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スター・ウォーズ / 最後のジェダイ (ライアン・ジョンソン監督 / 原題 : Star Wars : The Last Jedi)

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誰もが知る「スター・ウォーズ」シリーズの第 8作。これに先立つ、いわゆるエピソード 7に当たる「スター・ウォーズ / フォースの覚醒」をこのブログで採り上げたのはいつのことだったか調べてみると、それはほぼ 2年前。2016年 1月31日のことだ。今回の記事を書くにあたって、その記事を読み返してみたが、いろいろな感慨があった。そのひとつは出演者である。前作では、記念すべきシリーズ第 1作の「スター・ウォーズ」、つまり今では「エピソード 4 新たなる希望」と呼ばれているものであるが、その作品の主要な 3人のキャラクター、つまりルーク・スカイウォーカー、レイア姫、ハン・ソロが、40年近くの年を経て同じ役者で揃い踏みという、貴重な事態が達成された。映画の歴史において、こんなことがほかにあるだろうか。役者たちの顔にはそれぞれ、実生活によって刻まれた皺が、そのまま劇中においても過ぎ去った年月を実感させたのであった。そして、その 3人の揃い踏みは前作が最後であり、この作品や、次に作られるであろうエピソード 9においては成立しない。ハン・ソロは役の上で既に死を迎え、またレイア姫は実際に演じた女優が既にこの世の人ではないからだ。なのでまずこの記事では、作品のエンドタイトルにある文句と同じく、レイア姫 (エンド・タイトルでは "Our Princess" となっている) を演じたキャリー・フィッシャーに哀悼の意を捧げよう。この作品の米国での公開が 2017年 12月 15日。キャリー・フィッシャーが飛行機の中で倒れ、着陸後病院に搬送されたのも虚しく世を去ったのは、そのほぼ 1年前の 2016年12月27日。そしてまた、彼女の母であるデビー・レイノルズも翌日に死去したという恐ろしい因縁。人はやはり、あまり大きな栄光 (率直なところ、彼女の女優人生そのものというよりは、レイア姫を演じたというその事実のみで、そう言えるだろう) に浴すると、不幸な人生になるのであろうか。
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前作についての私の記事の流れでいうと、反乱軍において重きをなす人たちが女性・黒人・ヒスパニックであることに、今日の米国の状況が表れていたのが前作なら、今回はそこに中国人までが加わる。それは大変に分かりやすいことだ。それから、前回思いつきで、「まあ、マスクに隠れて顔の見えない帝国軍側の兵士も、こうなると実は女性が多いのかもしれないが (笑)」と書いたのだが、なんと驚いたことに、今回は本当にマスクをかぶった女性将軍が登場する。キャプテン・ファズマという役で、演じる女優はグウェンドリン・クリスティ。
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と書きながら、手元で調べて自分でも気づいていることには、このキャラクターは、実は既に前作でも登場していたらしい。正直、全く覚えていないのだが、反乱軍の弾圧に躍起になる帝国側のファースト・オーダーにおいて、カイロ・レン、ハックス将軍と並ぶ「三執政官」のひとりらしい。それは重要な役だ。覚えていなくて大変申し訳ないのだが、率直なところ、こんなコスチュームで顔も出さないキャラクターを明確に覚えているほど、現代人は暇ではないと思うのだ。それ以外の登場人物について書き始めるときりがないのだが、例えば、カイロ・レン役のアダム・ドライヴァー、久しぶりに見たトロ様ことベネチオ・デル・トロや、「ファウンダー ハンバーガー帝国の秘密」での堅実な奥さん役から転じて、今回は提督を演じる (かなり年を感じる) ローラ・ダーン、それから、「エクス・マキナ」や「バリー・シール アメリカをはめた男」でも印象深い演技を見せ、ここでは悪役ハックス将軍を演じているドーナル・グリーンなど、かなり多彩な顔ぶれである。だが私としては、是非この人 (? なのかな) については書いておきたい。
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これは、日本の妖怪「ぬらりひょん」ではありません。強いフォースの持ち主で、カイロ・レンをダークサイドに引き込んだ、ファースト・オーダーの最高指導者、スノークである。この役は CG によって作られているようだが、その動きを提供している俳優がいて、彼の名はアンディ・サーキス。その名は以前も触れたことがあるが、「猿の惑星」シリーズのシーザーであり、また、今回のスノークのグロテスクなイメージと直接連想で結びつくのは、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズにおけるゴラムである。なるほど、それは納得性充分だ (笑)。ただ、このスノークが斃されるシーンは、あまり納得性を感じない。強力なフォースの持ち主なら、相手の心の中も読めるだろうから、自分を攻撃することを予測して、このように無防備にはならないはずだ。それとも、そんなことを読ませないほど、相手のフォースが強かったということか。まあその辺は、都合よく出来ているわけである。

いや、映画全体の出来を悪いという気はない。だが、「スター・ウォーズ」シリーズは今やディスニー映画。家族で見ることができないような表現は排除されていて、本当に邪悪なものと正義が対決するという仮借なさは、あまり感じないという限界があることも事実。これは私の考えに不適なところもあるかもしれないが、世界では未だに戦乱やテロで命を落としている無実の人たちが多くいて、また、我々の近隣国のように、戦争をいとわないという危険な姿勢を示している国もある中で、架空の世界の中とはいえ、敵を攻撃してドンパチやるシーンを見たいと思う人が、果たして世界でどのくらいいるものだろうか。たかが SF 映画とはいっても、このシリーズくらい影響力があれば、派手な戦闘シーンを描くべきか否か、考える必要があるように思うが、いかがだろうか。それから、ジェダイが滅びると発言するルークの真意は何なのか、クライマックスで彼が渾身の力でフォースを駆使することの意味は何なのか、また、今更のようにヨーダが出て来るのはなぜなのか、私には明確な答えが見出せなかった。だが、むしろそれゆえだろう、主役レイを演じるデイジー・リドリーのまっすぐな頑張りには、大変好感を持つことができたのである。
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それから、映画の潤滑油としてのサイド・キャラクターもいい味を出している。前作に続いて登場の BB-8 はここで、大変重要な役割を何度も果たして、もはや C3-PO と R2-D2 を顔色なからしめている。あ、もともとドロイドには顔色 (かおいろ) はないか (笑)。まさに八面六臂の活躍と言いたいが、実際にはこの BB-8 には、顔は一応有るのかもしれないが、「臂」、つまり腕は一本もないのである。
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今回新たに登場した動物キャラクターもいくつかあるが、既に予告編にも登場していたのが、ポーグである。このように、目が黒くて歯のある鳥で、宇宙船の中でこのようにキーキーわめくが、船が向きを変えると窓に張り付いたりして、なんともかわいい。明らかに、闘いをメインに据えた映画の中で、ちょっとほっとするキャラクターになっている。
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これは私の勝手な解釈で、もしかしたらほかに誰もそんなことは言っていないかもしれないが、構わずに自説を披露すると、このポーグのヒントはこれではないか。
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美術好きには説明の必要もない、ブリューゲルの作品に時折登場する、奇妙な空飛ぶ魚である。この作品は、私が昨年ブリュッセルを訪れたときに、ベルギー国立絵画館でオリジナルと対面した、「反逆天使の転落」の一部。

さて、そんなこんなで盛り沢山な内容のこの映画、脚本・監督を任されたのは、1973年生まれのライアン・ジョンソン。
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もともとインディーズ系の人であるようだが、この超大作を任されるとは大抜擢である。製作者のキャスリーン・ケネディからオファーを受けたときは、「顎が床に落ちるくらい」ビックリしたという。なかなか面白い比喩を使う人だ。これは名古屋名物、ナナちゃんの顎が落ちたところ。
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「スター・ウォーズ」といえば、もともとジョージ・ルーカスは 9作を構想したことは、常識の部類に入る情報だろう。つまり、残りはあと 1作のみということになる。だが私が知らなかったことには、どうやらこの監督は、今回の「最後のジェダイ」を最初とする新たな 3部作を監督すると発表されているようだ。それから、日本でも既に宣伝が始まっているロン・ハワード監督によるハン・ソロの若き日の物語など、スピン・オフ作品もこれからいろいろと作られて行くのであろう。あまりストーリーが複雑に絡み合って収拾がつかなくなることだけは避けて欲しいと思う。あ、そうそう、「フォースの覚醒」の記事でも書いたが、今回も音楽担当にジョン・ウィリアムズの名前がクレジットされており、劇中音楽の一部を自ら指揮したことが、エンド・タイトルで確認できた。この不世出の映画音楽の大家も既に 86歳。彼の音楽が鳴り響くか否かだけで、このシリーズの命運には大きな影響があると思う。彼のさらなる長寿を期して、フォースとともにあれ!!
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by yokohama7474 | 2018-02-10 00:58 | 映画