ザ・マミー 呪われた砂漠の王女 (アレックス・カーツマン監督 / 原題 : The Mummy)

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今年のサマーシーズンの封切映画の中で、最も強く見たいと思ったのがこれだ。実際に見てみて大変に面白かったので、様々な方に広く見て頂きたい・・・とまでは言わないが、新しい時代のモンスター映画として、その種の映画に興味のある人にはお薦めである。このブログでは予告編に言及することが多いが、必ずしも新作映画の渉猟に大変熱心というわけでもない私にとっては、今後見るべき映画を占うに当たって、やはり予告編が最大の情報源である。この映画に関しては、それはもういやというほど多くの回数、予告編を見ることになったのだが、最初に予告編を見た瞬間に、これは本編を見る価値ありと直感した。それは、このようなミイラ (題名の「マミー」とはミイラのこと) の様子が印象的であったからである。
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この気味の悪い白塗りメイクから覗く強い視線に見覚えがあった。これである。
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このブログで大絶賛し、その後も時々思い出しては「面白い映画だったなぁ」とひとりごちている「キングスマン」において、このような義足の殺し屋を鮮烈に演じたソフィア・ブテラ。その後「スタートレック BEYOND」にも出ていたが、そのときは判別も難しいほど濃いメイクであった。その点今回は、やはりメイクは、うん、若干濃いめではあるが (笑)、表情は見える。彼女はアルジェリア系のフランス人で、今年 35歳。もともとはダンサーで、マドンナのバックで踊っていたりしたらしいが、「キングスマン」で本格的に映画デビュー、忘れがたい印象を残した。従い、予告編で彼女が演じるミイラのなんとも言えない迫力に接したとき、この映画には見る価値ありと思ったのである。もちろん、主役のこの人、トム・クルーズが、いつもの笑顔でアクションを演じているのも好ましい。彼が演じるのは、米軍の関係者らしいが、砂漠で「アドヴェンチャー魂」を発揮して、お宝を見つけてくすねようという悪い奴。だがどうやら女性には大いにもてるらしい。それがこの映画のひとつのキーであって、かなり対照的な 2人の女性から「盗人!!」と責められるシーンは重要なのである (?)。
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それから、最近スクリーンであまり見かけることがないのを残念に思っていたこの人、ラッセル・クロウ。
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予告編でも明らかなように、ストーリーは簡単。砂漠の中に眠っていた古代エジプトの王女のミイラが現代に甦り、ロンドンを攻撃する。彼女の標的は、トム・クルーズ演じるニック・モートンだ。ただ、ラッセル・クロウが善玉なのか悪玉なのかは予告編でははっきりしない。そのあたり、本編を見ていない人に詳しく述べるわけにはいかないが、実はこのストーリー、もう少し複雑だ。ロンドンの地下鉄工事中に見つかった十字軍騎士団の地下墓地が最初に紹介され、次いで、米軍関係者 (アナベル・ウォーリス演じる女性考古学者ジェニー・ハルジーを含む) が、エジプトではなく、なぜかイランでミイラを発見する様子が描かれる。そのミイラ、エジプトの王女アマネットを収めた柩はロンドンに運ばれるのであるが、途中で大トラブル発生。ミイラは人間たちの生気を吸い取ってどんどん活発になり、呪いの力で凄まじい災厄を巻き起こす。実はその目指す相手はトム・クルーズなのであった (ところで、予告編でラッセル・クロウが語っているセリフ、「彼女は世界を自分独自のものにするまで止まらないだろう」は、本編では聞くことができず、若干奇異である)。おぉ、こわ。
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ここでのトム・クルーズは、いつもの通りかなり激しいアクションに自ら取り組んでいるが、まぁ、「ミッション・インポッシブル」シリーズに比べればこのくらいはお茶の子さいさいであろう。死んだと思われたものがどっこい生きていた、というシーンでは女性ファン垂涎の筋肉ムキムキの裸体まで披露するサービスぶりで、まあとても今年 55歳になるとは思えない。その意味でこの映画、いつものトム・クルーズ映画スタンダードを満たしているという点だけでも、面白い映画と言えるであろう。
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一方のラッセル・クロウの役柄について、ここで詳しく書けないのが残念であるが、劇中で彼が名乗るだけで、「むむ、もしかしてこの人は」と思うこと必至。その設定が読めても、その後の展開をなかなか読めないのがよい。そしてここでトムとラッセルの豪華共演コンビは、肉弾戦まで披露してくれるのだから、嬉しいではないか。劇中で、敏捷な身のこなしのトム・クルーズに対してラッセル・クロウが「お前は若いから」というようなことを言うが、実年齢はトム・クルーズが 2歳上。もともとタイプの違う 2人であり、ラッセル・クロウの場合はやはり「グラディエーター」が忘れがたいように、闘士型のタイプである。だが、ちょっと重そうですな (笑)。役作りかな。
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この映画の面白い点は、随所にかなりのユーモア感覚があることや、一部ゾンビ物の要素を取り入れることでサスペンス感覚を増していること、それから、凝ったセットで、古代エジプト、中世、現代の時代色を巧みに使い分けていることにもあるだろう。あ、それからこの映画、飛行機の中で見る場合には、重要なシーンがカットされることは間違いない。なので、「映画なんて飛行機で見るもの」と決めている方には、この映画は例外として頂くしかない。監督のアレックス・カーツマンは原案と製作も兼ねているが、過去には様々なヒット作の脚本 (「ミッション・インポッシブル 3」「トランスフォーマー」「スタートレック」「グランド・イリュージョン」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」など) や製作を手掛けている。なかなかの才人であると思う。

それにしてもこの映画、ストーリーを途中まで書くのは簡単だが、結末はなかなか単純ではない。ミイラはこれで完結であろうが、トム・クルーズとラッセル・クロウを中心として、話はこれからも続いて行きそうだ。と言うにはわけがあって、この作品はもともと、ユニバーサル映画が戦前から様々に制作したモンスター映画のリメイク・シリース、名付けて「ダーク・ユニバース」の第 1回作品であるからだ。そう、ドラキュラやフランケンシュタインの怪物や狼男や半魚人を輩出した、あのユニバーサル・モンスター映画が、最新の技術と俳優陣によって再度映画化されるという、モンスター好きにとってこれ以上ないほど期待感を抱かせるプランが実現するのである。そのダーク・ユニバースの宣伝用のこの写真を見よ。
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そう、ここには、本作に出ているラッセル・クロウ、トム・クルーズ、ソフィア・ブテラに加えて、2人の俳優が写っている。あ、右から 2人目は、コスプレをしていないから分かりにくいが、これはジョニー・デップではないか!! そして手前に座っている俳優は誰だ。これは実は、前回の記事でご紹介した「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」でそのジョニー・デップの敵を演じた、あのハビエル・バルデムではないか!!! そう、既に発表されていることには、ジョニー・デップは透明人間を、ハビエル・バルデムはフランケンシュタインの怪物を演じるらしい。なんとも豪華なシリーズになりそうで、今から期待感増大中なのである。ところでトム・クルーズについてはつい昨日、「ミッション・インポッシブル 6」の撮影中、いつもの通りスタントマンを使わないアクションに挑戦していたところ、建物の屋上から屋上に飛び移るシーンで壁に激突したと報道があったが、今日のニュースでは、足首の骨を 2本骨折しているので、しばらくは治療に専念するとある。命に別状はないようで、不幸中の幸いではあるが、これから体力は衰えこそすれ向上することはない年齢。ファンの期待に応えるのは、この「ザ・マミー」で言うところのアドヴェンチャー魂ならぬ役者魂であろうが、どこかでキャリアを変えて行く決断も必要ではないかと思う。ともあれ私がここでそんなことを呟いてもせんないこと。トム・クルーズの次回作「バリー・シール」(10月公開) の予告編は既に始まっていて、これもなかなか面白そうである。一方のソフィア・ブテラの方は、これも予告編を既に見ることができるシャリース・セロン主演の「アトミック・ブロンド」において、またまた美しくも凶暴な役 (?) を演じているようだが、これも楽しみである。

最後にこの映画のオリジナル作品について。上記の通りダーク・ユニバースの第 1作であるこの映画は、実は 1932年の「ミイラ再生 (原題 : The Munny)」のリメイクなのである。ええっと、確かボリス・カーロフだったよな・・・と思いながら我が家の DVD コーナーを確認したところ、以前購入した何本かのユニバーサル・モンスター映画の DVD のうち 1本として、ありましたありました。
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73分の短い映画なので、早速見てみたところ、確かに主演はボリス・カーロフであり、つまりは男のミイラなのである。古代エジプトの神官であった彼は、王女に恋い焦がれており、現代に甦ってもその思い捨てがたく・・・という話。と書いていて思い出したのだが、実は「ハムナプトラ」(主演のブレンダン・フレーザーは最近どうしているのだろう) というシリーズ物の映画があったが、あれも実はこの「ミイラ再生」のリメイクであったのだ。そう思うと今回の「ザ・マミー」の内容は、随分違うものになっているのである。実は「ミイラ再生」は、ツタンカーメンの墓の発掘後に噂された古代の呪いをテーマにしているらしいのだが、ハワード・カーターによるその発掘は 1922年。映画製作よりほんの 10年前の出来事である。そう思うと、両大戦間の、平和だが潜在的な不安を抱えた時代の人々に、古代エジプトのイメージが強く働きかけたのだなと思う。これがミイラを演じるボリス・カーロフ。当然ながら、メイクは相当大変だったようである (上記 DVD の特典映像で、カーロフの娘だか孫だかがそう語っている)。
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かくして、時代は移れど人の心に恐怖は常に訴えかけるもの。ドキドキしながら、ダーク・ユニバースの次回作に期待しよう。
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by yokohama7474 | 2017-08-15 22:59 | 映画 | Comments(0)
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