第九 ヤクブ・フルシャ指揮 東京都交響楽団 2016年12月23日 東京芸術劇場


・第九以外の演奏曲
なし
・コントラバス本数
6本
・ヴァイオリン対抗配置
なし
・譜面使用の有無
指揮者 : あり
独唱者 : なし
合唱団 : なし
・指揮棒の有無
あり
・第 2楽章提示部の反復
あり
・独唱者たちの入場
第2楽章と第3楽章の間(ピッコロと、ティンパニ以外の打楽器奏者3名も同時入場)
・独唱者たちの位置
合唱団の最前列の真ん中
・第 3楽章と第 4楽章の間のアタッカ
なし
このフルシャの演奏を一口で語るとするなら、大変にオーソドックスなスタイルであり、破天荒な要素はほとんどなし。それゆえ、この将来有望な指揮者の堅実ぶりを実感するとともに、今後また訪れるであろう進化が楽しみになるのである。前回のフルシャ/都響の演奏会の記事では、彼の「安全運転」ぶりに多少の疑問を呈した私は、この第九においてまた違ったフルシャを聴き取ることができるかもしれないと思ったのであるが、結果的にはここでも暴走は聴かれず、だが音楽の本質にひたすら迫ろうという若い指揮者の奮闘ぶりを目の当たりにすることになった。フルシャはしばしば指揮台で飛び上がり、渾身の指揮ぶりであった。とはいえそれは、良識の範囲での熱演ということになるであろう。灼熱の狂気の表出は聴かれずとも、凡庸な音楽ではない。それゆえ、依然としてフルシャは私が期待する若手指揮者であるのである。
この演奏のひとつの特色は、ソリスト4人はいずれも二期会所属、そして合唱団は二期会合唱団であったことだ。日本において果敢なオペラ演奏に取り組んでいる二期会の演奏に関しては、このブログでも何度か記事にしている。そのせいか、独唱も合唱もオペラ風であったような気がしたものだ。4人のソリストは以下の通り。
ソプラノ : 森谷(もりや)真理
アルト : 富岡明子
テノール : 福井敬
バリトン : 甲斐栄次郎
男声2人は名実ともに日本を代表する歌手たちで、2人ともこのブログでかつて紹介したことがある。テノールの福井敬は長年に亘って日本のトップに君臨する人だし、バリトンの甲斐栄次郎は、今年7月24日のチョン・ミョンフン指揮東京フィルの「蝶々夫人」でのシャープレスの歌唱が忘れがたい。一方、この曲の女声パートには見せ場が少ないのであるが、今回の2人は素晴らしい実績を持つ歌手たちなのだ。ソプラノの森谷真理はこのような人。現在ウィーン在住である。




by yokohama7474 | 2016-12-23 23:33 | 音楽 (Live) | Comments(0)