川沿いのラプソディ


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パーヴォ・ヤルヴィ指揮 NHK 交響楽団 2018年 2月10日 NHK ホール

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今月の NHK 交響楽団 (通称「N 響」) の定期公演には、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィが登場する。本当にこの人の幅広い音楽性と精力的な活動には敬服するが、今回の定期の 3つのプログラムも大変に多彩で、東京の音楽シーンの顔であるこのコンビの飽くなき挑戦は、本当に聴き物である。私は幸いにも今回、その 3種類の定期公演をすべて聴くことができる予定であるが、まず最初は、この演奏会だ。曲目はただ 1曲。
 マーラー : 交響曲第 7番ホ短調「夜の歌」

なるほど、ヤルヴィと N 響は、レコーディングではリヒャルト・シュトラウスのシリーズを続けていて、それはもともと伝統的にドイツ物を得意とする持ち味を持っていた N 響に、さらなる洗練を加えた演奏になっているが、その一方で、シュトラウスと並ぶ後期ロマン派の雄であるマーラーも、連続して演奏している。既に 1、2、3、6、8番を演奏し、この 7番で 6曲目。かなりのハイペースである。このコンビは実はブルックナーもシリーズで採り上げていて、ヤルヴィの描くオケの方向性が、そのような選択からも伺い知れる。もちろん、ただ大規模な後期ロマン派を響かせるだけではなく、私が勝手に想像するところ、徐々にハイドンやモーツァルトも増えて来るのではないだろうか。もちろん、フランス音楽やロシア音楽、北欧の音楽も彼の大事なレパートリーであり、それらも並行して演奏されるだろうから、それら様々なレパートリーを通しての、指揮者とオケのコンビの熟成がなんとも楽しみだ。
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そんなことを書くのも、今回のマーラーを聴いていて、このコンビならではの個性が音に刻印され始めたような気がしたからだ。この曲はそもそも一般的にはマーラーの交響曲の中で最も人気のないものと言われ、私自身も、この曲を知った頃には、どうもとりとめのない曲だと思っていた。従って、この曲で聴き手を唸らせる名演奏は、結構難しいという声もある。だが今回のヤルヴィと N 響の演奏では、この曲が人気があろうとなかろうと関係なく、彼らのスタイルで曲の隅々にまでライトを当てたような鮮烈さで、聴く者を圧倒したのである。今回のコンサートのプログラムによると、昨年パーヴォ・ヤルヴィはモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を指揮してミラノ・スカラ座デビューを飾ったが、そのときにスカラ座フィルとのオーケストラコンサートも 3回開かれ、その曲目が今回と同じマーラー 7番であったとのこと。彼は語っている。

QUOTE
私自身、当初「第 7番」を分かりにくいと感じていました。しかし、風変わりで意外性に満ちたこの曲に整合性を求めることをやめ、音楽そのものに耳を傾けた途端、作品が自然と語りかけてくれるようになりました。今ではもっとも愛着あるマーラー作品のひとつです。
UNQUOTE

なるほど。これはよく分かるような気がする。マーラーが湖でボートを漕ぎ出したときに頭に浮かんだという冒頭の引きずるようなテーマから、ギターやマンドリンを含む奇妙な音響を経て、バロック音楽の研究の成果と言われる終楽章のロンドの高揚感まで、この異形の交響曲が、作曲者のイメージするままに再現されていたのではないだろうか。これは、夏の作曲小屋を持っていたトブラッハで、妻アルマと歩くマーラー。1909年の写真だから、死の 2年前ということになる。
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それにしても N 響の、ことにチェロを中心とする弦の雄弁さは特筆すべきもので、決して鈍重になることなく疾走感を維持したまま、旋律を謳い上げるさまには圧倒される。何より、ヤルヴィの指示に対して極めてプロフェッショナルに洗練された音で応じる N 響のメンバーたちには、21世紀の東京で鳴り響く音はこれなのだという自信が感じられるのがよい。それゆえだろう、聴いて行くうちに、そういえばこの音は、既にこのコンビで何度も聴いてきているなという思いを抱くこととなったのである。ここには紛れもないヤルヴィと N 響ならではの個性がある。我々東京の聴衆は、これからも様々なレパートリーで、この音を聴いて行くことができるのだ。なんと恵まれていることか。

ヤルヴィは 3ヶ月後の 5月にもまた N 響の定期に帰ってきて、シベリウスやストラヴィンスキー、ブルックナーなどを演奏する。さらにその次は 9月。N 響にとってはシーズンの幕開けであるが、ヨハン・シュトラウスにマーラーの、今度は 4番を演奏するのに加え、シベリウスの大曲クレルヴォ交響曲、そして、私が勝手に演奏頻度が増えると予想しているハイドンも、プログラムに入っている。来シーズンはさらに、2019年 2月と 6月の登壇も予定されていて、そこにはストラヴィンスキー・シリーズの続きやまたまたブルックナー、そしてなんと、メシアンのトゥーランガリラ交響曲までもが含まれている。さらなる快進撃が楽しみなヤルヴィと N 響なのである。

by yokohama7474 | 2018-02-11 10:41 | 音楽 (Live) | Comments(2)
Commented by ヤマウチ カツヤ at 2018-02-11 21:44 x
こんばんは!
少しのご無沙汰です。
マーラーの交響曲第7番聴きましたよ。さすがにN響だけあって、特に弦楽器の音色のきれいさには感心しました。第7番は高校1年年の終わりか2年生くらいの時に初めて聴きました。当初は各楽器をなんとバラバラに鳴らした混沌とした曲だろうと思いましたが、聴けば聴くほどにそれらが絶妙に調和しあって、まとまった曲に構築されていくことに感心して、とても好きな曲のひとつになりました。また、マーラーらしい最終楽章の最後の盛り上げ方のうまさの中でも特にうまいと思われる7番の特徴を十分に活かした演奏だと感じました。
Commented by yokohama7474 at 2018-02-11 22:13
> ヤマウチ カツヤさん
おっ、ご無沙汰。そうそう、この曲は聴けば聴くほどに味の出る、スルメのような曲ですね (笑)。またコメントお待ちしています。
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