2015年 06月 04日
芥川也寸志 生誕90年メモリアルコンサート 2015年5月31日 きゅりあん大ホール
Do Re Mi Fa Sol La Si Do!
祝典組曲No.3 marcia in do
NHK 大河ドラマ「赤穂浪士」組曲
映画「鬼畜」組曲
バレエ「KAPPA」組曲
NHK 幻のテーマ音楽集
映画「八つ墓村」組曲
映画「八甲田山」組曲
アンコール : みつばちマーチ
演奏は、1984年生まれの若い指揮者、松井慶太と、日本の作曲家を専門に演奏するオケとして 2012年に結成された、オーケストラ・トリプティーク。
演奏に先立ち、芥川がテーマ音楽を書いた映画「鬼畜」についての思い出を、同作品の監督である野村芳太郎の息子でプロデューサーの野村芳樹が語るプレトークがあった。実際の創作過程における当事者たちの苦労と熱意が伝わってきたわけであるが、古今東西、あらゆる芸術作品で、このような当事者たちの営為が繰り返されてきたことを思うと、実に興味深い話であった。
私自身は、芥川の音楽のさほど熱心な聴き手ではないとはいえ、代表作のエローラ交響曲や、交響管絃楽のための音楽をはじめ、映画音楽もそれなりに聴いてきた。個人的な記憶では、小学生のときに見た「八甲田山」の音楽に強い Emotion を感じて、子供心に、ある種の恐怖心を覚えたことを鮮明に思い出す。伊福部の弟子であることを刻印したオスティナートと土俗的なメロディ、ロシア近代音楽を思わせる鉄琴、木琴の多用という明瞭な個性。時折ふと口ずさんでしまうような親しみやすさが、彼の音楽にはある。
ホールはほぼ満員で、一部マニアと思しき人たちもいたものの、普通のオジサンオバサンもいて、皆さん楽しんでおられるようだった。映画「鬼畜」のメインテーマは、ストリートオルガンで奏されるが、終演後のロビーで聴衆が自由にハンドルを回して音を出してよいということになり、たくさんの人々が集まって順々に楽しんでいた。このような風景もなかなかに珍しい。