川沿いのラプソディ


川沿いの住まいから、音楽、美術、映画その他文化一般を語りつくします。
by Crop Stock
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
> 吉村さん この作品..
by yokohama7474 at 21:14
本日5日の公演に行って来..
by 吉村 at 19:53
> カギコメさん 熱い..
by yokohama7474 at 22:29
> 吉村さん そうでし..
by yokohama7474 at 00:36
22日におられたんですね..
by 吉村 at 21:57
> michelange..
by yokohama7474 at 23:53
Crop Stock_y..
by michelangelo at 17:24
> 吉村さん 私もヤン..
by yokohama7474 at 22:38
マーラーの3番を聴けるの..
by 吉村 at 22:24
> eastさん コメ..
by yokohama7474 at 22:54
メモ帳

ヤクブ・フルシャ指揮 バンベルク交響楽団 2018年 6月29日 サントリーホール

e0345320_22271691.jpg
前日、サントリーホールで久しぶりに (?) マーラーの大曲交響曲を聴いたばかりだが、2日連続でマーラーである。前日は交響曲第 2番「復活」であったが、今回の曲目は、交響曲第 3番ニ短調。しかも、前日が読売日本交響楽団の現・首席客演指揮者のドイツ人、1980年生まれのコルネリウス・マイスターがその読響を振った演奏であったのに対し、今回は東京都交響楽団の前・首席客演指揮者のチェコ人、1981年生まれのヤクブ・フルシャが指揮をする、ドイツの楽団、バンベルク交響楽団である。この比較は実に興味深いし、ついでに言えば、2016年秋からフルシャが首席指揮者を務めるこの名門オケの前任者は、現在東京交響楽団の音楽監督の、ジョナサン・ノットである。このあたりからも、国際的に見た東京のオケのステイタスが分かろうというもの。音楽の世界には世界ランキング何位という制度はなく、それがまたよいところであるが、もし周りに東京のオケなんてどうせ大したことないんでしょという人がいれば、このような話をすれば少しは分かって頂けるのではないか。これが今年 37歳になるフルシャ。いかにも真面目そうな人である。
e0345320_23101033.jpg
上で書いたことは、このバンベルク交響楽団というオケの格と、そしてマイスターやノットやフルシャという指揮者の実力が分からないと周りの人たちに説明できないと気づいたが (笑)、まあそれは、ご存じない方はほかでいくらでも調べる手段があるので、ここでは割愛することとしよう。ただ少しだけ書いておくと、このバンベルク響は、ヨーゼフ・カイルベルト、オイゲン・ヨッフム、ホルスト・シュタインといった名だたるドイツの巨匠たちが戦後に育て上げた名オーケストラであり、本拠地が小都市なので、ツアーが多いことでも知られている。実はこのオケはもともとチェコからの移民によってドイツで結成されたものであり、その発祥にはチェコとの深い縁があるわけで、チェコ人であるフルシャにとってもそれが大きなモチヴェーションになっている模様である。尚このバンベルクの旧市街は世界遺産であるが、私も 2015年の夏、バイロイト滞在時に同地に出掛けたことがあるので、そのときの記事で、少しでもイメージを持って頂ければ。まぁ、バンベルク訪問時は二日酔い状態だったわけですけれども (笑)。

今回のバンベルク響の来日公演は、東京と横浜で合計 4回。今回の演奏会以外の 3回の曲目は、ユリアンナ・アヴデーエワをソリストに迎えてのブラームスのピアノ協奏曲 1番 (最近はブラームスのコンチェルトを女流ピアニストが弾くことが流行っているのだろうか?) と、ドヴォルザークの 8番または 9番を組み合わせたもの。マーラーの 3番は、この日 1回だけの演奏である。この曲は何度もこのブログで採り上げている通り、マーラーのシンフォニーでも最も長い、100分に及ぶ演奏時間を必要とする大作で、しかも、アルト独唱、女声合唱、児童合唱まで必要なので、演奏するにもコストがかかり、国内オケはもちろん、海外オケが採り上げるには結構なリスクがある。それゆえ、ある時期までは外来オケの演奏曲目にはなっていなかったが、もし私の記憶が正しいとすると、1986年の小澤征爾指揮ボストン響の来日公演が、外来オケによるこの曲の日本での演奏の最初ではなかったか。それ以来 30年以上を経て、もちろんこれまで数々の外来オケが演奏してきたとはいえ、やはり興行的なリスクは常にあるだろう。今回も残念ながら、ホールを埋めた聴衆は、半分とは言わないが、6割くらいだろうか、かなり淋しい入りであった。この点は、前日のマイスター / 読響の「復活」とは大変な違いであったと言わざるを得ない。だが、折しも関東甲信越地方ではこの日、史上初めて 6月に梅雨明けとなった。作曲者自身が当初は「夏がやって来る」という標題を第 1楽章につけたこの曲にふさわしいことであった。

今回のフルシャとバンベルク響の演奏であるが、ヴァイオリンの左右対抗配置を取り、指揮棒を持たずに指揮したフルシャの持ち味がよく出た演奏であったと思う。大見得を切るようなところがなく、飽くまで真摯にマーラーの音楽と向き合っていた点、大変に好感が持てた。簡単に前日のマイスター / 読響の「復活」と比べてみると、まず、テンポには焦ったところがなく悠揚迫らぬもの。それから、音の厚みというか、有機性に関しては、バンベルク響に軍配が上がるであろう。もっとも、読響の機能性にはかなりのものがあり、その点ではバンベルク響にもひけは取らないと思う。それどころか、バンベルク響の演奏には技術的なミス (例えば第 1楽章後半のトロンボーンソロとか、第 3楽章の舞台裏のポストホルンソロとか) も散見された。だが、音楽とは不思議なもので、技術的ミスを乗り越えて、何か切実なものが聴衆に迫ってくる場合がある。その点においては、やはりこのドイツの名門オケはさすがに懐が深い。例えば第 2楽章では木管やトランペットのソロにもうひとつ切れがないかなぁと思ったが、第 3楽章では堂々と各楽器が自己主張をするようなこともあり、そこには音楽の一回性が聴かれるし、そして何より、場面場面における説得力が大変なものなのである。もうひとつの例として、全曲の最後の感動的な 2対のティンパニを挙げよう。ここは遅いテンポであり、指揮者によっては大きく弧を描くように指揮するので、2人のティンパニの音がずれることがままある。以前、シャルル・デュトワが NHK 響を指揮した演奏では、この箇所でひとりのティンパニ奏者が、指揮者ではなくもうひとりのティンパニ奏者を見て叩いていた。そうすることで、2人の奏者の音はキッチリと合っていたわけである。だが今回はそのような方法は取られず、2人のティンパニ奏者はそれぞれに指揮者を見て演奏。いわば呼吸だけで見事に 2奏者はタイミングを合わせていたが、最後の方では、ほんの少しずれることとなった。だが、聴き手がそれをどのくらい気にするだろうか。大きな音のうねりに身を任せるという点では、多少の音のずれなど問題ではない。今回のフルシャとバンベルクの演奏に聴かれた人間性に、音楽の大事な要素が含まれていると言ってもよいように思う。
e0345320_23592194.jpg
今回の合唱 (東京混声合唱団の女声) と、ステファニー・イラーニというメゾソプラノ独唱 (もともと予定されていた歌手から急遽変更になった) は譜面を見ながらの歌唱、一方の児童合唱 (NHK 東京児童合唱団) は暗譜。子供たちの暗譜とはなかなかに大変なことであるが、「ビム・バム」という鐘の音を模した少年合唱を伴奏する鐘は、合唱団が陣取るステージ裏の客席 (P ブロック) の最上段に位置していたのも興味深かった。独唱・合唱は、曲の持ち味を素晴らしく表現していたと思う。上記のようなオケの人間的な熱演もあって、終楽章の感動的な音楽が盛り上がって行くときには、本当にガラガラのホールが、なんともったいないと感じられたことか!!

実はこのバンベルク響、カイルベルトに率いられての初の来日公演から、今年で 50年。来日は 15回目で、実は今回のサントリーホールでの公演が、日本でのちょうど 125回目の演奏会。過去に訪れた日本の都市は 40に上るという。一国でのコンサート数として、この 125という回数は、楽団史上 3番目に多いらしい。ドイツと日本の物理的な距離を思うと、それは大変なことである。そして今回は、フルシャとバンベルクの初の海外 (ヨーロッパ外ということであろう) ツアーであり、フルシャが考えたツアーの行き先は、迷うことなく日本であったという。我々はよくそのことを認識したいものである。今回の演奏会では、このフルシャと何度も演奏を重ねてきた、都響のコンサートマスター、矢部達哉の姿も見えたが、世界屈指のマーラー・オケである都響でも、このフルシャと演奏したマーラーは、1番「巨人」だけであるはず。彼はどんな気持ちで今回の演奏を聴いたのであろうか。多忙なスケジュールの中、フルシャがいつの日かまた都響の指揮台に帰ってきてくれる日に、マーラーを演奏してくれないものかと、ファンとしては期待が募るのであります。

by yokohama7474 | 2018-06-30 00:19 | 音楽 (Live) | Comments(2)
Commented by 吉村 at 2018-07-01 22:24 x
マーラーの3番を聴けるのは、いつも良い体験です。かつて、ヤンソンスがバイエルン放送響をミューザ川﨑で振った時の感動を思い出していました。
ところで、バンベルクのフルートセクションで、首席の隣の黒髪の女性奏者が綺麗な人だなと思って調べたら、ハンガリー出身のAcsaiアチャイという人で、HPの写真もかなり綺麗でした。フルートは学ぶ人が多い割にはポストが少なくて大変らしいですね。私の知り合いでお嬢さんがパリでフルート勉強してらっしゃる方がこぼしてました。
Commented by yokohama7474 at 2018-07-01 22:38
> 吉村さん
私もヤンソンスの川崎公演は聴きましたよ。心に残る公演でした。フルート奏者ですか。優雅な楽器ですが、それなりのポジションに就くのはなかなか大変ということですね。心して聴きたいと思います。
<< 出雲・松江旅行 その 1 出雲... コルネリウス・マイスター指揮 ... >>


最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧