2016年 09月 24日
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮 読売日本交響楽団 2016年9月24日 東京芸術劇場
事前の発表では、チャイコフスキーの3大バレエとしか記述がなかったが、曲目詳細は以下の通り。
チャイコフスキー : バレエ音楽「白鳥の湖」から序奏/ワルツ/4羽の白鳥の踊り/ハンガリーの踊り/スペインの踊り/フィナーレ
チャイコフスキー : バレエ音楽「眠りの森の美女」からワルツ/パノラマ/アダージョ
チャイコフスキー : バレエ音楽「くるみ割り人形」第2幕
19世紀の音楽文化には数々の成果はあれど、チャイコフスキーのバレエ音楽は、その中のひとつとして、充分に人類のかけがえのない遺産に数えられる。そのことは分かっていたつもりであるが、ロジェヴェンが登場して、いつもながらに指揮台のない平土間のステージ上で長い指揮棒を操り始めたときから、もう心がやられてしまっている。こんな素晴らしい音楽を作り出した人類は、本当にすごい。それぞれの人間に与えられた生は限られたものであっても、このような音楽が鳴り響く地球とは、なんと素晴らしい星であることか!!・・・と、あえて大げさに書いてみたが(笑)、今日の読響は、コンサートマスター小森谷巧以下、本当にすごい音響が鳴っていた。これぞロシア音楽の醍醐味。バレエ音楽の醍醐味。前半の曲目の盛り上がりでは、ブルックナーを想起するほどの分厚く勢いのある音が鳴っていて、いつも日本のオケの金管に残念な思いを抱いている私にとっても、全く間然とするところのない華麗な音響であった。もちろん後半の「くるみ割り人形」第2幕には、このバレエの組曲でおなじみの曲があれこれ含まれていて、もう楽しいことこの上ない。85歳にしてこの生命力溢れる音楽を奏でるロジェヴェンは、やはり現代における最高の指揮者のひとりである。もう何も言うことはない。あるとすればただひとつ、また元気に来日して下さいということだけだ。