スノーホワイト 氷の王国 (セドリック・ニコラス = トロイヤン監督 / 原題 : The Huntsman ; Winter's War)

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2012年に制作された「スノーホワイト」という映画の続編である。その映画、どうやら白雪姫の裏話のような映画であったが、私はそれを見ることができなかった。だが、基本的に空想物語系には興味があり、伝説やおとぎ話の裏にある謎といったものにも心を惹かれるので、この映画を見に行ったのである。以前見た「マレフィセント」は結構楽しんだが、この映画も似たような雰囲気なのだろうか。

だが正直なところ、この映画には親指を立てるわけにはいかなかった。1作目を見ていないとストーリー展開も納得できないし、いかに私が饒舌でも (笑)、この映画を語る言葉にどうしても限界が生じてしまう。そもそも 1作目を見ていないと、劇中で名前は言及されるがここには登場しないスノーホワイトなる人物が白雪姫であると、どうして分かろう。解説によると、ここでシャリーズ・セロン演じる邪悪な女王ラヴェンナは、1作目でスノーホワイトに退治されるらしく、この映画のほとんどはそれに先立つ話。だが最後の方にはラヴェンナが復活するというシーンがあり、ラヴェンナが死亡する 1作目よりも後の話。このように時間軸もややこしい。また、クリス・ヘムズワース演じるところのエリックという役は、1作目でも活躍したというし、ドワーフ (って、「ロード・オブ・ザ・リング」特有のキャラではないのだね) を演じる役者も 1作目と共通しているらしい。そんなわけで、1作目を知っている人ならともかく、何も予備知識のない人が見ると、あちこちで問題発生。キャラクター同士の関係もよく分からず、また、誰が何のために戦闘しているのか、なぜ原題が "Huntsman" というのか、すべてチンプンカンプンだ。いかにシリーズ物とはいえ、少しそのあたりの配慮が欲しかったものだ。それからこの映画への小さな不満は、アクションシーン。いわゆる殺陣だが、あまり鮮やかには見えないのはどうしたことだろう。そういう小さな不満の積み重ねが、登場人物への感情移入も阻害してしまうのは残念なことだ。監督はこの作品がデビューとのことだが、そんなことも関係しているのだろうか。

あまりけなしていてばかりいないで、少しよいことも書くとすると (笑)、やはり 3人の女優であろうか。なんと言ってもここでの主役はこの人、ラヴェンナの妹、氷の女王フレイヤを演じるエミリー・ブラントだ。
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私はこの女優さんの優しい顔が好きで、「ヴィクトリア女王 世紀の愛」での女王の若くけなげな様子、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」での攻撃的なかっこよさ、「イントゥ・ザ・ウッズ」でのミュージカル女優ぶりなど、これまで様々な役をこなすのを見てきたが、今回はコスプレか (笑)。不幸な過去と同時に、閉ざされた心の中に温かさを持つ氷の女王。なかなかの難役であっただろう。欲を言えば、時に優しさがほの見えるのは、この場合若干のマイナスかも。

そしてその姉、邪悪なラヴェンナを演じるのは、シャリーズ・セロン。この人の作品による過激な変身ぶりには定評あるところだが、ここでも楽しんで演じているのがよく分かる。もしかして楽しみすぎかも。
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それから、エリックと恋仲の女戦士、サラを演じるのは、ジェシカ・ジャスティン。「ゼロ・ダーク・サーティ」「オデッセイ」「クリムゾンピーク」など、彼女も様々な役柄で大活躍。「ハンガー・ゲーム」のカットニス役ではありません (笑)。
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この 3人の女優の存在感はそれぞれに優れたものがあって、撮影現場では、エリック役のクリス・ヘムズワースは彼女らの弟のようにおとなしかったという。私は、「マイティー・ソー」の最初の作品では彼をあまりカッコいいとも思わなかったが、「ラッシュ / プライドと友情」あたりから、なかなかよいと思うようになった。今後もますますの活躍が期待できよう。
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ただ、このエリック役が、やたらと「愛はすべてに勝つ」という信念を口にするのだが、昔流行った歌謡曲でもあるまいに、そんなことを繰り返すとちょっとウソっぽさを感じてしまうのが、現代人の悲しい性。もう少し大人の鑑賞に堪える描き方もあったように思うが、いかがなものだろうか。

そんなこんなで、あまりよいことを書けないことは申し訳ないが、まだ 3部作の 2作目ということだ。遡って 1作目を見て、そして来るべき 3作目も見てみれば、何かこれまで分からないことが分かってくるのかもしれない。もしかしたらそのとき私は、素直に「愛はすべてに勝つ」と唱えているかもしれない (笑)。

by yokohama7474 | 2016-06-13 23:56 | 映画 | Comments(0)