2017年 02月 26日
アントニ・ヴィト指揮 新日本フィル (ピアノ : クシシュトフ・ヤブウォンスキ) 2017年 2月25日 すみだトリフォニーホール
さて今回新日本フィルに初登場したヴィトが指揮したポーランド・プログラムとはいかなるものであったのか。
スタニスラフ・モニューシュコ (1819 - 1872) : 歌劇「パリア」序曲
ショパン (1810 - 1849) : ピアノ協奏曲第 1番ホ短調作品 11 (ピアノ : クシシュトフ・ヤブウォンスキ)
カロル・シマノフスキ (1882 - 1937) : 交響曲第 2番変ロ長調作品 19
なるほど、ショパンの協奏曲以外は、あまり演奏されない曲である。だがこの 2曲を堂々たる暗譜で指揮したヴィトの演奏によって、これらの曲の魅力は大全開であった。
最初の曲の作曲者、モニューシュコは、ポーランドの国民楽派を起こした存在で、母国ではショパンと並び称されているとのこと。今回舞台に現れたヴィトが、聴衆の拍手が鳴りやまないうちに振り返りざま指揮棒を振り下ろし、見事な音響が勢いよく流れ出したのを目撃して、以前 FM で耳にした、カルロス・クライバーがウィーン・フィルを指揮した「英雄の生涯」を思い出したものだ。とにかく音の広がりが素晴らしく、新日本フィルも技術的に完璧な演奏を繰り広げたのである。私も初めて聴く曲であったが、大変にドラマティックな曲で、聴きごたえ充分。ヴィトはワルシャワ・フィルとともにこの作曲家のバレエ音楽集と序曲集をナクソス・レーベルに録音している。この機会に聴いてみようと思う。これがモニューシュコの肖像。