このようなよくできた劇中の世界において、素晴らしい俳優たちの演技が輝いている。広瀬すずは CM でもおなじみの顔であり、もはや日本の若手女優を代表する存在だが、この映画を見て、私は彼女を天才であると思った。足に障害を持つ被害者の娘であり、秘密を抱えて暮らしている高校生。なかなかに複雑な感情表現を必要とされる役柄であるが、広瀬の演技には、考え考え口にする言葉の重みがあり、なぜそのようなセリフが必要であるのかを完全に理解していると思われる。ただ若いだけとか、ただ演技がうまいだけではとても達成できない水準に達している。何もこのような緊張感のある映画だけではなく、幅広く活躍して行くであろうが、このように丁寧に作られた映画での経験が、必ずや今後も彼女の演技に結実するだろう。