川沿いのラプソディ


川沿いの住まいから、音楽、美術、映画その他文化一般を語りつくします。
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パーティで女の子に話しかけるには (ジョン・キャメロン・ミッチェル監督 / 原題 : How to Talk to Girls at Parties)

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とある映画館でこの映画のポスターを見かけ、即座に、これは見なくてはと思ったのである。予告編を劇場で見ることもなく、ただこのポスターだけが手がかりであったのだ。そう、私がこの映画を見るべしと思ったのは、ひとえに主演女優にある。
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そう、私がその才能を称賛してやまない、エル・ファニング。1998年生まれなので、未だ 19歳という若さながら、これまでにも面白い映画に沢山出演している。中でも、このブログで以前採り上げた「ネオン・デーモン」が強烈であったが、その演技には、ときに年齢そのままの可憐さがあることもあるが、またときには時空を超えた不気味で神々しい存在として、見る者の前に立ち現れる。カルト映画でも楽々こなし、その一方で若さ溢れる爽やかさも発揮できる。こんな女優を天才と呼ばずしてなんとしよう。この映画で彼女が演じるのは、上のチラシの宣伝文句にもあるのでこれはネタバレにならないと整理するが、別の惑星からやってきた異星人なのである。舞台は 1977年、ロンドン郊外。今やパンクロックが生まれつつある激動の時代。主人公はパンクを目指しながらもどうも人が好過ぎる青年、エン (演じるのは英国の若手俳優、アレックス・シャープ。2014年にブロードウェイの舞台に立ち、史上最年少でトニー賞主演男優賞に輝いた実績を持つ)。映画は彼が朝目覚めるところから始まるが、彼の部屋の壁に貼られているポスターは、先にジム・ジャームッシュの映画「ギミー・デンジャー」の主人公としてこのブログでも話題にした、イギー・ポップをあしらったものなのである。
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主人公は友人 2人とつるんでいるのだが、まあ彼らのイケていないこと。いかにも田舎のロッカーで、自意識過剰な若者たち。
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彼らは騒々しいライヴハウスに入り浸っているのだが、そのパンク系ライブハウスには、元気のよいオバチャンがいて、彼女は、その頃「パンクの女王」と呼ばれていたファッションデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッド (ちなみに現在でも 76歳で健在だ。私はパリコレにはちょっとうるさいもので・・・嘘です) のもとで働いていたという、輝かしいパンクな経歴を持っている。名前をボディシーアといい、いつもこんな格好をしている。
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あららら、全く予備知識なしに見たのだが、これはなんと、ニコール・キッドマンではないか!! ここでは実に楽しそうに演じていて、好感が持てる。但し、演じているキャラクターは大変に屈折していて、本音は優しいくせに、やけにとんがってみせるのだ (笑)。ところで主人公たち 3人組は、ある晩偶然に、空き家のはずのお屋敷で、なにやらパーティのようなものが開かれているところに紛れ込むこととなる。な、なんなんだこの人たちは。
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実は彼らは宇宙人で、コロニーと呼ばれる集団に分かれている。コロニーは第 1から第 6まであって、それぞれにコスチュームとその色、また集団が地球上で目指す目的が異なる。上の集団は第 5コロニーである。そして主人公エンはここで、第 4コロニーに属するひとりの少女と出会う。それが、エル・ファニング演じるところのザンである。ザンは、相手の顔をベロベロ舐めるのが挨拶であるように、地球の習慣には疎い。そしてまた二人は、性的交渉は結局「不完全」に終わるのだが (笑)、エンの導きによってザンは、地球の習慣を学んでいく。
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自宅で母親にザンを紹介するエンは、彼女を米国人だと言う。なるほど、エンの英国英語に対してザンが喋るのは米国英語であり、1970年代当時の英国人の米国人に対する見方は、まるでエイリアンのようだということだったのかと思う。この二人は様々な危機を経て、クライマックスではともにパンクの激しい響きに身を委ねることとなるのであるが、その過程が面白い。この濃いメイクのパンク歌手がエル・ファニングだなんて、信じられようか。
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実は、ここではニコール・キッドマンとエル・ファニングの間で親密な演技がなされるのだが、親子ほど年の離れた彼女らの間に、実際に何か通じるものが生まれたのではないだろうか。これは今年 5月のカンヌ映画祭での本作のプレミア上映における二人。うーん、いい感じではないか。エル・ファニングの衣装がすごい (笑)。
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この映画、最後はちょっと甘酸っぱい青春の思いで終わるのであるが、世界が冷戦のただなかにあった 1970年代に、社会の秩序に対するレジスタンスとして、まるで宇宙人のように出現したサイケでパンクな人たちの、夢と情熱 (そう、アヘンを吸った若者が主人公の、ベルリオーズの幻想交響曲の第 1楽章のタイトルだ) を思わせる内容である。監督 / 脚本は、1963年生まれの米国人、ジョン・キャメロン・ミッチェル。
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私は彼のことを知らなかったのだが、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」という、もともとブロードウェイのミュージカルの生みの親として脚光を浴びたらしい。このミュージカルはその後ミッチェル自身の監督・製作・主演で映画化され、マドンナやデヴィッド・ボウイらの熱狂的な支持を集めたという。またこの作品の舞台が、今年日本でも上演されたらしい。ふーん、そんなにすごい舞台なら見てみたかったなぁ。世の中、知らないことが多いのである。
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そんなわけで、パンクのことなどなーんにも知らない私でも結構楽しめたこの映画、まだヒューマントラストシネマ渋谷と新宿ピカデリーで上映中である。ちょっと変わった映画ではあるが、エル・ファニングという現代の逸材の成長の過程を見たい人には、是非にとお薦めしておこう。パンクを知らなくても大丈夫!!


by yokohama7474 | 2017-12-30 00:21 | 映画 | Comments(0)
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