川崎市 影向寺 薬師三尊像公開 2017年1月3日

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皆様、あけましておめでとうございます。2017年も始まってしまいました。さぁ、新たな年に向けて頑張ろうではありませんか。今年がこのブログをご覧の皆様にとって、また世界にとって、よい年でありますように。東京地方では年末年始は一貫して大変よいお天気であったので、川沿いの我が家から元日の朝に見た富士も、このようにきれいなものでした。

さて今年は、今日1月3日に身近なところで歴史を実感しようと、我が家からは多摩川を亘ってほんの数キロのところにある川崎市宮前区の影向寺(ようごうじ)にお参りすることとした。ここには、仏像ファンには既におなじみの重要文化財の仏像が鎮座ましましている。我が家から最も近い距離にある重要文化財だろう(目黒の五百羅漢寺及び大圓寺と同じくらいの距離か)。実際、この武蔵野は実に1300年ほどの歴史を持つ古い場所であり、近世以降に様々な理由で発展した江戸・東京よりも遥か遥か遡る大昔の歴史的遺産がいろいろとあるのである。今回ご紹介する川崎市の影向寺は、そのような悠久の歴史に思いを馳せることができる場所なのだ。
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川崎の住宅街から狭い坂道を登って行ったところにこの寺はある。重要文化財指定の仏像を収めた収蔵庫の開扉は年末年始と8月5日、11月3日のみで、実に貴重な機会なのである。私は家人とともに以前この寺を訪れたことがあるのだが、調べてみるとそれは、2013年11月3日。つい先日だと思っていたが、既に3年超の月日が経っている。その後私もこのブログを始めたこともあり、今回は年始の初詣として訪れることとした。凛とした冬の空気を胸一杯に吸って、日常とは違う太古の歴史に少しでも近づこう。前回の訪問時にはなかったが、この地域の発掘調査により、つい2年前に国の史跡に指定されたらしい。実はこの場所、寺伝では奈良時代に聖武天皇が行基に開かせたということらしいが、発掘される瓦からは、それよりもさらに前の白鳳時代の創建であるとされているのである。
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小さな門には、初詣期間中の正月三が日に、平安時代からこの寺に伝わる薬師三尊の開扉についての案内が。正月も既に3日ということもあってか、境内には人もまばらで、その青い空に悠久の歴史を思うにはうってつけの日和である。
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境内に入ってすぐ右手には、聖徳太子を祀るお堂が。一見して太子ゆかりの法隆寺夢殿を思わせる建物だ。近年の建造だが、ご本尊の聖徳太子像は、鎌倉後期から室町時代の造立と思われる、川崎市指定文化財。いかにも地元の信仰を肌で感じることのできる場所である。
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正面の本堂は、1694年建立の神奈川県指定文化財。内陣と外陣がはっきりと分かれた天台宗の建築の伝統を継いでいる。やはり地元の人たちに大事にされてきた様子が伺えて、気持ちが穏やかになる。実際に信心深いご家族が何組かお参りされていた。
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ただ、この赤い提灯に記された警句には、なんともユーモラスなものもあって面白い。ご住職の趣味なのであろうか(笑)。
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そして、推定樹齢600年の「乳イチョウ」。乳を出すのにご利益があるらしい。
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そして、特別公開中の薬師如来その他を収める収蔵庫。そして、おっとここにも洒脱な警句をあしらった赤い提灯が。あっはっは。笑う門には福来たる。でも、「女房、鉄砲、仏法」ってどういう意味?御しがたいが重要なものということでしょうかね。
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重要文化財に指定されているのは三体。いずれも平安時代の作とされている薬師如来と日光菩薩・月光菩薩。だがこのご本尊と両脇侍は、もともと一具のものではなかったと見られているらしい。ご本尊は戦前の文化財保護法における国宝ということで、現在でも国宝復帰の運動が続けられているが、私の独断では、この仏さまはここに千年もおられることにこそ意味があるのであって、たとえ国宝でなくても、その素朴な持ち味は分かる人には分かるのだ。以下、お寺のホームページから借用して、薬師如来とその両脇侍、二天像に十二神将の写真をご覧頂こう。関東でもこのような古いお寺で遥か昔に思いを馳せることができるということは、忙しい現代人にとっていかに大事なことであろうか。
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実に古色ゆかしいとはこのことだろう。我が家から数キロしか離れていないこの土地で、大事に守られてきた仏さまたちである。やはり古代の息吹を現代に伝える霊験あらたかな場所。数年に一度は足を運びたい。そして拝観を終えたあと、境内でこんな碑を見つけた。
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なんと、あの西脇順三郎の歌を刻んだものだ。西脇はもちろん、シュールレアリズムを日本に紹介した詩人であり英文学者。慶応の教授でもあった。モダニストの印象が強い彼がこんな古い仏教の地で歌を詠んだとは。なんとも興味深いことではないか。彼もまた、あの素朴な薬師如来の前で手を合わせたのであろうか。1000年を超える文化の出会い。
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今年は、武蔵野の古い歴史を育んだ多摩川を巡るタイプスリップにもできる限り経験してみたい。今年もあらゆる文化を楽しみましょう!!
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by yokohama7474 | 2017-01-03 22:30 | 美術・旅行 | Comments(0)
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