<   2017年 01月 ( 23 )   > この月の画像一覧

ドント・ブリーズ (フェデ・アルバレス監督 / 原題 : Don't Breathe)

e0345320_19323081.jpg
ほかの人のことは分からないので私自身の話をするが、よく何かに襲撃される夢を見る。そのような夢においては大抵、目の前に迫る危機を知恵と勇気と運で切り抜けようと自分に言い聞かせて、要は逃げまどうのであるが(笑)、ジ・エンドとなる前に必ず目が覚めて、自分が安全な世界に戻ってくることができた幸運に酔いしれる。そう、夢というものは、最高にして絶対安全なエンターテインメントなのである。その一方で、映画を見ていると、迫る危機に立ち向かう主人公が、絶体絶命のピンチにおいてハッと目が覚め、おっとそれは夢でしたという安易な設定もままあるが、私はそれを支持しない。現実に見る夢であるからこそ目覚めたときの爽快感が素晴らしいのであって、そもそも作り事である映画の中でそれをしてしまうのは全くアンフェアではないか。真摯な映画の作り手なら、そのような禁じ手に頼ってはいけない。

なぜにそんな話でこの記事を始めるかというと、理由はふたつ。たまたま今年の初夢が、どこかの都市の地下鉄で私自身が銃撃戦に巻き込まれるというスリル溢れるものであったことがひとつ(もちろん、途中で目が覚めて、無事生還しましたよ 笑)。そしてもうひとつは、この映画、夢だのという安易な手を使わず、最初から最後まで恐怖体験を尋常ならぬ迫力で描き切った壮絶な作品であることだ。今年はまだ始まってから5日しか経っていないわけだが、なるほど、私は初夢で、既にこの映画との出会いを予知していたのかもしれない!!

予告編を見たのでストーリーは分かっていた。それは至って簡単で、若い三人組がある家に泥棒に入ったところ、その家の住人は盲人であり、盗みは楽勝かと思いきや、あにはからんや、盲人の逆襲に遭ってしまい、"Don't Breathe" つまり、盲人の攻撃を避けるためには息もしてはいけない、という絶体絶命の危機に陥ってしまうというお話。例えばこんな感じとか、
e0345320_23433573.jpg
あるいはこんな感じ。
e0345320_23450144.jpg
「い、息をするな!!」
e0345320_00173042.jpg
おー、こわ。と思うでしょう? でも、きっとこの映画を見ていない人は、この恐怖を本当に理解することはできず、過小評価するだろう。私もこの映画を見るまではそうだった。しかしこの映画、本当に本当に怖いのだ。嘘だと思う人は、是非劇場に足を運んで頂きたい。冒頭に掲げたポスターにも、「20年に一本の恐怖作品」とある。その表現が適正であるか否かは分からないが、これを見てつまらないと思う人がいるとは、私には思われない。

という感想を持つには明確な理由がある。演出が冴えているのだ。多分もう一度見てみれば、また怖い怖いと思いつつ、この作品に張り巡らされたきめ細かい恐怖の演出のあれこれに気づくだろう。ネタバレを避けてその点について語るのは難しいが、そう、例えば、盲人特有の用心深さが密室のリアリティを増していることは挙げられるだろう。ここで主人公たちはあの手この手で家から出ようとするのであるが、それができない理由がいちいちあって、言葉の説明がなくとも、画面だけでそれがストレートに伝わってくるのである。また、様々な危機を乗り越えてなんとか窮地から逃れようとする彼らに、幸運の女神が微笑みかけると思われる瞬間も何度もあるのだが、あぁなんたること。そうは問屋が卸さないのである。この絶望感は尋常ではない。なんと残酷なことに、映画の中で主人公たちが向かい合っているのは現実であって、夢ではない。暗闇でこんな風になってしまうのも、むべなるかな。
e0345320_00015006.jpg
それ以外にも様々な演出の妙が効いているのだが、この種の映画が成功するもうひとつの条件は、登場する俳優たちの顔があまり知られていないことだろう。例えば「13日の金曜日」とか、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」、あるいは「SAW」でもよい。恐怖のマックス値は、危機に遭ったり命を落とす人物たちが、我々の見慣れた役者でないことによるリアリティが作り出すのである。だが、後で調べて分かったことには、私はここで凄惨な恐怖に立ち向かう若い女性ロッキーを演じるジェイン・レヴィの出演作を、以前見たことがあるのだ。それは、サム・ライミのデビュー作「死霊のはらわた」(1981年) を2013年にリメイクした版 (原題 "Evil Dead") だ。
e0345320_00091532.jpg
この映画、正直なところちょっとやり過ぎで、怖いを通り越して笑ってしまうくらいのエグさであったのだが、これは文化ブログであるからして、この映画においてこの女優の顔がどんな風に変形したかをご紹介することは避けよう(笑)。ご興味おありの方はネットで画像検索されるとよい。ここではこの女優さんの素顔のみご紹介しておく。
e0345320_00120419.jpg
さあここからがこの作品の作り手の紹介である。本作の生みの親、監督・脚本・製作を手掛けたのは、1979年ウルグアイ生まれのフェデ・アルバレス。
e0345320_00211132.jpg
実はこれは彼の2本目の長編作品であって、そのデビュー作がほかならぬ上記の「死霊のはらわた」リメイク版なのだ。なるほどなるほど。そういうことだったか。そうすると、同じ女優を使って、1作目から2作目に大きな飛躍を成し遂げたと言ってもよいのではないだろうか。それから、もし私の見間違えでなければ、エンド・タイトルにおいて、弦楽四重奏のオリジナル音楽の演奏者の中で、ヴィオラ奏者がこの人の名前であった。もしそうなら大変興味深いことだ。隅から隅までこの映画は彼のものだということだ。彼の経歴を見てみると、2009年に彼が YouTube に投稿した 5分弱のロボットムーヴィー 「パニック・アタック」を評価した件のサム・ライミが、「死霊のはらわた」のリメイク版の監督に抜擢したというもの。この作品、私も見てみたが、確かによくできている。既にアクセスが766万回を上回っており、人気のほどが伺えるし、何よりもここで街がロボットの襲撃を受けるシーンは、まさに彼の原点であることが納得できて、大変面白い。まぁ、ピコ太郎にはアクセス回数は負けているが(笑)、しかしこんなところから映画作りの才能が発掘されるのだから、すごい時代になったものだ。
https://www.youtube.com/watch?v=-dadPWhEhVk

一応補足すると、ここで何度か名前の出ているサム・ライミとは、1981年に最初の「死霊のはらわた」で衝撃的デビュー、その後1985年の「XYZマーダーズ」(日本では「クリープショー」と二本立てで公開されたのを、当時私も見に行ったものだ)などでちょっとマニアックに知られたホラー監督であったが、その後2002年から2007年にかけてのスパイダーマンの3作を監督してメジャーな名前になった人。未だ57歳ということは、デビューの時は弱冠22歳だったことになる。この「ドント・ブリーズ」でも製作者に名を連ねているが、彼自身の監督作も今後楽しみなのである。
e0345320_00444561.jpg
尚、エンドタイトルには一見してハンガリー人と分かる名前が沢山並んでいたが、プログラムの情報によると、本作のセットはブダペストに作られたとのこと。なるほど、人件費も節約できるし、何やら国策として映画のロケを誘致しているらしい。そういえばハンガリーの映画監督にはイシュトヴァン・サボーという人もいたが、最近はどうしているのだろうか。いずれにせよ、このような映画がヒットすれば、今後もハンガリーでの映画制作が盛んになるかもしれない。

さてこのように、本年最初の大絶賛映画となっているのだが、ここで表現されているリアリティの源泉において、さらに2点追加で指摘しておこう。ひとつは、物語の舞台がデトロイトであること。言わずと知れた自動車産業の街デトロイトは、私は訪れたことはないが、現在ではかなり荒廃した地域もあるとのことで、その街を舞台として設定したことが、この物語において欠かせないリアリティをもたらしている。つまり、すさんだ街では若者が犯罪に走り、また、盗みに入った家で銃をぶっ放そうがドタドタ走ろうが、周囲に人が住んでいないので他人に聞こえることはないわけだ。もうひとつは、襲撃される盲人(演じるのは「アバター」にも出演していたスティーヴン・ラング)が、湾岸戦争の退役軍人であるということ。戦争における負傷で失明したという設定であるが、聴覚だけで侵入者をここまで追い詰められるのも、武器の扱いに慣れ、肉弾戦にも優れた元軍人ならではである。そして、その彼も決して善良な市民ではなく、後半にあっと驚く仕掛けがしてあって、もう本当によくできたキャラクター設定なのだ。あー、今思い出しても怖い(笑)。だがそのような設定が、ある意味では現在の米国のリアルな姿を示していると思うと、この映画があながち荒唐無稽なものとも思われず、本当に怖いのはその点ではないかと思われてくる。
e0345320_01183942.jpg
そのリアリティを実感したら、さぁ、気を取り直して、何の気兼ねもなく深呼吸できる幸せを、胸いっぱいに実感しようではないか。
e0345320_00564937.jpg


by yokohama7474 | 2017-01-06 01:04 | 映画 | Comments(2)

ファンタスティックビーストと魔法使いの旅 (デヴィッド・イェーツ監督 / 原題 : Fantastic Beasts and Where to Find Them)

e0345320_19325484.jpg
この映画、しばらく前から劇場でかなりの頻度で予告編が流れていて、あのハリー・ポッターシリーズに続く新たな作品、しかも原作者のJ.K.ローリング自身が脚本を担当するということで、話題になっていたものである。ファンタジーものは私としても興味ある分野であり、ハリー・ポッター全8作もすべて劇場で見ているので、やはりこれは見ておこうと考えたもの。英国からニューヨークにやってきた若い魔法使いのカバンから魔法動物たちが逃げ出して街は大騒動、というストーリーは予告編からもはっきりしていて、イメージを持ちやすい。実際に見てみると、過度なひねりがあるわけでもなく、凝り過ぎた作りにもなっていない作品であり、事前のイメージ通りという印象。

何より、主人公ニュート・スキャマンダーを演じるエディ・レッドメインの好演が光る。このような少しとぼけた味わいと、魔法動物たちへの愛がよく表現されていると思う。
e0345320_19562518.jpg
彼のこれまでの主要主演作は、「博士と彼女のセオリー」と、「リリーのすべて」だが、私はどちらも見ていない。だが調べてみると、私の見た映画の中でも、「レ・ミゼラブル」に脇役で出ていたし、ウォシャウスキー兄弟の「ジュピター」では悪役を演じていたとのこと。なるほど、既に幅広い役柄を演じている役者なのである。英国人で、もうすぐ35歳。名門イートン校ではウィリアムズ王子と同級生。ケンブリッジの美術史学科卒業。さすが英国の役者らしい高学歴だ。でも、この「ジュピター」の悪役姿はどうだろう。2015年、あの最低の映画に贈られるゴールデン・ラズベリー賞の最低助演男優賞を獲得するという栄光に輝いた(笑)。
e0345320_19581626.jpg
ほかの役者で印象に残るのは、ニューヨークに本拠を置く架空の組織、アメリカ合衆国魔法議会(MACUSA)の長官を演じるコリン・ファレルだろうか。
e0345320_22465844.jpg
それ以外にも数名、男女それぞれに主要な役を演じる俳優が出ているが、知名度のあるのはジョン・ヴォイト(今更アンジェリーナ・ジョリーの父と紹介するのは失礼だろうか)くらいで、ほかはあまりなじみのない人たち。そして正直、私としてはそれほど印象に残る役者はいなかった。ただ、一人だけ例外がいる。これはハリウッド有数の大物俳優であり、その出演作なら本来大々的に名前が出るはずが、どういうわけかこの映画の宣伝にはカケラも名前が出てこないし、プログラムにも載っていない。そして、登場シーンでも、若干メイク過多だ(笑)。だがそうであっても、そこでいかにも楽しそうに演じているこの役者、誰もが一目見て彼だと分かるだろう。エンドタイトルでは、メインキャストにはやはり彼の名前がなかったが、出演順に出て来る全キャスト表の最後の方を目をを凝らして見ていると、しっかり彼の名前がクレジットされていた。こんな目をした人だ。すぐ分かりますよね。
e0345320_22551620.jpg
思うに、本作は上のポスターでも「新シリーズ」と銘打っていることから、今後シリーズ化されるのであろう。そう言えば、主役ニュートにも何やら明かされないつらい失恋経験があるような描き方になっていた。なので、そのあたりのネタを次回作以降に取ってあるのだろうし、この有名俳優も、次回作から堂々と登場してくるのではなかろうか。

とまぁ、そんな突っ込みどころもあり、数々の魔法動物もCGを駆使してそれぞれに愛嬌がある描き方にはなっていて、ハリー・ポッターシリーズのうち4作を監督したというデヴィッド・イェーツの演出も、いかにもファンタジー物のツボを心得ているように見受けられる。
e0345320_23212984.jpg
e0345320_23214238.jpg
e0345320_23215036.jpg
その意味で、本作は誰でも楽しめる映画ということはできるだろう。だが、この映画はただ明るいだけではなく、主人公たちの前に立ちはだかる魔術のDark Sideも描かれている。もし私にこの作品への不満があるとすると、そのDark Sideの描き方ということになるであろうか。これはハリー・ポッターシリーズも一貫してそうであったのだが、誰を敵としてどのような闘いが展開されているのか、切実さをもって実感することが難しい。そもそも魔法って何なのだろう。例えば、主人公たちがどこにでも瞬時に移動できる手段を持っているなら、街を歩いたり地下鉄を使う必要はないではないか(笑)。魔法の杖を持ってビビビと光線を出し合って闘うが、その物質は何であって、どのような破壊力を持つのであろうか。世の中にはエセ科学ムーヴィーも溢れていて、超常現象について荒唐無稽な説明がつく映画もある。なにもそれがよいと思うわけでも必ずしもないが、何か少しはもっともらしい説明がないと、鑑賞者が主人公にあまり感情移入できないという結果になってしまう。換言すれば、敵として闘っているDark Sideに、本当に恐ろしいものを感じないということになってしまうわけだ。それは映画の説得力に直結するのである。それとも、そういうことを考えること自体、私という人間が既に魔法の力を信じる純真な心を失ってしまったからなのでしょうか・・・(笑)。

ともあれ、新シリーズということなので、この作品の舞台である1926年のニューヨークから、今後はどこに話は進んで行くのであろうかが気になる。以前も何かの記事に書いたが、私にとって両大戦間の文化は強い関心の的。Roaling Twenties (狂乱の1920年代)に沸いた米国は、やがて1929年の株の大暴落に始まる大恐慌時代に沈んで行く。それは魔法の杖を振りかざしてビビビとやるだけではどうしようもない、厳しい現実であった。果たして原作者J.K. Roaring、じゃなかった、Rowlingは、どこかで現実と魔術をのっぴきならない方法で対峙させるのか、それとも、徹底的に架空の魔術をこれからも描き続けるのか。そして21世紀の観客は、彼女が示す世界観を、どこまで受け入れ、喝采するのであろうか。21世紀のTwenties(20年代)に向けて、これから注意して見て行きたいと思う。
e0345320_23351883.jpg

by yokohama7474 | 2017-01-04 23:37 | 映画 | Comments(0)

川崎市 影向寺 薬師三尊像公開 2017年1月3日

e0345320_21231376.jpg
皆様、あけましておめでとうございます。2017年も始まってしまいました。さぁ、新たな年に向けて頑張ろうではありませんか。今年がこのブログをご覧の皆様にとって、また世界にとって、よい年でありますように。東京地方では年末年始は一貫して大変よいお天気であったので、川沿いの我が家から元日の朝に見た富士も、このようにきれいなものでした。

さて今年は、今日1月3日に身近なところで歴史を実感しようと、我が家からは多摩川を亘ってほんの数キロのところにある川崎市宮前区の影向寺(ようごうじ)にお参りすることとした。ここには、仏像ファンには既におなじみの重要文化財の仏像が鎮座ましましている。我が家から最も近い距離にある重要文化財だろう(目黒の五百羅漢寺及び大圓寺と同じくらいの距離か)。実際、この武蔵野は実に1300年ほどの歴史を持つ古い場所であり、近世以降に様々な理由で発展した江戸・東京よりも遥か遥か遡る大昔の歴史的遺産がいろいろとあるのである。今回ご紹介する川崎市の影向寺は、そのような悠久の歴史に思いを馳せることができる場所なのだ。
e0345320_21371511.jpg
川崎の住宅街から狭い坂道を登って行ったところにこの寺はある。重要文化財指定の仏像を収めた収蔵庫の開扉は年末年始と8月5日、11月3日のみで、実に貴重な機会なのである。私は家人とともに以前この寺を訪れたことがあるのだが、調べてみるとそれは、2013年11月3日。つい先日だと思っていたが、既に3年超の月日が経っている。その後私もこのブログを始めたこともあり、今回は年始の初詣として訪れることとした。凛とした冬の空気を胸一杯に吸って、日常とは違う太古の歴史に少しでも近づこう。前回の訪問時にはなかったが、この地域の発掘調査により、つい2年前に国の史跡に指定されたらしい。実はこの場所、寺伝では奈良時代に聖武天皇が行基に開かせたということらしいが、発掘される瓦からは、それよりもさらに前の白鳳時代の創建であるとされているのである。
e0345320_21415608.jpg
e0345320_22020302.jpg
小さな門には、初詣期間中の正月三が日に、平安時代からこの寺に伝わる薬師三尊の開扉についての案内が。正月も既に3日ということもあってか、境内には人もまばらで、その青い空に悠久の歴史を思うにはうってつけの日和である。
e0345320_21435367.jpg
e0345320_21441398.jpg
境内に入ってすぐ右手には、聖徳太子を祀るお堂が。一見して太子ゆかりの法隆寺夢殿を思わせる建物だ。近年の建造だが、ご本尊の聖徳太子像は、鎌倉後期から室町時代の造立と思われる、川崎市指定文化財。いかにも地元の信仰を肌で感じることのできる場所である。
e0345320_21465064.jpg
e0345320_21470128.jpg
正面の本堂は、1694年建立の神奈川県指定文化財。内陣と外陣がはっきりと分かれた天台宗の建築の伝統を継いでいる。やはり地元の人たちに大事にされてきた様子が伺えて、気持ちが穏やかになる。実際に信心深いご家族が何組かお参りされていた。
e0345320_21543906.jpg
e0345320_21564229.jpg
ただ、この赤い提灯に記された警句には、なんともユーモラスなものもあって面白い。ご住職の趣味なのであろうか(笑)。
e0345320_22000967.jpg
e0345320_22004564.jpg
そして、推定樹齢600年の「乳イチョウ」。乳を出すのにご利益があるらしい。
e0345320_22035574.jpg
そして、特別公開中の薬師如来その他を収める収蔵庫。そして、おっとここにも洒脱な警句をあしらった赤い提灯が。あっはっは。笑う門には福来たる。でも、「女房、鉄砲、仏法」ってどういう意味?御しがたいが重要なものということでしょうかね。
e0345320_22054109.jpg
e0345320_22084224.jpg
重要文化財に指定されているのは三体。いずれも平安時代の作とされている薬師如来と日光菩薩・月光菩薩。だがこのご本尊と両脇侍は、もともと一具のものではなかったと見られているらしい。ご本尊は戦前の文化財保護法における国宝ということで、現在でも国宝復帰の運動が続けられているが、私の独断では、この仏さまはここに千年もおられることにこそ意味があるのであって、たとえ国宝でなくても、その素朴な持ち味は分かる人には分かるのだ。以下、お寺のホームページから借用して、薬師如来とその両脇侍、二天像に十二神将の写真をご覧頂こう。関東でもこのような古いお寺で遥か昔に思いを馳せることができるということは、忙しい現代人にとっていかに大事なことであろうか。
e0345320_22140044.jpg
e0345320_22140761.jpg
e0345320_22141369.jpg
e0345320_22142917.jpg
e0345320_22142388.jpg
e0345320_22144207.jpg
e0345320_22143506.jpg
実に古色ゆかしいとはこのことだろう。我が家から数キロしか離れていないこの土地で、大事に守られてきた仏さまたちである。やはり古代の息吹を現代に伝える霊験あらたかな場所。数年に一度は足を運びたい。そして拝観を終えたあと、境内でこんな碑を見つけた。
e0345320_22173875.jpg
なんと、あの西脇順三郎の歌を刻んだものだ。西脇はもちろん、シュールレアリズムを日本に紹介した詩人であり英文学者。慶応の教授でもあった。モダニストの印象が強い彼がこんな古い仏教の地で歌を詠んだとは。なんとも興味深いことではないか。彼もまた、あの素朴な薬師如来の前で手を合わせたのであろうか。1000年を超える文化の出会い。
e0345320_22241644.jpg
e0345320_22252694.jpg
今年は、武蔵野の古い歴史を育んだ多摩川を巡るタイプスリップにもできる限り経験してみたい。今年もあらゆる文化を楽しみましょう!!
e0345320_22344246.jpg

by yokohama7474 | 2017-01-03 22:30 | 美術・旅行 | Comments(0)