そして後半、そのデゴも客席で聴衆に加わり、ステージで演奏されたメインの R・シュトラウスの「イタリアより」は、大変な聴き物になった。この曲は、あの有名な「フニクリ・フニクラ」が終楽章のテーマとして使われていることで知られるが、演奏頻度は決して多くない。私の場合は、たまたまリッカルド・ムーティが一時期あちこちで演奏していた (ベルリン・フィルと録音もしている・・・「ツァラトゥストラ」も「英雄の生涯」もムーティが指揮したとは聞いたことがないので、なぜにこのマイナーな曲を愛好していたのかは謎。単にナポリつながり?) のを学生時代に FM でエアチェックして、それを聴くことでこの曲に親しんだ。録音ではほかには、上にも名前の出たルドルフ・ケンペとシュターツカペレ・ドレスデンの名演にも親しんだが、生演奏で聴いた記憶はあまりない。サヴァリッシュと N 響くらいだろうか。今回は久しぶりに耳にしたのであるが、作曲当時 22歳という驚くべき若さであった天才作曲家の才気煥ぶりと、曲自体の限界を同時に感じさせる演奏であった。何より、ルスティオーニの集中ぶりがすごい。都響は東京でもトップを争う密度の高い音を出すオケであるが、そこに若き俊英が息を吹き込むことで、キラキラと輝くような音がそこここで鳴っていた。もちろん、曲の限界という意味では、色彩感や曲のストレートな表現は後年の傑作交響詩群には及ばないが、それでも、これだけのクオリティのサウンドで聴かせてくれれば、新たな発見があろうというもの。実に素晴らしい演奏であった。終演後のルスティオーニも上機嫌で、都響の熱演を大いに称えていた。このルスティオーニと都響は、相性がよいと思う。前回と今回の登壇は、単発のプログラムを 1回ずつだったと思うが、次回は是非腰を落ち着けて、複数のプログラムを指揮して欲しいものだと思う。マーラー、いかがですかね。