2016年 01月 23日
スペインの彫刻家 フリオ・ゴンサレス展 世田谷美術館
まずこの芸術家の生没年に注目しよう。1876年生まれということはピカソより 5歳年上。19世紀末から 20世紀初頭にかけてヨーロッパの芸術活動にモダニズムの波が起こる時期に青年期を過ごし、スペインが内戦を経た後、1942年という第二次世界大戦中の時期に没している。ただ、早くも 20代でパリに移住しており、まさにこのモダニズムの中心都市で活動していたようだ。亡くなったのもドイツ軍が占領中のパリ。まさに 20世紀前半の激動の時代の人である。解説には、ブランクーシ、ジャコメッティと並んで 20世紀の彫刻の展開に決定的な影響を与えた人物とある。この 2者に比べて知名度は高くないが、いかなる芸術家であったのか。作品を見てみよう。
ただゴンサレス自身は最初から彫刻家を目指したわけではなく、ある時期までは自分のことをあくまでも画家であると考えていたらしい。この展覧会には本格的な絵画作品は展示されていないが、彫刻の中にもそのヒントがあるように思われる。例えば 1910年頃のこの「首をかしげて立つ裸婦」を見ると、ドガの描く女性像を彷彿とさせるところがある。芸術の中心地パリの空気を充分に吸っていることが想像される。