秋山和慶指揮 東京ニューシティ管弦楽団 2016年 3月19日 東京芸術劇場

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このブログでも散々私の敬愛の情を表してきた指揮者、秋山和慶のコンサートである。東京で聴ける彼のコンサートには、なるべく出掛けたい。そして今回指揮するオケは、なになに、東京ニューシティ管弦楽団だと? 最近東京のオケを聴くのに大変忙しくはしているのだが、このオケの生演奏は未だ聴いたことがない。一体どんなものか、聴きに行くこととした。

まずは整理しておこう。家人なども、時々は東京のオケを聴いているはずなのに、東京フィルと東京交響楽団の区別がついていない。そこで今回はまず、出血大サービスで東京のオーケストラについて概観しよう。まず、主要オケは 7つ。以下五十音順にご紹介する。

 NHK 交響楽団 (通称「N 響」)
 東京交響楽団 (通称「東響」)
 東京都交響楽団 (通称「都響」)
 東京フィルハーモニー交響楽団 (通称「東フィル」)」
 新日本フィルハーモニー交響楽団 (通称「新日フィル」)
 日本フィルハーモニー交響楽団 (通称「日フィル」)
 読売日本交響楽団 (通称「読響」)

これで、東京フィルと東京交響楽団が違うということを覚えて頂けただろうか (笑)。ひとつの都市にこれだけプロのオケが終結している例は世界でもほかにないであろう。ところがである。これでもまだ充分ではない。あと 2つ、プロのオケがあるのだ。
 
 東京シティ・フィル
 東京ニューシティ管弦楽団

おっと、東京とシティがつく団体はちょっと違うのだろうか。いやいや、それはたまたまで、この 2つの団体が演奏回数等々において少し控えめであるというだけで、やはり同じプロのオケなのだ。そして今回、私は初めて東京ニューシティ管を聴く。それはもちろん、繰り返しになるが、この人が指揮するからだ。
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その高い指揮技術には定評があるばかりか、日本各地のオケに登場してはその水準向上に貢献している指揮者である。うーん、これだけの能力の指揮者に振られると、いかなるオケでも本気にならざるを得ないということか。そして今回の曲目はかなり本格派だ。

 ベートーヴェン : 劇音楽「エグモント」序曲作品 81
 ハイドン : トランペット協奏曲変ホ長調 (トランペット : 松山 萌)
 ブラームス : 交響曲第 4番ホ短調作品 98

ほぅ、堂々たるドイツ物だ。秋山の広いレパートリーの中でも、これだけドイツ物真っ向勝負は珍しい。初めて聴く東京ニューシティ管弦楽団。果たしてどのようなオケなのか。定期演奏会の会場は池袋の東京芸術劇場だ。
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冒頭の「エグモント」序曲は、迫力ある曲であるが、フレージングがうまく流れないと、曲の本当の重みが出てこない。期待の中、秋山が渾身の唸り声とともに指揮棒を振りおろした。うーん、ちょっと管楽器と弦楽器の溶け合いに課題が残ったか。だが、その後曲が進むにつれ、特に弦楽器の献身ぶりが奏功して、結果的にはなかなかの演奏になったのである。

2曲目のハイドンのトランペット協奏曲は、古今の (と言ってもそうたくさんはないが 笑) トランペット協奏曲の中でも屈指の名作だ。ソロを吹くのは、まだ 2年前に芸大を卒業したばかりの松山萌。彼女は今回、ピアニストやヴァイオリニストのようなワインレッドの華麗な衣装で登場し、時々トランペットをふぅっと空吹きしながらの演奏であった。秋山の練達の棒が絶妙で、きっと気持ちよく吹けたことであろう。
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そしてメインは、逃げも隠れもできない (あ、誰も逃げたり隠れたりする必要はありませんね。笑) ブラームスの第 4交響曲だ。ここでも秋山の職人性は際立ち、きっとオケの人たちも気持ちよく演奏できたのではないか。コントラバス 6本の小さめの編成であったが、弦楽器のねばりはなかなかのもの。東京のトップオケに比べれば、音の緊密性には未だ課題ありと思ったが、全力投球の演奏には好感が持てた。そして演奏終了後、コンサートマスターがマイクを持って語るには、創立 25周年の定期演奏会 (第 104回) を無事終えることができた、今後ともよろしくお願いしますとのこと。そして楽員たちはホワイエに出て、聴衆を見送ったのであった。

私は時々思うのであるが、音楽の奥深さとは、超一流の特別な演奏にだけあるわけではない。メジャー 7楽団に追いつけ追い越せ、このようなオケの人たちの懸命な演奏に、音楽の真実があると思うのである。東京の音楽界は既に満杯状態で、あれもこれもというわけにはいかないが、なるべく多くの演奏を聴きたいと改めて思うのである。このオケは 11月にはあの現代屈指のピアニスト、クリスティアン・ツィメルマンをソリストに迎えて、彼の祖国ポーランドのクナピクという作曲家の協奏曲を演奏する。なんとも意欲的な試みだ。その演奏会に行けるか否かは現時点では不明だが、ちょっとトライしてみたい。

by yokohama7474 | 2016-03-19 23:38 | 音楽 (Live) | Comments(0)