川沿いのラプソディ


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オッコ・カム指揮 新日本フィル (フルート : 白尾彰) 2018年 4月14日 すみだトリフォニーホール

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まあこれは偶然と言えば偶然なのであるが、この記事の内容と直接関係のない前項の記事、つまり映画「トゥームレイダー ファースト・ミッション」に続いてここでも私が語り始めるのは、北欧についてなのである。そう、この日の新日本フィルハーモニー交響楽団 (通称「新日本フィル」) の演奏会では、指揮者も北欧の人なら、作品もすべて北欧のもの。まさに北欧スペシャルのこのコンサートを指揮したのは、フィンランド生まれの名指揮者、オッコ・カムである。
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1946年生まれなので今年 72歳になる。私の世代のクラシック・ファンにとっては、1969年の第 1回カラヤン指揮者コンクールの優勝者として認識されている指揮者である。だが彼のその後のほぼ半世紀に亘る活躍は、客演では様々な世界トップクラスのオケを指揮していながらも、現在のラハティ交響楽団の首席指揮者というポジションに至るまで、そのポストのほぼすべてが、母国フィンランドまたはスカンディナヴィア三国のいずれか、つまりは北欧内に留まっているのである。このブログでも、2015年11月にその手兵ラハティ響を指揮した驚くべき演奏会をご紹介した。その後カムは、神奈川フィルに客演した機会もあったが、私はそれを聴けなかった。なので今回、新日本フィルの定期に登場すると知って、これはなんとしても聴きたいと思ったのである。その曲目は以下の通り。
 サッリネン : 歌劇「宮殿」序曲
 ニールセン : フルート協奏曲 (フルート : 白尾彰)
 シベリウス : 交響曲第 2番ニ長調作品43

なるほど。サッリネンとシベリウスは、指揮者カムと同じフィンランド人。ニールセンはデンマーク人。因みに前項の「トゥームレイダー ファースト・ミッション」では、監督がノルウェイ、主演がスウェーデンだから、前回・今回の 2回の記事で、北欧の主要な国は揃ったことになる (バルト三国はここには登場しない)。だが、今回のようなコンサートを聴いていると、とにかくどの国で生まれた音楽であろうと、現代の日本に住む我々を感動させてくれるだけで、本当に素晴らしいことだ。まず最初のアウリス・サッリネン (1935年 - ) は、既に 80歳を超えているが、未だ現役の、現代フィンランドを代表する作曲家である。
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私は彼のシンフォニーや管弦楽曲を過去に聴いたことがあり、オペラも、「赤い線」という作品の映像を以前録画したことがある。その作風は大変穏健で、誰が聴いても楽しめるようなもの。今回演奏された曲は、1995年にフンランドの湖上の音楽祭として知られるサヴォリンナ音楽祭において、今回の指揮者オッコ・カムによって世界初演されたオペラの序曲。エチオピア皇帝とその周りの人々を描いたものというから、およそ北欧とは縁遠い物語であるが (笑)、音楽は大変平易であり、かつクリア。大変楽しめるものであった。それにしても、本拠地すみだトリフォニーホールで聴く新日本フィルの響きは、いつもながらに素晴らしい。このオケの発展において、このホールは欠かせないものであると再度実感するのである。
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2曲目は、このオケの首席フルート奏者であり、長年に亘って楽団の顔であり続ける白尾彰を独奏に迎えての、ニールセンのフルート協奏曲。
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カール・ニールセン (1865 - 1931) は、5曲の交響曲を中心として、私も大変好きな作曲家であるが、このフルート協奏曲は 1926年という晩年の作。2楽章からなり、第 1楽章ではフルートとオケの掛け合いに、果てしなくクリアな北欧の空を思わせる、ニールセン独特の音空間が広がる。さすがにこのオケの首席、白尾のフルートはオケとの調和は抜群で、真面目でありながらかつ自在なものであったと思う。実に素晴らしい演奏であった。

そして後半は、これぞ北欧作品の最高峰で、シベリウスの文字通りの代表作のひとつである交響曲第 2番だ。上で書いた通り、カムが活躍しているのは主に母国フィンランドとその周辺であるが、そんな彼が一歩国外に出れば、宿命的に演奏しなければならないのが、フィンランドの国民的作曲家であるシベリウスである。これまでのキャリアで彼は、何度この第 2交響曲を演奏して来たことであろう。だがそこはさすがにカムである。聴衆も既に馴染みがありすぎ、指揮者自身もうんざりするほど演奏した曲でありながら、北欧の澄んだ空と、作曲当時のロシアのフィンランドへの圧政という社会情勢を、ともに感じさせる要素のある演奏であったのではないか。ここで新日本フィルは、徒らに激することなく、極めてプロフェッショナルにカムの要請に応え、美しい演奏を成し遂げた。弦楽器の味わいもさることながら、緊密な木管、細かいニュアンスから延々と続くクライマックスでの炸裂まで、見事に演奏した金管も素晴らしかった。ただ、何度かの瞬間には音の美感に課題が残ることもあったのも事実。日本のオケがこれから本当に世界のトップクラスを目指すのであれば、このようなほんの些細な課題をひとつひとつクリアしていかなければなるまい。そんなことを思ったのも、この演奏の高いクオリティには、さらに高まる余地があることを思ったからである。そのためには、このカムのような優れた手腕を持つ指揮者との共演は、極めて意義深いことである。

さて、終演後にサイン会が開かれたので参加した。会場で販売していたカムの CD のうち、エーテボリ交響楽団を指揮したグリークの交響曲を購入したが、CD の解説にはサインをもらうのに適当な場所がなかったので、プログラムにサインをしてもらった。このときカムは、終演後さほど時間をかけずに登場し、係の人が慌ててテーブルと椅子を用意することになった。これがサイン会の様子と、私がもらったサイン。ちゃんと目を見ながら、"Great performance, Maestro!!" と声をかけると、"Thank you!!" と嬉しそうであったが、何人もの人たちが写真を撮り始めると、「パパラッチ!!」と冗談を言っていた。
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このように素晴らしい演奏会であったのだが、もし新日本フィルがまたこの指揮者を招聘するようなことがあれば、シベリウスではない、何か違ったレパートリーを指揮してくれないものだろうか。例えば、ブルックナーなんて面白そうではないですか。フィンランドの指揮者だからシベリウス、という看板はあってもよいだろうが、そこから外れたレパートリーに、実はカムの実力が発揮されるということもあるかもしれない。そのような演奏会を聴いてみたいものだ。

by yokohama7474 | 2018-04-15 00:23 | 音楽 (Live) | Comments(2)
Commented by マッキー at 2018-04-15 02:04 x
>このホールをフランチャイズとして早 30年

いやいや、すみだトリフォニーホールは1997年開館ですからフランチャイズは20年ですよ。
新日本フィルは1997年10月まで東京文化会館を定期のメインホールにしてたのですから貴方様も分かってるはずですよ。
私は東京文化会館ラストの定期を聴きに行ったのを記憶しています。

オッコ・カムも72歳ですか、顔を見るとやはり年を取りましたね。
かつてのヒゲ顔ハンサム指揮者の面影はもう無いですね。

すみだトリフォニーホールの音響は私はあまり好きでないのでずっと行ってませんでしたが、
昨年11月に久しぶりに行って新日本フィルを聴きました。
ホールも年月と共にこなれてきたのか以前に比べて音は良くなっていたのが印象的でした。


Commented by yokohama7474 at 2018-04-15 07:52
>マッキーさん
細かいチェックありがとうございます。その部分を削除しました。
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