2017年 04月 19日
アラン・ギルバート指揮 東京都交響楽団 (ヴァイオリン : リーラ・ジョセフォウィッツ) 2017年 4月18日 東京オペラシティコンサートホール
ラヴェル : バレエ音楽「マ・メール・ロワ」全曲
ジョン・アダムズ : シェエラザード .2 - ヴァイオリンと管弦楽のための劇的交響曲 (ヴァイオリン : リーラ・ジョセフォウィッツ、日本初演)
なるほど、前半には 20世紀前半を代表する精緻を極めるフランス音楽、メインには現代を代表する米国作曲家の近年の大作という、かなり意欲的なプログラムである。まず前半の「マ・メール・ロワ」は、マザー・グースを題材にしたメルヘン物で、まさにラヴェルならではの繊細でキラキラしたオーケストレーションを聴くべき曲。冒頭の木管のハーモニーにごく僅かなずれを感じたが、その後音色は修正されて、スムーズな進行のうちに 30分の演奏を終えた。もともと都響の弦楽器は、このブログでも再三述べているように、何か芯が入ったような重量感のある音が鳴り、得意のマーラー等の後期ロマン派ではその音色が最大限生きるのであるが、この「マ・メール・ロワ」の終曲の最後の和音の響きには、そのずっしりとした音が中空にすぅっと伸びて行くような感覚があり、これはこれで実に後味のよい演奏であった。都響がマーラーの響きのみに偏っているという気は毛頭なく、当然ながら、フランス音楽にも柔軟性を持って対処できる優れたオケであることを再確認できて、大変有意義であった。さて今回私は、舞台を見渡せる席に座ったのであるが、チェレスタの横に、もう少し小型のやはり鍵盤楽器があるのに気が付いた。終曲のキラキラした響きの中に、奏者がこの楽器を懸命に叩いている音が含まれていることを知ったが、これは一体何という楽器だろう。プログラムを見て分かった答えは、ジュ・ドゥ・タンブル。
さて、今回のメインは一風変わった曲。上記のポスターにもある通り、「世界各地で話題の新作、待望の日本初演」なのである。また、これは会場で撮影した別のポスター。現在短髪にしているギルバートの姿と、後ろには東京オペラシティのオープン 20周年のシールも見えて、将来見返したら貴重な写真になりそうだが (笑)、ここにも、「世界中で初演ラッシュ! 待望の日本初演」とある。
このような、様々な刺激に満ちた演奏会であった。ギルバートと都響の演奏が、これを機会に一層の深まりを見せてくれることを祈りたい。このコンビが演奏するもうひとつのプログラムは、これは名曲中の名曲、ベートーヴェンの「英雄」をメインに据えたもの。そちらにもなんとか出かけたいものだと考えているが・・・。果たせるか否か、乞うご期待。