川沿いのラプソディ


川沿いの住まいから、音楽、美術、映画その他文化一般を語りつくします。
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予告犯 (中村義洋監督)

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最近の邦画は、マンガを原作とするものが多いらしい。また、インターネットを使った犯罪や、個人で社会に挑戦するような内容も多いような気がする。この映画は、まさにそれらの要素をすべて兼ね備えたものである。

面白い映画であると思う。新聞紙を頭に被り、ネット上で犯罪を予告する犯人。それを血眼で負う警察。この犯人が狙うのは、社会を欺いた者や他人を馬鹿にした者などで、いわば社会悪と戦う犯人像がこれでもかと示されるのである。そしてこの犯人が画面に向かって指差す、その指のかたちが、なんともカッコいいのである。
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つまり、手の甲を縦にするのではなく横にして、かつ、人差し指以外の 3本の指は、きっちり握るのではなく、ゆるやかだ。普段何気なく人を差すときに、普通こうはしないだろう。その点に、なんらかの意志の力でメッセージを発している犯人像が垣間見える気がする。何か心に痛みを負った犯人であろうと思わせるのだ。実際、内容が分かってみると、大変に Emotional なメッセージが込められた映画なのである。犯人同士が和んでいる映像は、演技を越えたリアリティがあって、実際に撮影現場はこのようなよい雰囲気であったのだろうと思われるものがある。冷静になってストーリーを思い返してみると、極めてヒューマンな感情に満たされた映画であると思う。

主犯格の生田斗真は、「脳男」でもいい味を出していたが、その特徴的な鼻筋にただならぬ雰囲気があって、この映画の主人公には適役だと思う。その一方、彼を追いつめる役柄の戸田恵梨香は、背伸びして根性で社会と相対して来たという設定にはまずまずのリアリティはあるものの、欲を言えば、もう少し根の優しい部分をちらりと見せる複雑さがあれば、もっとよかったのではないか。

日本という経済大国は、しかし様々な矛盾に満ちていて、弱者はひたすら叩かれる。そこから這い上がる者もいるが、いつまでもくすぶる者もいる。この映画では弱者の弱者たるゆえんを結構仮借なく描いてはいるものの、それが重苦しくならない点、スタイリッシュな演出と言えるだろう。深刻な内容である割には、主人公の真の優しさを描くことで、決して後味が悪くない仕上がりになっている。きっとこれからも、この映画の幾つかのシーンを思い出して、前向きに生きて行こうと思う、そういう力を持った映画である。

by yokohama7474 | 2015-07-18 00:16 | 映画 | Comments(0)
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