川沿いのラプソディ


川沿いの住まいから、音楽、美術、映画その他文化一般を語りつくします。
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トゥームレイダー ファースト・ミッション (ロアー・ウートッグ監督 / 原題 : Tomb Raider)

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まず話は北欧から始めよう。スウェーデン出身のオスカー女優、アリシア・ヴィキャンデルだ。1988年生まれで、現在 29歳。オスカーを取得した映画は「リリーのすべて」であり、同じ年 (2015年) の映画「エクス・マキナ」はこのブログでも絶賛したが、その作品でも世界の様々な賞を受賞している。まさに、これからの映画界をしょって立つ存在であると評価できる。この映画は、そんな彼女が汚れ役を演じる初めての映画なのである。ただこの場合の「汚れ役」とは、物理的に汚れる役なのであるが。こんな感じ。あーあ。
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題名の "Tomb Raider" とは、墓荒らしのこと。この題名には誰しもなじみがあると思う。ゲームの世界は私には分からないが、映画においては、こんなイメージであった。
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そう、ここでカッコいいヒロインを演じたのは、アンジェリーナ・ジョリーである。それは 2001年のこと。その後彼女はプライヴェートで様々な話題を巻き起こしたのだが、確かにこの「トゥームレイダー」シリーズ 2作において、素晴らしいヒロイン像を演じたのである。だが、それから 17年を経た現在では、激しく戦うヒロインの条件は変わってきているように思う。つまり今回は、同じララ・クロフトという大企業オーナーの令嬢という設定でありながら、スリムで小柄で、より普通の女の子という役柄になっている。だが今回のララも、大変な根性の持ち主であり、腹筋もバリバリに割れている。そして、これはメイクなのかどうなのか、ここでのアリシア・ヴィキャンデルの顔は浅黒くて、北欧美女のイメージとはかなり異なる。予告編でも、アクション映画に出るのが自分の夢だったと語っているが、確かに、ここでは何度も、時には両手を縛られたりしながらも、「おいおい、それは無理だろう」(笑) という大ジャンプを試みるし、銃をドカドカぶっ放すよりは、弓を引き、密林の中を駆け、相手に組み付いて倒すという、かなり激しい肉弾戦の数々を披露している。この映画はまず何より、そのような彼女のニューイメージを見るべきものであろう。
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映画の内容は、父の残した謎の手がかりに導かれて、何やら秘宝を見つけるために密林の奥に入って行き、古代の墓を舞台に敵と戦うというものであることは、事前に明確にイメージできるのであるが、実はこの映画、日本を舞台にしているのである!! いや、さらに正確に言うと、邪馬台国の卑弥呼の墓を暴こうという話である。これは多少ネタバレに近いかもしれないが、調べてみると、既にこの映画のゲーム版ではそのような設定になっているようなので、それを映画に取り込んだということだろう。というよりも、今回の作品自体が、ゲームの映画化であるということか。これはゲームのイメージからのショット。
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だが正直なところ、ここで登場する古代の墓に眠る女王が、卑弥呼である必然性はあまりない。とにかく絶海の孤島に人知れず眠っている古代の墓であればよいのである。それが証拠に、主人公たちは、なんと香港からちっぽけな船に乗って、卑弥呼の墓がある島、ということは恐らくは今でも日本の領土の範囲であろうが、そこまで一日? で辿り着くという設定である。ちょっと無理があるような気もするが、まあ、そんなことに目くじら立てても仕方ないので受け入れるとしよう。それよりも不思議なのは、劇中で何度も「ヤマタイ」とか「ヒミコ」という言葉が出ているにもかかわらず、字幕では、冒頭部分こそ「邪馬台国」「卑弥呼」と出ていたが、ほとんどは「島」とか「女王」としか訳が出て来ない。これは一体いかなる理由によるものか。もしかすると、日本古代史最大のミステリーとして、未だに諸説ふんぷんで決着を見ない邪馬台国論争であるから、こんな簡単に「はい。邪馬台国はここで、卑弥呼の墓もありました。こうしてこうしてこうすると、はい、墓も開きます」という設定にしてしまうと、命をかけて研究している人たちから訴えられる・・・という配慮であろうか???
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まあともあれ、ここでララとその仲間は、いとも簡単に卑弥呼の墓に辿り着き、先にそこで発掘作業を行う悪い連中と一戦交えるわけであるが、広大な墓の中に入ってからのヴィジュアルはそれなりに凝っている。だが、まあその点は多少の金をつぎ込めば、CGでなんとでもなろう。ちょっと残念なのは、悪役や、思いがけず現れる味方、香港から船で一緒にやってきた東洋人など、ララを取り巻く男性たちを演じる役者たちに、それほど存在感がないことだ。それから、ここで登場人物たちが探しているのが、古代の秘宝であるのか否か、この点もちょっと気になった。暴いてはいけない墓というイメージをもっと強く出してもよかっただろうし、何より最後の解決は、本当に解決になっているのか。もしかすると、あんなことをすると、閉ざされていたものが解放され、恐れている事態が世界に蔓延するのではないか (私の言わんとすることは、見た人ならお分かりだろう)。だからこの映画は、あれこれ深く考えることなく、アリシア・ヴィキャンデルの奮闘ぶりに拍手を送る、そんなことでよいのではないか。それから、最近の映画でよくある父と娘の関係も、それほど新機軸はないし、最近のヒロインは、ともに命を賭けて戦った男性との間にも、そう簡単に恋に落ちることはない。こんな風に書いていると、全然面白くないように思われるかもしれないが (笑)、決してそんなことはない。だが、誰もが手に汗握る傑作ということには、残念ながらならないだろう。

興味深いことに、主役も北欧の人なら、監督も北欧の人なのだ。1973年ノルウェイ生まれのロアー・ウートッグ。但し同じ人の名前がローアル・ユートハウグという表記になっていることもある。綴りは Roar Uthaug だから、確かに「ウートッグ」という表記には違和感がある。
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私はこの監督の名前を知らなかったし、過去の作品を見たこともない。だが、思い出してみると、このブログでも過去に何本か、北欧の新鋭監督の手になるハリウッド映画をご紹介した記憶がある。たまたまなのか、あるいは北欧が新たな才能の宝庫になっているのか、これらの監督の今後の活躍にかかっているのではないだろうか。この作品も、原題は単に "Tomb Raider" だが、邦題にはそこに「ファースト・ミッション」とついているので、これからもセカンド・ミッション、サード・ミッションと続いて行くのだろうか。ゲームを離れたオリジナル・ストーリーで、アリシア・ヴィキャンデルのさらなる活躍が見られることを期待しましょう。

by yokohama7474 | 2018-04-14 11:33 | 映画 | Comments(0)
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