2017年 02月 13日
岩佐又兵衛 源氏絵 出光美術館
岩佐又兵衛 (1578 - 1650) をご存じであろうか。昨年 2016年は彼が京都から福井に居を移してから (恐らく) ちょうど 400年。福井県立美術館で大規模な彼の展覧会が開かれた。私はそれを知っていながら福井まで出かけることができずに悔しい思いをしていたので、東京で開かれたこの展覧会で、渇を癒すことになったのである。だが私の人生、それほど悲観したものでもない (笑)。日本美術の奇想の発見者である辻 惟雄 (のぶお) の監修になる大規模な岩佐又兵衛展を、2004年に千葉市美術館で見ているし、さらに遡れば 1995年に宮内庁三の丸尚蔵館で「小栗判官絵巻」、そして 2003年には熱海の MOA 美術館で「山中常盤物語絵巻」を見ている。のみならず、又兵衛の画集を 2冊持っているほか、このような面白い本を読んでいる。
さて、この展覧会を見逃した方に朗報。熱海の MOA 美術館が、改修工事を経て 2月 5日にリニューアルオープンしていることは、前の吉田博展の記事で書いたが、ここで 3月17日 (金) から 4月25日 (火) まで、「奇想の絵師 岩佐又兵衛 山中常盤物語絵巻」展が開催される。これは源義経が母、常盤御前の仇を取る物語だが、全 12巻、70m を超える重要文化財の絵巻物を一挙公開するとのこと。上にも書いた通り、私は 2003年に一度見ているが、是非また見に行くこととしたい。この絵巻物はその血みどろのシーンが有名であるが、クライマックスは義経が悪漢をなぎ倒すこのようなシーン。これぞ又兵衛。男が女を振るシーン同様、実に残酷 (笑)。強い表現力を持つ芸術に惹かれる方には、絶対お薦めの展覧会である。