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ヴィジット (M・ナイト・シャマラン監督 / 原題 : The Visit)

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M・ナイト・シャマランの映画を、「シックス・センス」以来何本見てきたことだろうか。ほとんど見ているはず。それにもかかわらず、この監督の名前をなかなか覚えることができず、「あのインド人」と呼んでいる私は、相当失礼な人間なのであろう。それにしても、名前の最初の M は何の略なのか。昔仕事で一緒だったマレーシアのインド系の人は、日系企業の現地店で部長にまで登りつめた人であったが、ファーストネームが、やはり M だったか N だったかで、「絶対他人に知られることはない」と豪語していたものだが、この監督の最初の M も、そういうことなのだろうか。インドの神秘。
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さてこの映画、ある一点をもってして私の注意を惹いたのである。それは邦題の、「ヴィジット」である。私はもともと、日本語表記の「ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ」にうるさいたちであって、例えば「ベートーベン」とか「ベルディ」という表記には我慢がならないのである。もっとも、ビエロフラーヴェクとかグルベローヴァとか、B か V か分かりにくい、ちょっとややこしい名前もあるが (笑)。あ、ヴ音にこだわると言いながら、私は「テレビ」「カーブ」など、既に日本語として定着している語は「バ・ビ・ブ・ベ・ボ」音で妥協するのである。その点、「ビジット」ではなく「ヴィジット」と題されたこの作品、なかなかに期待を煽るのである。

ところでこのインド人監督、最近の映画は正直、あまりぱっとしない気がする。「エア・ベンダー」など、明らかに連作の一作目であったが、その後続編はできないでいる。まあそれは道理なような気もする。なぜなら、世界を驚愕させた「シックス・センス」のどんでん返しは、もはや超えようのない高みに達していたのだから。それでも、公開される度にこの監督の作品を見たいと思うのも、また道理だと思う。いつかまた、という期待感。

この映画の特色は、登場人物の少なさにあろう。主な役柄で言うと、主人公の姉弟、姉ベッカと弟タイラー、そして彼らの母と、祖父と祖母。以上である。全編、姉弟のいずれかが撮った映像という設定で構成されるこの映画、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のような臨場感がある。ただ正直なところ、こんな恐怖のもとに置かれてこんな映像は撮れないだろうというシーンも散見される。とはいえこの映画、かなり怖いと言ってよい。だが、監督自身語るように、この作品は「僕の作品の中では一番恐ろしい! しかも終始笑ってしまうんだ!」という内容である。後半はひぃひぃ言いまくる姉弟。こんな感じで、確かにちょっと怖い。
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今まで会ったことのない祖父母を訪ねる姉弟が、その祖父母の奇怪な行動を目にし、最後にはその正体を見てひぃひぃ言う物語。
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さあでも、これ、ホラー映画として何か新しい要素はあるだろうか。私としては、この若い姉弟が劇中のカメラ = 本物の映画を撮るカメラの前で、役柄を超えた個性を出すシーンの方が、映画自体のストーリーよりもよほど面白かった。ここで「シックスセンス」以来のファンは、何かびっくりするようなどんでん返しを期待するのであるが、まあ普通に想定される以外の驚愕の設定は登場しない。このインド人監督、これで観客の注意を得ることができると考えているのだろうか。首をひねらざるを得ない。
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そして、この監督がその作品でずっと続けていること。それは、ヒッチコックばりに自作の中にチョイ役で必ず出ていることなのだ。今回もそのシーンを見ることができる。確かにちょっと怖いシーン。でも、しつこいようだがそれほどビックリしない。

このインド人、才能は相当にある方だと思うので、これからもその作品を見続けるものと思う。でも、名前の最初の文字、M ってなんやねん。いつの日にか明らかになるのであろうか。

by yokohama7474 | 2015-11-22 22:09 | 映画