2017年 05月 08日
快慶展 日本人を魅了した仏のかたち 奈良国立博物館
さて、快慶とは一体どのような人であったのか。実は、生まれた年も亡くなった年も定かではない。運慶同様、名前に慶の字のつく、いわゆる慶派と呼ばれる奈良仏師の系列に属する人であることは明らかだが、その運慶との関係も定かではなく、その父である康慶の弟子であるという見方があるが、確たることは分からない。だがその一方で、彼の作ということがはっきりしている作品は数多く、その創作活動とその背景となっている浄土信仰は、かなり明らかになってきている。ともあれこの展覧会では、恐らく空前絶後の規模で集められた快慶の作品の数々を、虚心坦懐に見てみたい。会場ではまず、とびっきりの秀作が訪問者を出迎えてくれる。何の予備知識もない人が見ても、これは美麗な仏像と感じるであろう。