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X-MEN アポカリプス (ブライアン・シンガー監督 / 原題 : X-MEN Appocalypse)

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マーヴェル社のアメリカン・コミックを原作とし、数々の超能力を持つミュータントたちがその能力を遺憾なく発揮するド派手な映画シリーズ、それが「X-MEN」である。2000年に最初の映画が公開されて以来、これまでに5作のシリーズと、それから、主要キャラクターであるウルヴァリンを主役とする作品が2本。加えて、先頃このブログでもご紹介した「デッドプール」もこのシリーズの派生作品である。私はその中の一部しか見ていないが、よく考えて見ると、最初の作品から16年間でこの「X-MEN アポカリプス」を含めて9本の作品が作られているというペースはなかなかにすごい。日本人になじみのあるキャラクターはそれほど多くないが、米国ではきっと、それぞれのキャラクターにファンがいるような状況なのであろうか。

ただ、シリーズを重ねるごとに、時代を遡ったり進んだりするので、ちょっとまぎらわしいことが難点と言えば難点か。きっとマニアなら充分各キャラクターをフォローしていて、そのキャラクターに関するエピソードなどもそらんじているのであろうが、私はそこまでは全く到達していない。だが、そんな私とても、二人の主要キャラクターは分かる。これまでの作品でパトリック・スチュワートが演じてきたプロフェッサーX(チャールズ・エグゼビア)と、イアン・マッケラン演じるマグニートー(エリック・レーンジャー)だ。
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ところが今回の作品では、この二人は登場しない。いや、正確には、この二人の俳優は登場しない。だが、それぞれの役柄は今回も登場するのだ。どういうことかと言うと、今回の時代設定は1983年。若き日のチャールズとエリックが登場する。このような写真が分かりやすかろう。
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なぜこれを書いているかというと、私のようなのんき者は、映画の途中でこれらキャクターの若き日の姿であることに気づいたからである。遅いって(笑)。いや、もっと間抜けなことには、過去にハル・バリーが演じたストームの若き日の姿は分かったが、ファムケ・ヤンセンが演じたジーン・グレイについては、自宅で過去のプログラムを取り出してからハタと「あ、あれが」と気が付く間抜けぶり。ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンは、今回は予告編でも少し出ていた通り、ごく一部しか出てこないが、そういえばほかの映画では、「ジーン」「ジーン」とうるさかったことを思い出した。すると、この映画には、ウルヴァリンとジーンの運命の出会いが描かれているということになる。
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今回若き日のジーンを演じるのは、ソフィー・ターナーという英国人の女優。1996年生まれというから、未だ20歳ということになるが、とてもそんなに若くは見えず、演技の質そのものはさておき、「若きジーン」を自然に分からせるような初々しさを感じさせる配役になっていない!!と、製作者側の責任にしてしまおう(笑)。
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劇中でジェニファー・ローレンス演じるミスティークが、このジーンに対して、「私がこの子ぐらいだった頃」というセリフを吐くが、正直、この2人の年の差がそれほど明確ではないので、予備知識のない方はあまり実感を持ってそのセリフが耳に入ってこないのである。こんなメイクをするのは誠にご苦労さんですなぁ。このキャラクター、私はあまり好きではないのだが、こういうメイクがたまらんっていう人もいるのだろうか。
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そんな中、今回強烈な印象を残すのは、なんと言っても強大な力を持つ敵役のキャラクター、アポカリプスである。聖書の「黙示録」を意味するこの言葉、この悪人にはピッタリなような大げさなような。
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演じるのは、以前映画「エクス・マキナ」の記事で称賛したオスカー・アイザックだ。素顔はこんな人だ。少し面影があるような、ないような。いずれにせよこの映画ではなかなかの存在感を発揮していて、悪役に存在感があると映画は面白くなるという鉄則に鑑みても、この作品は彼をこの役に得ただけで、既に面白い映画になることは確約されたようなもの。
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このように今回は、役者とそのメイクに焦点を当てた記事になっているが(笑)、その世界観とか細部の演出について、あまり語る必要を感じない。このシリーズの設定に特に思い入れのない私のような人は、例えば、世界のミュータントの意識が織りなす世界に入って行く巨大な機械、セレブロに冷ややかな目を向けてしまうのだ。現実に存在して、しかも我々の日常に入り込んでいるインターネットという奴でも、既に充分に気の遠くなるような複雑な世界だ。また、ユダヤ人のエリックがアウシュヴィッツで本格的に巨大な能力を発揮するあたりも、現実世界の狂気に拮抗する架空の設定としては、それほど衝撃的ではない。
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だがその一方で、これだけふんだんにCGを使って、普通我々が生きている実生活で目にすることがない(当たり前だが 笑)ような超常現象を、リアリティを持って見せられると、無条件に快感を覚えるのも事実。最近のヒーローもの映画の多くは、既に勧善懲悪では立ち行かないし、ヒーローであることの宿命に耐えかねて仲間割れを始めるなど、どうにもカタルシスのない作品が多いが、この映画はその点、もったいぶるシーンは少なく、単純に力と力が炸裂している。いかに現実離れしていても、これだけの映像を見るだけでも面白く見ることができる。あ、あと、登場人物のことをよく知らなくてもね(笑)。
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このシリーズ、来年ウルヴァリンの3作目が公開予定であるらしい。そのうちヒュー・ジャックマンの若い頃という設定の新進俳優でも出てくるのであろうか。これはシリーズ最初の作品「X-Men」での彼。さすがに若い。今やハリウッドの一流俳優に成長した彼も、この頃はどのように自分を発奮させて役作りに取り組んだのであろうか。
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功成り名を遂げたあとも、原点を大切にする人は立派である。どうやらヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じるのは次回が最後とアナウンスされているようだが、「シン・ウルヴァリン」とかなんとか名乗って、またこの役に戻ってきてほしいものである。シリーズ自体もまだまだ継続してもらい、私はその度にストーリーを反芻させて頂きたいと思います(笑)。

by yokohama7474 | 2016-09-19 23:58 | 映画