2016年 02月 27日
チョン・ミョンフン指揮 東京フィル (ピアノ : 小林愛実) 2016年 2月26日 サントリーホール


そして、代役として登場したのは、まだ 20歳の若いピアニスト、小林愛実 (あいみ)。

さて、そのマーラー 5番である。ここで私は白状しなければならない。これまでにチョンの指揮するこの曲を実演で 2回聴いている。最初は 1995年にフィルハーモニア管弦楽団との来日公演で。2度目は 1997年に彼が自ら設立したアジア・フィルの旗揚げ公演で。そして、どちらも結果はかなり残念なものだったのである。特にフィルハーモニアとの演奏は、音楽評論家の金子建志が「チョンの才能の全否定まで考えざるを得ない」という衝撃 (!!) の酷評をしたことをよく覚えているが、私もそれには大いに同感したものである。アジア・フィルの場合には、現在はいざ知らず、当時のメンバーの演奏水準には、この曲は難しすぎたのだと整理したが、フィルハーモニアほどの一流オケとの演奏で、なぜにそんな惨憺たる結果になったのか。今演奏内容の詳細を思い出すことはできないが、覚えているのは、いわゆるマーラーらしい音の流れ (うまく説明できないが・・・) がなく、「ここはこう鳴って欲しい」というマーラーサウンドへの適性に問題ありと判断したことである。だが、それから既に 20年前後の時が経った。円熟のマエストロのマーラーやいかに。

マーラーは本当に一筋縄ではいかない作曲家である。「そうかな、今日の演奏、よかったじゃないか」などとうそぶきそうな肖像ですがね。


