10 クローバーフィールド・レーン (ダン・トラクテンバーグ監督 / 原題 : 10 Cloverfield Lane)

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いつもグダグダと寄り道が多いのがこのブログの売り (?) だと思っているのだが、今回はまず感想から始めよう。この映画、かなり面白い。だがその面白さを誰かに伝えようとすると、どうしてもネタバレになってしまうのだ。なので、まず書くべきは、この映画の先が読めないということであろう。ただ、予告編の雰囲気で、地下室に閉じ込められた男女が外界から遮断された話であることは分かるし、建物の外にはどうやら何か地球外生物がいる様子である。上のポスターを見るだけで明らかなのは、「奴らはあらゆるフォームでやってくる」ということだ。奴らとはこの場合、上の映像にあるように、明らかに地球外生物。女性主人公がそれから走って逃げているということは、やはり地下室に閉じ込められている女性は脱出に成功するということだろうか。

とここで突然話題を変えよう。この作品の題名は、珍しいことに、原題をそのままカタカナにしただけだ。"Cloverfield Lane" の "Lane" とは、細い道のことで、日本語だと、「小路」だろうが、 "Street" と同じ「通り」という言葉で訳してもよいだろう。つまりこの題名は、「クローバーフィールド通り 10番地」という意味なのだ。その住所表示の寂しい印象は、こんな感じで表されている。
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一体「クローバーフィールド通り」とは何なのだろう。実は私もこの映画を見てから知ったのだが、この映画の製作者、J.J. エイブラムス (いろいろ面白い映画に関与しているが、最近の業績と言えば、やはり「スターウォ-ズ / フォースの覚醒」の監督であろう) の経営する会社、バッド・ロボットの所在地の前の通りなのである。なんちゅうマイナーな。
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そしてもうひとつの話題。これも映画を見てから知ったことなのであるが、これは以前公開された映画の続編であるのだ。「クローバーフィールド /Hakaisha」という映画。
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これはやはり J.J. エイブラムスの製作になる映画で、2008年公開。私はこの映画を見ていないのでなんとも言えないが、この首のもげた自由の女神には、なんとも言えない終末感を感じざるを得ない。因みに原題にもある "Hakaisha" はもちろん日本語の「破壊者」で、英語で言うところの "Destroyer" の日本語訳を題名にしたらしい。そしてここには、日本発祥の怪獣 = Kaiju が出てくるらしいのだ。なるほど。それゆえ、この映画のポスターにも怪獣のようなものが描かれているわけだ。

いやそれにしても、繰り返しになるが、先の読めない映画である。予告編では、このような男女が人生ゲームをやっているシーンがある。
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私がこの映画を見たいと思った大きな理由のひとつは、上の写真の左端にいるジョン・グッドマンの出演なのである。「バートンフィンク」をはじめとするコーエン兄弟の映画を特徴づける、「叫ぶデブ」である。
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この映画における彼は、細菌に犯された地球上で、シェルターに籠って生きながらえるための救世主のようにも見えるが、また、頭のおかしい偏執狂のようにも見える。実は映画が終わってもその点は解決されない。この謎めいたキャラクターを演じるには、ジョン・グッドマンは最適と言えるだろう。そして、何やや最初からわけありげのヒロイン、ミシェルを演じるのは、メアリー・エリザベス・ウィンステッド。ここではまさに体当たりの演技と言えるであろう。なにせ、こんなシーンから
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こんなシーンまで。
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あ、表情はあまり変わりませんね (笑)。実際の映画の中では、このふたつのシーンは全く違うのですが。彼女はホラー映画のいくつかに出演し、スクリーム・クイーンとして知られている由。このように活発に活動しながらも、叫ぶべきところで悲鳴を上げることは、スクリーム・クイーンとして必須のことなのでしょうな。そして、この実質的に 3人だけによって密室の中で繰り広げられる映画には、ストーリーはともかく実際の俳優たちにとっては逃げ場のない修羅場なのであろうと思う。こんな感じで、到底逃げられるものではない。
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まあそれにしても、これで 3度目になるが (笑)、本当に先の読めない映画である。ただ、登場人物の必然性はそれぞれにあり、このヒロインが巨大な何者かに立ち向かうには、制作者たちが映画を作るにあたって用意した車やそのキーや、あるいは道路の向かう先までもが、ジグゾーパズルのように絡み合う。そうだ、この映画の作り手は、あたかも神のように登場人物たちの命をもてあそんでいる。その最たるシーンがこれなのであるが、この後何が起こるのかは、ご覧になる方だけのお楽しみ。
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終結部では主人公の決断が描かれるものの、その先の運命については何も語られていない。もしかするとこのシリーズ、これからもどんどん続いて行くのかもしれない。第1作と全く異なり、ストーリー展開に連続性がないらしいこの第2作。そうなると、個々にプロットされた点と点がどこかに線になるのだろうか。機会あれば第1作も見て、この世界の作り手たちの今後の想像力の展開に備えたいものだ。

by yokohama7474 | 2016-07-02 23:48 | 映画 | Comments(0)