東京 大田区 蓮花寺

今日は 3月20日春分の日、お彼岸の中日である。親戚や先祖の墓にはなかなか詣でることができないので、その方角に向かってせめて気持ちだけでも合掌したあと、近所の寺へ。大田区西蒲田にある蓮花寺 (れんげじ)。伝承によれば、11世紀初頭、あの有名な恵心僧都による開創で、鎌倉時代の嘉永年間 (1225 - 27) に中興したのは、蓮沼 (れんしょう) 法師であるという。この蓮沼法師、本名を荏原 兵部有治 (えばら ひょうぶありはる) といって、荏原郡の地頭であったが、ある出来事をきっかけに発心し (って、キリスト教におけるパウロのようなものか 笑)、出家したとのこと。この近くの駅の名前は、きっとその蓮沼法師に因むのであろう、「蓮沼 (はすぬま)」。東急池上線で、ターミナルの蒲田から 1駅だ。この寺には蓮沼法師の活躍時期と同年代の作とされる十一面観音が祀られている。普段は秘仏で、年に 4回だけ、すなわち春と秋の彼岸中日、それに 1月と 7月の 17日だけ公開される。大田区指定の文化財である。事前に電話で仏像の公開を確認の上、いざ、現地へ。このような二つの門のある立派なお寺である。門前に枯山水。これも珍しい。また、昔の街道から近いせいか、石仏も門前に並んでいる。
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本堂はかなり立派である。また、何台もの車が停まっていて、檀家の多い寺であると思われる。
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本堂には既に法要を待つ檀家の方々が大勢入っておられる。その中でまごまごしていると、住職とおぼしき立派な僧が、「どうぞどうぞ、もっと近くで拝んで下さい」とおっしゃる。その言葉を待つようにズカズカと厨子の前まで進み、ご本尊の十一面観音を間近で拝する。境内にはこのような案内板がある。
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この仏像は鎌倉時代の作とあるが、平安時代の雰囲気もお持ちである。彫りあと鋭い複雑な衣紋や、少し重心を右に移した観音像らしいお姿は、遥か上代の壇像彫刻をすら思わせる。右側にだけ髪飾りの一部が残っているが、当初はきっと瓔珞などの装飾に飾られていたであろう。台座は明らかに後補であり、光背もないが、きっとこの地で 750年以上、大切に守られてきたのであろう。人々の思いがそのお姿に染み込んでいる。お顔の描線や紅が、その証拠だ。
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上の看板にも記述があるが、戦国時代の天文年間、兵火がこの寺を襲ったときに、すぐにはお堂は燃えることなく、本尊を移すとたちまち火が燃え広がったことから、「火除け観音」として信仰を集めたという。いやなるほど、東京にもこのように古い歴史を持つ仏像があれこれおわすわけである。なんと素晴らしいことか。これからも東京都内の仏像を探索して歩きたい。春分の日、超安・近・短の旅でした。

by yokohama7474 | 2016-03-20 22:25 | 美術・旅行 | Comments(0)