2016年 08月 08日
観音の里の祈りとくらし展 II びわ湖・長浜のホトケたち 東京藝術大学大学美術館
近江の仏像群の特徴のひとつは、いかにも素朴な地方色豊かなものと、明らかに最高の技術をもった仏師の手になるものが混在していることだ。後者の代表が、日本有数の美仏である渡岸寺の国宝・十一面観音像であるが、だがあれほどの作品はもちろん例外的であって、洗練された仏像でも通常はどこかにユニークな持ち味があるのが面白い。例えばポスターになっている、像高2mの堂々たるこの仏像。平安時代初期(9世紀半ば!!)の重要文化財だ。
技術的な精度で印象に残ったのはこちら。
これは堂々たる等身大の聖観音像。来現寺所蔵の重要文化財。彫刻の技術は高いのに、お顔にどこか素朴さがあるのが、この地域の仏像らしくて、大変心に残った。
さて、お次は先般私も念願叶って訪問することができた竹生島(ちくぶじま)の弁財天座像。室町時代の作で、長浜市指定文化財。弁天さんのイメージをよく表している。像の底面に銘文があって、1557年、竹生島の祭礼である蓮華会(れんげえ)の際に奉納された像であると判明する。あ、展覧会では像の底面までは見せて頂けませんでした。念のため。
と、改めて振り返ってみると、村人たちの素朴な信仰に守られてきた、なんともユニークな造形の数々を心から楽しんだわけである。今回展示された45体の仏像のうち、実に15体は現地から持ち出されるのも初めてとのことで、長浜が仏像の宝庫であると実感する。さてそのような長浜のホトケたちと出会うのは、果たして現地に行くしかないのだろうか。いえ、東京の皆様には朗報があります。なんと今年、上野に「びわ湖長浜 KANNON HOUSE」なる場所がオープン!!