかったし、要約してしまうと、「スピルバーグ以外の監督では見たくないなぁ」という感想を持ったのだ。そもそも、ストーリーを大して気にしない私が、この映画のストーリーには不満がいっぱいだ。これからご覧になる方のためにネタばれは避けるが、例えば、
・脱走するインドミナス・レックスが生体反応を消すことができる能力が、他の実在の生物から来たものであれば、なぜそれまでに同様の事態が起こっていないのか。意図的に生命反応を消すことができるとすると、そんな生物、どこにいるのか。
・そもそも、リスクに敏感で論理的なアメリカ人がやっているのに、恐竜が脱走したときのプラン B、プラン C がないことなどあり得ない。
・女性が全速力で走り回るのに、ハイヒールが壊れない。そんなことってあり????
・兵器として飼育中のラプターは、対インドミナス・レックスの切り札に使われるほど強いのか。敏捷ではあっても、体格が違いすぎる。
・ましてや、真打ちとして登場する恐竜は、インドミナス・レックスの敵ではないはず。そもそも、この恐竜の登場にはなんら意外性がない (メカ・インドミナス・レックスでも出て来るのか、あるいは主人公の女性が新開発のインドミナス・レックス・スーツに身を包んで自ら肉弾戦を戦うのかと思った)。
・主人公の女性は、相当な責任を追っているはず。騒動が終結したあと、親戚と一緒にぼぅっと座っていてもよいものか。経営者と一緒に不祥事の説明をすべく記者会見に臨み、「申し訳、(一息おいて) ございませんでした」と頭を下げるべきではないのか (あ、それは日本独特の光景か 笑)。

ただ、評価すべき点もある。まず、コイツはなかなかのキャラクターだった。
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また、細かいところで、思春期の子供の心理がそれとなく描かれていたところもよかった。長男がほかのグループの女の子をジロジロ盗み見るところ、あるいは、次男が両親の離婚可能性について泣きながら語るときのつれない反応。また、叔母のクレアを追って現れたオーウェンのことを、「あれ、誰?」と無遠慮に訊く場面。ただ、この種の映画ではもっとこの子供たちが知恵を使って窮地を脱する場面を設定すべきではないのか。ここでの子供たちは、(車を運転したりはするものの) ひたすら逃げ回り、物陰に避難するばかりで、強大な敵に一泡吹かせるシーンは、全くなかった。昨今の映画としては、もうひとつひねりがなかったと言うしかないだろう。

俳優に関して言うと、オーウェン役のクリス・プラットは、なかなか精悍でよかった。
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一方、クレア役のブライス・ダラス・ハワードは、大変申し訳ないが、あまりぱっとしない。第 1作のローラ・ダーンをちょっと思い出させる、なんとなくマイナーな雰囲気を持った女優さんだ。
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調べてみて分かったことには、この人、あのインド人監督 (すみません、どうしても名前を覚えられない。あの、「シックスセンス」の監督) の「レディ・イン・ザ・ウォーター」の主役だったのだ。あーそういえばこんな顔でしたねー。当時、「あんまりキレイじゃないなぁ」と思った記憶が。
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さらに調べてみてなおビックリ。この人、あの有名な監督、ロン・ハワードの娘なのだ。そういえばローラ・ダーンの父親も俳優だったが、知名度からすれば数段こちらの方が上だ。おみそれしました。

改めてこの映画での恐竜の格闘シーンを思い出すと、どこかで見た感覚が甦る。考えてみて分かったのだ。それは、昨年公開されたハリウッド版「ゴジラ」だ。あの映画は結構面白いと思ったが、怪獣に対する感覚が日米で違うのだなとも思ったものだ。西洋人の考える異形の生き物は、基本的に恐竜から来ているというのが正しいところか。
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最後にもうひとつ、くだらない気づき事項。ラプターを飼育しているスタッフの中の黒人は、悪態をつくときに、アメリカ人が使う s で始まる汚い言葉ではなく、「メルド!!」と言っていた。これ、フランス語だ (あ、意味は同様に汚いはずです 笑)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%89_(%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%9E)
ということは、この人はアフリカから来た人という設定なのだろうか。舞台は中米コスタリカだが、アメリカ以外から従業員を集めているということなのか、と、どうでもいいことを考えてしまった。コスタリカと言えば、東京オリンピックのエンブレム盗作事件で騒がれているデザイナーが、以前コスタリカ国立博物館のロゴからも盗作して、名古屋の東山動物園のロゴをデザインした疑いありと、今日報じられている。
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うーん、このくらい許してあげてもいいような気もするし、偶然の一致の可能性もあると思うが・・・。それにしても、誰がこの類似に気づいたのか。名古屋在住でお子さんを東山動物園に連れて行こうと思った人が、やはり家族で「ジュラシック・ワールド」を見てコスタリカに興味を持ち、旅行に行こうと思ってあれこれ調べると、あれ、どこかで見たマークが・・・と気づいたものであろうか。もしそうなら、この 21世紀に先進国に生きる人間としては、漫然と IMAX 3D を眺めているのではなく、思わぬもの同士のつながりに思いを馳せながら、心して映画を見るべきということだろう。まあそれにしても、東山動物園とコスタリカ国立博物館・・・。もしこれが盗作であるならば (その真否は私には分からないが)、まさかその 2つのつながりに気づかれようとは、夢にも思わなかっただろうなぁ・・・。



by yokohama7474 | 2015-09-01 23:43 | 映画 | Comments(2)
Commented by 杜の飲んだくれ at 2015-09-04 12:34 x
私も家族四人で見ました。
親が相談をしている弁護士の専門分野について、子どもが、ささっとネットで検索するというあたりは、日本の近未来そのものですね。
Commented by yokohama7474 at 2015-09-04 23:31
それは便利なのか危険なのか、どっちなのでしょうね。そのうち、「自分の頭で覚えるなんて意味ないよねー」という時代が来るのでしょうか。
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