パーヴォ・ヤルヴィ指揮 NHK 交響楽団 (ピアノ : デニス・マツーエフ) 2016年10月1日 NHKホール

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名指揮者パーヴォ・ヤルヴィを首席指揮者に迎えて2シーズン目のNHK交響楽団(通称「N響」)。9月からの新シーズンは快進撃の始まりだ。このブログでも既に今月2回の演奏会をご紹介したが、これもまた素晴らしい演奏会。NHKホールでのC定期である。曲目は以下の通り。
 プロコフィエフ : ピアノ協奏曲第2番ト短調作品16(ピアノ : デニス・マツーエフ)
 ラフマニノフ : 交響曲第3番イ短調作品44

ご覧の通りロシア物なのであるが、その極めて器用な指揮ぶりで既にしてN響の聴衆に強い印象を残しているヤルヴィが、今回もやってくれた。だがそこには共犯者がいた。ピアノのデニス・マツーエフである。
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昨年6月12日、未だこのブログを始めて間もない頃、テミルカーノフ指揮の読響の演奏会の記事で彼の演奏を採り上げた。その大きな体から弾き出されるピアノの音はすべてが生命力に満ちている。個々の音の粒立ちのデリカシーはあまりないものの、ここまでバリバリ弾かれると、脳天が直撃されるような強烈さに打たれるのである。今回マツーエフが弾いたプロコフィエフの2番のピアノ協奏曲は、まさにバリバリの技術が川沿いのラプソディしているような曲(?)。一歩間違えれば濁流に呑まれて流されるような危うい曲だ。特に第1楽章のクライマックスで、波打つようなピアノのバックでオーケストラが咆哮する瞬間は、何度聴いても鳥肌が立つ。ヤルヴィの長い腕がその川沿いのおっとどっこいを導き出す中、マツーエフのピアノは、危ういバランスの中、自ら濁流の中をバリバリ泳ぎ、そして終曲の最後の和音では、以前も見た通り、ピアノの鍵盤に指を押し付けてから、跳ね上がるように立ち上がったのである。凄い演奏だ!!ここではN響の音響の凄さも際立っていた。私はこれまでNHKホールの音響を悪しざまに言ってきたが、どういうわけか今回は音がよく響く。ホールに何か細工されたのか、それともヤルヴィのマジックによるものか。と思いを巡らせていると、マツーエフが2曲のアンコールを演奏した。最初はシベリウスの13の小品作品76から第2曲、練習曲。マツーエフにしては淡々とした曲である。だが2曲目はすごい。以前も読響の演奏会のアンコールで弾いたジャズナンバー、「A列車で行こう」だ。言うまでもなくデューク・エリントン楽団の名ナンバー。だけどここでのマツーエフの演奏では、曲の原型をとどめていませんでしたよ(笑)。

そして後半、ラフマニノフの3番である。この作曲家の最後から2番目の曲で、ハリウッド調の甘美なメロディとリズミカルな音型の織りなす綾に、最後は作曲者得意のグレゴリオ聖歌「怒りの日」までが絡み合うごった煮交響曲。ここでもヤルヴィの面目躍如であり、充実した音の絨毯を見る思いだ。
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このコンビは昨年船出したばかりであるが、もしかすると今後、相当な高みに達するのではないかと予感させるものがある。N響新時代、期待しておりますぞ!!

by yokohama7474 | 2016-10-02 23:52 | 音楽 (Live) | Comments(0)