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フラットライナーズ (ニールス・アルデン・オプレヴ監督 / 原題 : Flatliners)

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前回の記事に続いて、期待外れの映画について語らなくてはならない点、誠に残念である。しかも前回に引き続き今回も、超常現象をテーマにしている点に共通点がある。ただ前回の「プラネタリウム」にはまだ、主演のナタリー・ポートマンの熱演等の見るべきものがあった。それにひきかえこの映画、ただただ残念な出来であると言うしかないのである。これはちょっとお薦めしません。予告編で明らかになったのは、医学生たちが死後の世界に興味を持ち、自分たちを実験台にして、自ら臨死状態となり、死後の世界を体験してから蘇生するという実験を行う。だが、その危険な実験の代償はあまりにも大きかった、というストーリー。そして、上のチラシにある通り、その臨死状態が 7分を超えることで、パンドラの箱が開き、何か恐ろしいことが起こるという設定のようであった。・・・もうネタバレでも何でもいいから書いてしまうと、本編の中では 7分を超えたらどうなるかという展開は出て来ず、ただ彼ら医学生 (1人を除く) の臨死実験が順番に描かれるのみである。なのでこの 7分云々は、多分日本での宣伝のために独自に作られたものであろう。ここで描かれているのは、要するにそのような不謹慎な真似をした医学生たちが、自らの深層心理に向き合うことで、恐ろしい体験をするという設定であり、それ以上でもそれ以下でもない。そもそも題名の「フラットライナーズ」の意味は何であろうか。私も本編を見てから気づいたのだが、これは Flat な Line、つまりは「平坦な線」、これである。
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私としても肉親を亡くした自らの過去の悲しい体験から、このような画像は見たいと思っておらず、本当に嫌な気分になるのであるが、人間につけた計器の反応がフラットになるとは、既に生命反応がないということで、この映画ではそのことを Flatline と呼んでいる。ここで 5人の医学生たちが行う臨床実験のことは、"Flatlining" という言葉で表現されている。誠に不謹慎だと思うのだが、まあ映画だからその設定は仕方ないとして、では、その先いかなる事態が待ち受けているのか。何か人間の感性に強く訴えかけるものがあるだろうか。いざ、臨死実験!!
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さて、人によってはこの後の展開を、もしかしたら「これはすごい」と思うこともあるのかもしれないが、申し訳ないが私は、ずっと白けたまま画面を見ていた。言ってみれば、いわゆる普通のホラー映画として、不気味なシーンがあれこれ出て来るのだが、まあそれだけだ。彼らが出会う事態には、彼ら自身の深層心理が大きく関係しているのだが、それはいずれも特殊な経験によるもの。鑑賞者たちが「あぁ、これは自分の身にも起こるかも」という切実な恐怖を感じることは金輪際ない。じゃあ、なんのためにそんな設定にしているのか? そう思うと、見ているうちにだんだんいらついてくる。ご存じの方にはヒントになるだろうが、邦画でも昔、「催眠」という映画があって、そこには「緑の猿」という謎の存在がいるという設定であったが、この「フラットライナーズ」もそれと同様の内容だ。だからなんなんだ (笑)。別に大して怖くもないし、人生の価値に対して何か新たな視点から問題提起するものでもない。おっと、悪口を言っていたら蘇生したか。
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私としては、この映画を語るのにこれ以上時間を費やすつもりはないが、ただ、ここに出演している若手俳優たちは、それぞれに今後の活躍が期待される人たちであるようなので、それには少し触れておこう。まず、上で写真を掲載した本作の実質的な主役であるコートニー役は、エレン・ペイジ。これまでの代表作は「X-Men」シリーズで、そのナイーヴな表情は、印象に残るものではある。
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また、レイという役を演じるのは、メキシコ出身のディエゴ・ルナ。メル・ギブソン主演の「ブラッド・ファーザー」でだらしない若者を演じていたのは覚えているが、それ以外にも、「ローグ・ワン / スターウォーズ・ストーリー」にも出演していたようだ。この映画では結構オイシイ役を演じている。
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その美形で注意を引くのは、マーロー役のニーナ・ドブレフ。ルーマニア出身らしい。
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そもそもこの映画、1990年制作の同名の映画を、最新の医学に基づいてリメイクしたものらしい。
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私はこの映画を知らなかったが、マイケル・ダグラス製作で、出演はジュリア・ロバーツ、ケヴィン・ベーコン、キーファー・サザーランドというなかなかに豪華なラインナップ。実は今回のリメイク版も同じマイケル・ダグラスの製作になり、前作で医学生のひとりを演じていたキーファー・サザーランドは、本作では医大の教授役で出演している。
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今回の監督はデンマーク出身のニールス・アルデン・オプレヴ。馴染みのない名前だが、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」で名を上げた人らしい。最近は結構北欧からハリウッドに進出する監督が多いようであるが、また次回に期待しましょう。

このように、私としてはちょっと残念な出来という感想を持った映画であったが、死後の世界に対する根源的な興味は、確かに誰にでもあるものと思う。脳の研究から超常現象が解明される日がいずれ来るかもしれないが、でもやはり、分からないからこそ限りない興味の対象になるとも言える。そういった知見を持った映画であれば、喜んで見たいと思うのである。

by yokohama7474 | 2018-01-18 00:57 | 映画