アサシン クリード (ジャスティン・カーゼル監督 / 原題 : Assassin's Creed)

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今回の記事は短くなりそうだ。理由のひとつは、明朝は早く起きる必要あること。もうひとつの理由は、残念ながら私はこの映画を面白いとは思わなかったことだ。だがまぁ、どのような映画であったのか、記録のために書いておこう。まず題名だが、「アサシン」とは暗殺者のこと。「クリード」は宗教上の信条のことで、クラシック音楽を聴く人なら、ラテン語のミサ曲に「クレド」(Credo) という曲が必ずあって、よく「信仰告白」などと訳されているのをご存じだろうが、きっとその言葉が Creed の語源だろう。15世紀スペインの暗殺者の子孫が、先祖の記憶を辿る特殊な装置によって時間を遡ることを強制される物語であることは予告編で明らかだが、見てみるとこれは、アサシン教団 (これは実在した集団のようだ) と、陰謀論ではおなじみのテンプル騎士団の確執を描いたもの・・・のようだが、正直なんだかよく分からない (笑)。身も蓋もない言い方をすると、このストーリーはあまり私の人生に関係ないという思いが、映画の最初から最後までついて回り、時にウトウトと夢の世界に落ちて行くことになってしまったのだ。だが、何を隠そう、私は陰謀論は大好きで、テンプル騎士団についての本は真面目なものから与太話本まで何冊も読んでいるし、ロンドンのテンプル教会も大好きなのである。その私が感情移入できないのだから、やはり内容に問題があるのではないだろうか。アサシン教団の戦士たちは、あたかもこのワシのように空からダイブするのだが・・・。
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実はこの映画、ゲームに基づく作品らしい。私はゲームをしない人間なので全く知識がないのだが、ゲームの主人公にもともとイメージのある人なら、この映画に対して、また違った見方ができるのであろうか。
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映画には様々な設定があるが、どこまで行っても所詮は虚構の世界。最近はリアルなドキュメンタリータッチの秀作も数々あれど、それらとても、あるいはさらに言えば、ドキュメンタリー映画ですら、映画である以上、そこには虚構の要素が色濃く存在しているものというのが私の考えだ。だから、見る者がその嘘に浸っていられるか否かという点が、良い映画と悪い映画を区別する分かれ道であると思う。その点、この映画のそこここに、嘘が嘘として放り出されているのを私は感じる。例えば、主人公を祖先の世界に戻すというアニムスなる巨大な機械が主人公をガッチリと抱えることになるのだが、過去の世界で主人公の祖先が敵と戦う動きを、そのまま現実世界でアニムスにつかまれた主人公が再現することになる。ここで現代の主人公の戦う姿を映す理由は何であろうか。正直ちょっと煩わしいし、また、俊敏に動く主人公の祖先は、当然ながらでんぐり返りなどもするのであるが、おいおい、背中にはアニムスを背負いながら、どうやってそれを現実世界で再現するのか!! (笑) なにせこんな感じなんだから。
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このような嘘が気になる映画は、残念ながら私は評価できないのである。ストーリーもさしてひねりはなく、敵味方が奪い合う対象物も、一体なぜそんなに価値があるのか、その説得力に乏しい。それから、アサシン教団、テンプル騎士団双方の仲間うちの結束や人間同士の感情、歴史的使命等についての説明が少なすぎる。戦闘シーンは玉石混淆という感じで、カッコよく敵をなぎ倒すシーンもあるが、あまりカッコよいと思えない殺陣もある。主役のマイケル・ファスベンダーは、ドイツ人とアイルランド人の間に生まれた人らしく、私は過去にもいくつか彼の出演作を見ているはずだが、正直あまり印象にない。ここでも、惚れ惚れする快演か否かは、意見の分かれるところではないか。
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ただ、ほかの役者陣はなかなかに豪華である。まず、先に見た「マリアンヌ」の演技も記憶に新しい、マリオン・コティヤール。ここでは全く違った顔を見せる。そして、さすがに年老いたと思うが、あのジェレミー・アイアンズがその父親役を演じている。
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そして、おぉこれはなんと久しぶり、テンプル騎士団の幹部を演じているのは、あのシャーロット・ランプリングではないか!! 既に 70を超えているが、ご健在で何より。ただこの映画での彼女の役柄には、それほど印象的なシーンはない。
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それから、ロケ地で 2ヶ所、私の好きな場所が出てきたので簡単にご紹介。ひとつはセヴィリアの大聖堂。これは非常に規模の大きい建物で、「後世の人たちが、アイツらは気でも狂ったのかと思うくらいデカい聖堂を建てよう」という意図で作られたという。だが、広い場所に面していないので、現地を訪れてもなかなか雄大な姿の全容を見ることができない。ただ、中には有名な場所がある。そう、コロンブスの墓所である。4人の王の彫刻が棺を担いでいる。またその横には、巨大な聖クリストバル (もちろん、コロンブスのファーストネーム、クリストファーと同じ名前) の壁画があって、これも忘れがたい。私がこの地を訪れて既に 20年が経つが、その感動は忘れがたい。
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もうひとつは、ロンドンにあるフリーメーソンのグランド・ロッジ。映画の中ではテンプル騎士団の集会場という設定になっているが、イメージ的にはぴったりだ。私はこの建物の前を何十回も通ったことがあって、それは、ホルボーン界隈からコヴェントガーデンのロイヤル・オペラに向かう途中にあるからだ。内部の見学もできるようだが、そう言えば中に入ったことはないなぁ。もしかすると、この映画でのテンプル騎士団の集会のシーンも、ここで撮影しているのだろうか。それとも、さすがにあんなに広いホールはないのかな。今度ロンドンに行く機会があれば覗いてみたいものである。
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さてこの映画、終わり方はいかにも次回に続くといった風情である。もし次があるなら、映画単体として楽しめるクオリティで作って欲しいと、心から願うのであります。...結局あまり短い記事にはならなかったなぁ(笑)。

by yokohama7474 | 2017-03-17 01:26 | 映画 | Comments(0)