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デッドプール 2 (デヴィッド・リーチ監督 / 原題 : Deadpool 2)

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この映画の 1作目を記事として採り上げてから 2年。私が覚えているのは、当時あの映画の日本版のポスターが、文化ブログにふさわしくないとして、わざわざ米国版のポスターを冒頭に持ってきたことだ。だが私はその記事で、この「クソ無責任ヒーロー」が活躍する映画をかなり楽しんだことを書いた。今それを自分で読み返してからこの記事にかかっているのであるが、ある意味、我ながら私という人間の感性にはぶれがないというか (?)、この 2作目の感想は 1作目と同様か、もしかするとそれ以上に主人公デッドプールに感情移入してしまったかもしれないと、ここで正直に述べておこう。まあ、ぶれがないのも道理で、私はこのブログを、誰から強制されることもなく自分の意思で、思いのままに気楽に綴っているわけであるからして、そこには誰かに対する遠慮も忖度もない。それゆえ、1作目よりもさらに手の込んだ出来となったこの 2作目を、一言「面白い!!」と断言することになんの躊躇もないのである。ただまあ、こんなミケランジェロのパロディを見ると、調子に乗るなよと言いたくなってしまうのは否めないのだが (笑)。
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それにしても、シリーズ作で 1本目に負けず劣らず 2本目が面白い例は、意外と少ないと思うのである。それはこの作品が、1本目とは違う監督でありながら、同じテイストを通していること、そしてそれは、ここで主役のみならず、製作、脚本にも名を連ねているライアン・レイノルズの個性によるものであると言ってよいと思う。この、決して上品ではなく、正統的なヒーローでもない、軽薄でいながらなんとも人間的で、どこか憎めないキャラクターを演じるのは大変なことだと思うが、前作以上にここでは、主役であるデッドプールのキャラクターが際立っている。それから、今回もあらゆる箇所で小ネタが炸裂。もちろん私はそれらをすべて理解できるわけではないが、例えば、冒頭近くで主人公が恋人の待つアパートに遅れて行ったときの言い訳が、「いやさ、なんか黒いマントをかぶった奴が出てきてさ、ソイツの母親の名前もマーサっていうらしくてさ、それで時間を取ってしまって」というものであったりするので、私などは劇場で声を上げて笑ってしまった。もしかしたらこれのモトネタをご存じない方もおられるかもしれないが、このブログでも採り上げて、私が酷評した映画がネタになっている。因みにその映画は、この「デッドプール」シリーズが属するマーヴェルのシリーズではない。マーヴェルのシリーズと言えば、X-Men やアヴェンジャーズということになるが、この映画の冒頭には、前者の「LOGAN / ローガン」がネタとして使われている。1作目の記事にも書いたことだが、実はこのデッドプールというキャラクターはもともと、ヒュー・ジャックマン演じるローガン = ウルヴァリンが主人公である「ウルヴァリン ; X-Men Zero」に登場したキャラクターである。実はこの映画では、そのことが結果的に重要なメッセージになっているので、最初から最後まで、お見逃しなきよう。これがその「ウルヴァリン ; X-Men Zero」のイメージショット。
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いやそれにしても、X-Men シリーズの派生作品でありながら、この映画の独自性には改めて感じ入る。前作に続いての R15 指定であるのは、そのアクションシーンに必要以上に残酷なものが含まれているからだろうが、そのような悪趣味も、映画全体を見てしまえば大して気にならないから、不思議である。デッドプールにはどうやらウルヴァリンに対する対抗意識があるようで、冒頭近くで「LOGAN / ローガン」が R15 指定でありながら興行的に大成功を収めたことに対する揶揄がある。これなども、ひたすらカッコいいウルヴァリンとの対比による巧みなキャラクター設定であろう。だが、彼らに共通する面もあって、それは、超人的な能力を持つヒーローの中には、常に孤独があるということだ。そしてこの「デッドプール 2」は、その孤独を癒す家族的な連帯感の発生をテーマとしている点、意外性もありながら、なるほどと納得させられるものがあるのだ。

主人公の孤独を結果的に癒すことになるのは、この未来からやってきた凶暴なキャラクター、ケーブルである。演じるのはジョシュ・ブローリン。つい最近では、「アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー」における大悪役、サノスを演じて強烈な印象を残したが、この「デッドプール 2」でも、「おい、サノス!!」と呼ばれるというおふざけがあり、ここでまた私は劇場で爆笑。
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そのほかにも、本当に可笑しいシーンがいくつもあるのだが、予告編でも流れていたこのシーンの後の展開なども、もう爆笑しかない。詳細はネタバレになるので書かないが、いやいや、可笑しいのなんのって。
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因みにこのデッドブール、前作で描かれていた通り、不治の病を患っていたが、生体実験によって不死の体を得る (フジからフシとはこれいかに)。今回はそのような彼の特性が充分に生かされていて、自らの身体を破壊しようとしても、必ず蘇生するのである。秀逸なのは、彼が腰から下を失ってしまうシーン。これはルームメイトである盲目の老女によりそうデッドプール、いやウェイド・ウィルソンだが、このときには未だ若干の (?) 問題を抱えているのである。
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死ぬことすら許されないスーパーヒーローはしかし、本編の最後に至って、いや正確にはエンドタイトルに入ってからだが、思い切った行動に出る。私がこの映画を面白いと思うのは、このような大胆な設定にもよるのである。そう、私も調べてみて分かったのだが、主演のライアン・レイノルズは、「グリーン・ランタン」という作品で初の主役を射止めたらしい。なるほど、ということはこの映画の最後でデッドプールは、自らのヒーローとしての重責に耐えかねて、自身の存在を否定する行為に出ているわけである。これは何気ないようでいて、かなり深いメッセージであると私は見た。これが「グリーン・ランタン」。
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本作の監督デヴィッド・リーチは、オープニングタイトルでふざけて紹介される通り、「ジョン・ウィック」で主人公の犬を殺した奴。そう、あのビーグル犬が殺されるキアヌ・リーヴス主演の映画の共同監督だった人。単独での監督デビューは、シャリーズ・セロン主演の「アトミック・ブロンド」であるらしい。あれも激しいアクションがなかなか面白い映画であった。この監督、もともとスタントマン出身らしく、アクションの捌き方には秀逸なものがある。本作でも、新しいアクションシーンを見ることができる。
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さて、こうなってくると、家族愛にも目覚めてしまったデッドブールが、さらにスクリーンで活躍することを期待するしかないだろう。小ネタ満載で華麗なアクションがあり、下品でおしゃべりで軽薄だが憎めないヒーローは、現代人にとって必要なものであると思うのである。この映画は是非、普段マジメな顔で暮らしている人にご覧頂きたいと思う、下品でおしゃべりで軽薄な私であります。
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by yokohama7474 | 2018-07-18 00:54 | 映画