川沿いのラプソディ


川沿いの住まいから、音楽、美術、映画その他文化一般を語りつくします。
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メモ帳

名古屋 その 2 愛知県庁、名古屋市役所、名古屋市政資料館、中村公園

前回は、戦国時代から江戸時代までの名古屋に思いを馳せたが、この記事では時代を下り、近代の遺構という観点から、名古屋を見てみたい。そもそも名古屋という街、歩いているとレトロな感覚を覚えることが多い。この場合のレトロとは、大抵の場合には昭和というイメージなのであるが、中には明治・大正の雰囲気をたたえる巨大建築もあって、これほど建築を見るそぞろ歩きが面白い街も、そうはないと思う。この夏には、豊田市美術館で開催されていた奈良美智展にも足を運び (その記事は、9月上旬に送れられてくる予定であった同展の図録作成が遅れていることから、未だ書けていないが)、そのときに美術館のショップで購入したこのような本が大変面白い。歴史的に貴重な近代建築から、最新の凝ったデザインのレストランまで網羅していて、建築好き、街歩き好きには必携の書物である。
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さて、何も建築に興味のある人でなくとも、名古屋城近辺に出掛ける人たち、あるいは高速に乗って名古屋の北の方に向かう人たちには、二つ並んだ大建築を見て、「お、あれはなんだ」と思うに違いない。それは、愛知県庁と名古屋市役所なのである。まず前者はこのような建物。
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この堅牢な作りは「帝冠様式」と呼ばれているらしく、1930年代、つまり日本が大日本帝国と自称していた頃に作られた和洋折衷様式の建物。ほかにも、このブログで以前紹介した静岡県庁とか、あるいは神奈川県庁、あるいは東京なら九段会館 (旧軍人会館)、それから東京国立博物館の本館などがある。だが、この名古屋においては、県庁と市役所という 2つの帝冠様式の建築が並んでいるわけで、これはほかに例のないことではないだろうか。この県庁舎は 1938年の竣工で、設計者は西村好時と渡辺仁 (後者はまた、東京国立博物館の設計者としても知られ、以前このブログでも、熱海の旧日向邸の記事で名前を言及したことがある。そして、この県庁から隣の市役所を望むとこのような感じ。
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市役所の方は 1933年竣工。設計は平林金吾である。ちょっと光の加減できれいな写真が撮れなかったが、中央の時計台は四面に時計を掲げている。やはり堂々たるものだ。
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これらの公共建築はいずれも現役であり、内部のツアーなどはなさそうであるが、ともに重要文化財。大都市名古屋の近代の歴史を刻んできた貴重な建造物であるのだ。仰ぎ見るとその存在感に圧倒されること請け合いだ。だが、驚くべきことに名古屋には、これらに先立つ 1922年に竣工したレンガ作りの公共建築で、やはり重要文化財に指定されているものがあり、そちらの方は内部の見学が可能なのである。その建物はもともと裁判所で、正式名称を「旧名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎」というが、長くて覚えられない (笑)。現在では名古屋市市政資料館として一般に公開されていて、観光の対象としてはあまり知られていないかもしれないが、驚くほど壮麗な建物で、一度は見ておいた方がよい。
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この建物の内部を夢中になってほっつき歩きながら私は、ひとつの思いを抱いていた。それは、以前の記事でご紹介した明治村についてである。あの場所には貴重な近代建築が沢山移築・保存されているのだが、それでもこの名古屋市市政資料館のように、建物がまるまる残っている例に遭遇すると、明治村にある建物たちは、飽くまで断片に過ぎないのだなぁと実感する。もちろん小さい建築はそのまま保存されているし、大きい建築の断片であってもその価値は大きいのであるが、やはりこの建物、存在感が圧倒的だ。そのひとつの例として挙げたいのが地下の空間である。この裁判所は、上の写真のような大理石をふんだんに使った立派な作りである一方で、地下は寒々とした留置場になっているのである!! これぞ建物の機能がリアルに残っているということであり、一部の移築では再現できない、この建物の刻んできた歴史なのである。
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歴史に興味のある方、文化に関心のある方は、是非この場所に足を運ばれることをお薦めする。なお、これだけの建物であるから、映画やテレビドラマのロケ地になっているようで、館内には、阿部サダヲ主演の「謝罪の王様」の撮影で使われた旨の説明がある。いや、別にここで撮影したことを謝る必要はないですよ (笑)。
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このように名古屋の公共建築のスケールの大きさに圧倒され、栄や錦三で飲んでいるだけでは見えない名古屋の奥深さに打たれるのであるが、また別のときに車で名古屋市内を走っていて、小ぶりながらいかにも風格ある古い建物が反対車線側に見えたので、少しスピードを落として運転しながら、反射的に写真に収めたのがこれだ。
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上記の「あいち建築ガイド」で調べると、これは愛知県庁大津橋分室。1933年の竣工だから、県庁本館よりも古いわけである。うーむ、何気ない顔をして建っているのに、大変貴重な建築なのである。名古屋おそるべし。

さて、最後に少し、やはり観光名所としてはあまり知られていない名古屋の隠れた名所をご紹介しよう。こんな場所である。
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これは、名古屋市中村区にある、その名も中村公園。ご覧のように趣きのある日本庭園が整備されている。この場所は、明治 18年 (1885年) に創設された豊国神社 (つまり、豊臣秀吉を祀る神社) を中心としている。秀吉が生まれたのが、このあたりだっただろうというわけだ。
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またここには、加藤清正 (秀吉の遠い親戚であったという) が出陣の際に祈祷したとされる (ということは、豊国神社より古い???) 八幡社があったり、明治期に作られた木造の迎賓館 (現在では中村公園記念館) があったりして、歴史的な雰囲気は満点だ。
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それからこの場所には、秀吉と清正に関する資料を展示する「清正秀吉資料館」が図書館の建物内にある。ごく小さい場所であるが、戦国時代の歴史についての説明のほか、秀吉が使用していたと伝わる采配などが展示されていて興味深い。
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それから、こんな彫像が。てっきり秀吉かと思いきや、これは江戸歌舞伎の開祖と言われる歌舞伎役者、初代中村勘三郎 (1598 - 1658)。彼もここが生誕地であるらしい。というよりも、「中村」公園だから、彼の名前はこの地名に因んでいるのか、あるいは地名が彼に因んでいるのか。いずれにせよ、やはり土地の持つ歴史的な記憶を、想像力の助けを借りて楽しむことができる場所なのである。
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さて、名古屋ではほかにも、数多くの寺を回っている。いつになるか分からないが、できれば来週あたりにでもそれを記事にまとめることで、文化的興味に基づく名古屋散策ガイドのラストとしたい。

by yokohama7474 | 2017-10-26 17:09 | 美術・旅行 | Comments(0)
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