2017年 02月 19日
アンドレア・バッティストーニ指揮 東京フィル 2017年 2月18日 新宿文化センター



私はバッティストーニの才能を極めて高く評価する者であるが、過去にこのブログでも何度か採り上げた通り、すべての演奏を大絶賛というわけでもない。だが今回は、結論から先に言ってしまうと、大変に感動的なコンサートとなり、この曲の偉大さ、ひいては (月並みな表現だが) 音楽の素晴らしさをつくづく実感することとなった。そもそもこのヴェルディのレクイエムは、クラシック好きの人にとってはもちろんよく知る曲であろうが、このブログはクラシックに造詣のない方にも読んでもらいたいと思って書いている。その私は、ここで強く主張しよう。もしあなたがこの曲を知らないとすると、それは人生にとっての大きな損失。是非是非、いかなる手段でもよいからこの曲を聴き、何度も鑑賞を繰り返し、その偉大さを心の深いところで享受して欲しい。西洋音楽の頂点のひとつであるから。これが偉大なるオペラ作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディの肖像。


http://culturemk.exblog.jp/24489238/
ちょうど同じ時期にイタリア三羽烏のうち二人までが東京に滞在しているとは、東京はやはりなかなかだと思っていたのであるが、実は、この演奏会終了時、充足した思いで会場を出ようと通路を出口方面に歩いていると、客席に白人がいるのが見えた。・・・な、なんとそれは、そのルスティオーニその人ではないか!! 一瞬ジロジロ見てしまったが、自分でも驚いたことに、考える間もなく彼に話しかけてしまったのである。
私「マエストロ・ルスティオーニですか?」
彼「(ちょっと戸惑って) は、はい」
私「今日はどうでしたか。彼はあなたのライバルですよね?」
彼「(やや気色ばんで) ライバルじゃない。同僚です!!」
私「(丁重にお辞儀して) そうですか。では、『トスカ』がんばって下さい」
彼 (無言で笑ってうなずく)
その後楽屋に向かう風情であり、そんなところで一般人からあれこれ言われたくないのはよく分かるので、自分の無遠慮さを申し訳なく思ったが、実は、後で調べて分かったことには、彼はこの日 14時から東京文化会館で二期会の「トスカ」を指揮していたのである!! このバッティスティーニのコンサートは 18時からであったから、ルスティオーニは、オペラを振ったあとすぐに上野から新宿に移動したに違いない。やはり二人は親しい友人なのであろう。すると、バッティスティーニも二期会の「トスカ」を見たのかもしれない。これがルスティオーニ。バッティストーニよりも 4歳年上である。

QUOTE
ヴェルディの「レクイエム」には、イタリア人と神との関係が反映されています。イタリア人の「祈り」は、とても個人的なものなのです。自分と「神」との対話。私は神にこう尋ねる、とか、私はこのようなことが起こらないように願う、とか。だからこの「レクイエム」は、とても個人的で、人間的な作品なのです。
UNQUOTE
なるほどよく分かる。では今回、ひとりのイタリア人のもと、何百人もの日本人が成し遂げた演奏を、バッティストーニは、そして「同僚」のルスティオーニは、どのように感じたであろうか。そして、今後の音楽界を担うイタリア三羽烏のうちの二人までが集う、新宿文化センター。なんとも素晴らしい出来事ではありませんか!!二人して新宿界隈に飲みに行ったのでしょうかね (笑)。

