2017年 07月 19日
ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」 2017年 7月18日 東急シアターオーブ
会場は、東京でも珍しいミュージカル専門劇場、東急シアターオーブ。一応 (?) 東急沿線在住者である私は、この劇場のオープン時からいろいろと宣伝を目にして来ていて、一度行ってみたいなぁと思っていたところへ、この演目である。家人を誘って出かけることとした。聞けば、この劇場のこけら落としはやはりこの「ウエスト・サイド・ストーリー」であったらしく、早くもオープン 5周年になるとのこと。東急は現在、渋谷地区の大規模な再開発を行っていて、シネコン 109 シネマズで映画を見ると、必ず予告編の前に二子玉川あたりの、東急沿線でもオシャレな界隈に住むという設定の若い夫婦と幼い娘さんの幸せそうな様子 (「この緑の植物いいねぇー」「あぁ、いいねぇー」などとやっている) の宣伝が上映されるが、あれも東急なのである。どうでもよいが、その宣伝の中で、夕食が何がよいかを訊かれた女の子の返事が「マルゲリータ」(ピザ) ではなく「マルガリータ」(カクテル) だったら、ちょっとは毒が出て面白くなるのになぁと、ろくでもないことをいつも考える私である (笑)。ま、ともあれ、渋谷駅から直結のビル、渋谷ヒカリエの中に東急シアターオーブは位置している。
さて、あまり東急のこととか劇場のことで無駄口ばかり叩いていないで、本題に入ろう。私の「ウエスト・サイド・ストーリー」体験は、最初はもちろんロバート・ワイズと、もともとの舞台の振付をしたジェローム・ロビンズの監督による映画 (1961年) であった。もちろん劇場公開時には未だ生まれていないので、自宅でのヴィデオ鑑賞という形態での体験であった。それから、録音ではもちろん作曲者バーンスタインがホセ・カレーラスとキリ・テ・カナワを主役コンビに据えたものと、その滅法面白いメイキング物 (英語の発音が悪くてバーンスタインに怒られ、頭を抱えて悩むカレーラスがかわいそうだが)。舞台では、2003年にオーチャードホールで見たミラノ・スカラ座版だけだ。この時には主役級はすべてオペラ歌手であったようだが、今回の上演と共通するのは、振付のジョーイ・マクリーニーと指揮のドナルド・チャンである。つまり、今回の上演はミラノ・スカラ座版と共通点があるということだろう。まあこの曲の場合、こんなイメージが定着していますからね。新機軸を狙うのはリスクが高すぎるという事情もあるに違いない。
東京では、来年のバーンスタイン生誕 100年を記念して、この「ウエスト・サイド・ストーリー」の全曲演奏が 2種類行われる。ひとつはなんと、あのパーヴォ・ヤルヴィ指揮 NHK 交響楽団による演奏会形式での上演。もうひとつはバーンスタイン晩年の愛弟子である佐渡裕指揮による、映画全編に生で伴奏音楽をつけるという企画。いずれも絶対に聴きに行くぞ!! と決意を固める私であった。考えてみれば、クラシックの音楽家が全曲を採り上げるミュージカルは、歴史上これと、やはりバーンスタインの手になる「キャンディード」くらいだろう。私は「キャンディード」も心から愛しており、ミュージカルに刺激されて、ヴォルテールによる原作まで読むに至ったので、来年上演がないことはいささか寂しいが、またいずれ舞台にかかることはあるだろう。ところで、クラシックの音楽家が「ウエスト・サイド・ストーリー」を演奏することが一般的になる過程では、上述の作曲者自身による録音の存在が欠かせない。こんなジャケットであった。懐かしいなぁ。