クレオパトラとエジプトの王妃展 東京国立博物館

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日本でエジプトの展覧会を開くと、魔法のように人が集まるという。確かに、物心ついて、中学生のときに東京国立博物館で見た大エジプト展は、大変な混雑ぶりと、金色の分厚いハードカバーの図録だけ覚えていて、中身はさっぱり覚えておりません (笑)。その後も何度かその種の展覧会に足を運んだが、古代エジプトの神髄が、あの巨大建築にある以上、所詮は外国に持って来られるだけの内容で、血沸き肉躍るという内容にはなかなかなりようがなく、それならば大英博物館のエジプトコーナーをふらついた方がましかもしれない。

大変残念ながら、50 にもなって、未だエジプトに行ったことがない。いや、正確には、カイロに出張で訪れたことは 1度だけあって、午前 2時頃に到着し、同じ日の午前 11時頃には面談を済ませて同地を離れるという強行スケジュールであったため、文字通り空港とホテルの往復だけだった。覚えているのは、せっかく両替したエジプト・ポンドを空港の免税店で使おうと思ったら、「ここではそんなマイナーな通貨は使えない」と断られたことだ。おいおい、空港が国際的な企業の経営になるのは分かるけど、現地通貨くらい使わせて下さいよ・・・(笑)。

古代にあれだけの文明を築いたエジプトも、ここ長らく政治的には安定せず、一時期までは本当に観光客の安全も確保されにくい状況だったはず。最近はどうなのだろうか。スフィンクスが世界 3大ガッカリのひとつだとしても、やはり実際に見てからガッカリしたいものだ。
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無駄口はそのくらいにして、この展覧会についての記述に入ろう。題名が示す通り、クレオパトラをはじめとする古代エジプトの王妃または女王にスポットを当てた、若干毛色の変わった展覧会である。NHK BS で特集番組を組んでいたこともあってか、場内はかなりの混雑であった。古代エジプト学は最近でも進歩を続けているようで、最新の発見が様々なことを明らかにしているらしい。また、日本の調査団もかなり活躍している模様だ。この展覧会のひとつの主眼は、ほかの古代文明と異なりエジプトでは、王妃や女王がかなりの権限を持っていたことを示すことにある。

新王国時代、第 18王朝のハトシェプスト女王 (在位 B.C.1479頃 - B.C.1458頃) は、実際にファラオとして君臨した。父はトトメス 1世、夫はトトメス 2世。義理の息子トトメス 3世を差し置いて王座につき、その後トトメス 3世に追いやられたと見られている。注意を引くのは、彼女が男装していたということだ。今回の展覧会には来ていないが、こんな、体を褐色に塗ってひげをはやした彫像が残っている。
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また、この有名なハトシェプスト葬祭殿を築いたことでも知られる。あ、同様に今回の展覧会には来ていません (当たり前だって 笑)。
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また、ティイという王妃がいる。彼女はあのツタンカーメンの祖母にあたり、アメンホテプ 3世 (在位 B.C.1386年? - 1349年?) の妃だ。息子のアメンポテプ 4世が宗教改革を起こし、太陽神アテンを崇める世界初の一神教を信奉し、それまでのテーベからアマルナに首都を遷都した。つまりこのティイの生きた時代は、大きな動きが起こっていたわけである。興味深いのは、このミイラの DNA 鑑定で、息子アメンホテプ 4世及び、孫であるツタンカーメンとの比較の結果、ティイに間違いないという結果が最近出ているとのこと。髪もあれば、未だに 3,500年前の表情が残っている点、実に驚異的だ。あ、すみません。このミイラも、展覧会には出品されていません。私が謝ることではないのだが。
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そして最後はクレオパトラだ。パスカルの「パンセ」で、「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら世界の歴史は変わっていた」と書かれているのは有名な話。だが、今回出展されているこの彫刻はどうだ。鼻の先が欠けているではないか!! これなら、世界の歴史を変える心配はないから、安心して見ていられる (笑)。どうせ適当にクレオパトラと称されているだけと思った方。心しなさい。制作年代はクレオパトラの治世と見られており、所蔵しているのはあのヴァチカン美術館なのですぞ。その信憑性を疑うとは、恐れ多い。
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NHK の番組によると、最近の研究、例えば同時代のコインの肖像などからクレオパトラが絶世の美女であったとは限らないという説が有力になっているらしい。彼女がローマの有力者を次々虜にしたのは、美貌よりもむしろ、その知性や語学力、またコミュニケーション能力によるものであったと考えられているとのこと。まあそれはきっとそうなのでしょうが、一応古代のロマンというものもありますからね。真実が分かるのが必ずしもよいとは限らないという考えも、一部はあってもよいのでは、と思ってしまう。尚、クレオパトラの君臨したアレクサンドリアの宮殿は、大昔の地震で海の底に沈んでしまったらしく、最近盛んに発掘されているし、数年間にパシフィコ横浜で、「海のエジプト展」という展覧会もあった。一応足を運んだが、ありえないくらいの大混雑で、最初から最後までイライラし通しであったことしか覚えていない。このような映像には心躍るものを感じるのだが。あ、これも今回の出品作ではありません。
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ところでお気づきになっただろうか。この記事、肝心の展覧会に飾られている作品をほとんど紹介していない。というのも、残念ながらワクワクドキドキできる展示品が、あまり多くないからだ。もちろん、ひとつひとつの展示品の中には、じっくり見れば興味尽きないものもいろいろある。だが、歴史のダイナミズムを感じるには、やはり現地の雰囲気を知りたいし、まさにこれはすごいというレヴェルのものをもっともっと見たいと思う。それってないものねだりなのだろうか・・・。

ところで、上野で美術館めぐりをするときに困るのは、昼食の場所なのである。各美術館にそれなりに食事できるところはあるものの、昼時は混雑して大変なのだ。そういう人に朗報だ。東京国立博物館の敷地内に、このような屋台 (?) 発見。そんなに混んでいないし、たこ焼きは結構いけましたぞ。これで上野の美術館めぐりも怖くない!!
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by yokohama7474 | 2015-09-05 23:31 | 美術・旅行 | Comments(0)