川沿いのラプソディ


川沿いの住まいから、音楽、美術、映画その他文化一般を語りつくします。
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メモ帳

モリーズ・ゲーム (アーロン・ソーキン監督 / 原題 : Molly's Game)

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このブログでは、過去に何度か、ジェシカ・チャステインの出演作をご紹介してきた。今確認してみると、「クリムゾン・ピーク」以降の出演作 5本すべてを記事として採り上げてきて、これが 6本目ということになる。このブログは立ち上げてちょうど 3年。その間に彼女は年に 2本ずつ、様々な種類の映画に出演してきたことになる。たまたまそれをタイムリーにご紹介できてきたことは、まさにブロガー冥利に尽きると言ってよい。もちろん、未だこのブログを始めていなかった頃に見た「ゼロ・ダーク・サーティ」における彼女を見て、その才能に気づいたし、また、「インターステラー」という忘れがたい映画もあった。そうして考えてみると、このジェシカ・チャステインこそ、現代映画界において最も価値ある活動をしている女優のひとり、ということになるように思う。そしてこの映画、予告編を見る限りにおいて、その彼女の持ち味にぴったりの役柄と思われた。どうやら、金持ち連中を常連客としてポーカー賭博を仕切った女性の話であるようだ。
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今確認したところによると、既にこの映画は劇場にはかかっていない。そう、実は私も、2週間前にこの作品の上映劇場を調べ、前の記事でご紹介した「サバービコン」をつい前日に見た TOHO シネマズ日比谷で未だ上映中であることを知って、2日連続でその新しい劇場に出掛けたのである。この映画館、3月末にオープンしたばかりで、劇場内は未だ新築の匂いがするし、窓から日比谷公園を一望できるのも気持ちよければ、この劇場が入っている東京ミッドタウン日比谷には、なかなかよいレストランがあれこれ入っていて、さすがである。きっとこれからも、商売第一のシネコンが早々に上映を打ち切る映画を見に、この劇場に足を運ぶことが多くなることだろう。
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さて、この映画に戻るとしよう。主人公のモリー・ブルームは実在の人物で、2011年に不正賭博の罪によって FBI によって逮捕され、全財産を失う。その後執行猶予つきの有罪判決を受けるが、2014年に発売した回顧録がベストセラーになり、この作品の原作にもなったという。そのモリー・ブルームは現在 40歳。ネット検索すると顔写真も出てくるし、このように、映画の宣伝を主演女優とともに行っている写真も見ることができる。この二人は同世代で、ジェシカ・チャステインの方が 1歳上だ。
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このモリー・ブルームという女性はなかなかにすごい人で、映画の冒頭にも描かれている通り、もともとスキー選手で、幼時に脊柱側弯症を患ったにも関わらず、ソルトレイク冬季オリンピックの候補にまで登りつめる。だが、予選で松の枝にひっかかってしまって転倒。彼女の競技人生はそこで終わってしまう。だが彼女は勉学も優秀で、ロースクールへの進学を希望していたため、そちらに進路を切り替えるはずが、1年間の休暇の間にハリウッドでウェイトレスのアルバイトを始め、常連客にスカウトされて助手となり、彼の主催するポーカーゲームを手伝うこととなる。それは、ハリウッドの俳優たちを含むセレブの集う会であり、徐々に頭角を現したモリーは、独立して活動を始める・・・というもの。ここには、巨額の金が瞬時に動く賭博の様子が生々しく描かれているが、決して裏社会の犯罪性がつきまとうイメージはない。例えば、ここで様々にセクシーな衣装に身を包んで現れるモリーには、全く客との情事という雰囲気がない。ビジネスでやっている以上、そんなものはここに入り込む余地はないのである。
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この映画では、ポーカーゲームの参加者名はすべて伏せられているが、回顧録には有名俳優やメジャー・リーガーの実名が出ているという。その中には本当に破滅に向かって行く人もいるが、だがそれでも、例えば金欲しさにどこかで強盗や殺人を犯すというような展開にはならない。なので、このストーリーが米国の裏社会を描いているという表現には、若干の違和感がある。この映画には恐怖はあまり感じない。以前このブログでご紹介した「マネー・ショート 華麗なる大逆転」の方がよほど気が滅入る恐ろしい映画になっている。なので私の思うところでは、この映画で見るべきは、主人公モリーの不屈の闘志と、その背景として描かれている両親との絆といった点、そして何より、その人物像に血肉を与えているジェシカ・チャステインの演技ということに尽きよう。以前彼女が出演した「女神の見えざる手」も凄まじい映画であったが、今回の「モリーズ・ゲーム」はそれとは少しストーリーの流れは異なるものの、まさに彼女でなくては描けない強烈な人物像という点で、まさに同様の部類の映画である。そしてその重要な要素が、言葉である。この映画のセリフ、特に弁護士との会話では、日本人が日本語で同じ内容を喋ることを考えることができないほど、英語が炸裂している。ここには「言わぬが花」は存在しない。現代社会においては、様々な人間同士の衝突が起こるが、やはり自分の立場を言葉で語り、相手の言葉に立ち向かうことが、現代を生き抜くのにいかに大切か。そんなことまで考えさせる映画であると思う。
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このような社会派映画を監督したのは、「ソーシャル・ネットワーク」や「スティーヴ・ジョブス」の脚本を手掛けたアーロン・ソーキン。1961年生まれの米国人であるが、なるほど、現代における実在の人物を描く第一人者なのであろう。これが第一回監督作品で、もちろん脚本も自分で手掛けている。
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私はいつも思うのだが、映画においてストーリーは二の次三の次であり、映像と音響の組み合わせこそが映画の本質である。その意味において、この映画で描かれているセレブたちの密かな楽しみがいいの悪いのということではなく、現代に生きるモリー・ブルームという女性の姿を、これだけリアルに描き出したことこそが、この映画の価値であるわけだ。そしてそのモリー・ブルーム像を描くにあたっては様々な角度が必要で、ひとつのポイントは、ケヴィン・コスナー演じる彼女の父親であろう。私はこの父親の描き方にも、大変な監督のセンスを感じたものである。ここでは、言葉による語りもある一方で、語られない親子の絆というものが巧まずして表現されている。
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そんなわけで、高額を賭けるポーカーゲームなどとは全く縁のない私としては、純粋に映画としてのクオリティを楽しむことができる機会となりました。ありがとう、TOHO シネマズ日比谷!!



by yokohama7474 | 2018-06-10 00:20 | 映画 | Comments(0)
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