2016年 04月 30日
安田靭彦展 東京国立近代美術館

安田靭彦 (やすだ ゆきひこ 1884 - 1978) は、1歳年下の前田青邨 (まえだ せいそん) と並んで、大正から昭和までの時代を代表する日本画家であり、その制作の中心は歴史画である。作品の気品の高さにおいては、いわゆる明治以降の近代日本画家という範疇では、並ぶ者のない人ではあるまいか。私はこれまで、前田青邨の展覧会には二度ほど行った記憶があるが、安田靭彦の展覧会は記憶にない。それもそのはず、この東京国立近代美術館でさえ、40年ぶりの安田の回顧展であるとのこと。今回は初期から晩年までの 108点が揃い、94歳という長い生涯を生き、画家としても 80年の歳月を送った安田の画業をじっくりと辿る、またとない機会である。





これは、翌年 1900年の「遣唐使」。16歳ということになるが、モノトーンに近い中に限られた色が少し使われていて、これから唐に向かう人たちの不安が現れているように思う。解説によると、厳密な歴史考証を重視する師、小堀 鞆音 (こぼり ともと) の指導に反していることを自覚して、一時的に「眠草」という号を用いたらしく、この作品にはその眠草の印章が押されているとのこと。冒険心を持ちながらも、忍耐強く礼儀正しい画家であったのだろう。











